67話
馬鹿は伯爵家の長男として育てられた。親からは「お前はいずれ伯爵家を継ぐんだ。そして、お前は侯爵になって欲しいんだ。分かってくれるよな?私の思いが」と言われ続けた。
功績を認めてもらえば侯爵になる事はできるが無理だ。竜の進化先の龍の討伐をすれば侯爵になれるがこの世界の龍は魔王に近い存在。そんなのが人カス如きに殺せるわけ無い。それを知っても親に侯爵になれと言われ続け屋敷に居る従者達に神童等と言われ続けた。そして、龍の事なんて忘れ自分の事を最強と考えるようになった。馬鹿だね、勝てないと知りながら親の為だとかくだらない。自分の人生なんだから自己満で生きて自己満で死ぬのが一番なのにね
(なんで、なんでオレがこんなに押されてるんだ!オレは天才だ!それなのに…なんでこんな男爵家の奴に)
「はいは〜い、お遊びはお終い。ここからは僕が見ていて愉しいと思えるように頑張って貰います」
指を鳴らすと空中にタイマーが出現した。
「この数字が0になるとここが崩壊して2人は死にます。さぁ、愉しい愉しいゲームを始めよう。ちなみにどちらかが死ねば出れるから」
そう言うとタイマーが進み始めた。馬鹿は焦りルイは頭を抱えた。
「僕もここで死にたくないからごめんね。[慈悲]を持ってる身としては辛いけど…風星破掌」
ルイが風で球体を作り馬鹿の腹に向けて蹴り怯んだ所に掌底を打ち込んだ。馬鹿は吹き飛び壁にぶつかった瞬間息の根が止まった。
カナリアが死蔵していた[風化]をいつの間にか模倣し使用していた。
(驚いた。僕の[風化]とか言うクソ雑魚ナメクジを使えるようになるなんて。と言うか人間に[風化]を使うなんて・・・ルイ君って残虐だな〜)
「無事勝利おめでと〜。どういう気分?人を殺した・・・・僕が使ってた時に殺してたか。あはは」
「最悪の気分。人殺しなんてなりたく無かったのに」
「ふふっ、人なんていずれ死ぬんだ。それが今になっただけ。これで正当化されるよ」
「されないよ、罪は罪。過去が消えるわけでは無いし僕はこの罪を背負い続けるよ。これが僕のできる最大の償い」
「くだらないね〜。その人の分まで生きる?死んだ奴なんてこちらを認識できないしそれを背負う必要なんて無い」
「それはカナの考え」
「償いなんて必要無いよ。あと、これをあげる」
カナリアはカードを渡す
「何これ?」
「これにね、僕の権能の一部を入れてる。僕の権能で死んだ人を生き返らせることもできるがその代償としてこの世界の人間が使った力の大きさに比例して死んでいく。まあ、最終手段として持っておきなよ」
「嫌な代償だね。僕に使わせない様にする為だよね」
「生き返らせるのは嫌いだからね。これで人間離れ、そう、神でしか成せない事が出来る。でもね、それを使うと人が死ぬ。まあ、選択の自由はルイ君にあるから好きにしなよ」




