52話
(あ〜あ、退屈な日々になるのか〜)
「み、見つけたぞ」
ボロボロの身体でカナリアの前に現れた少女は殺意を持っていた。仮面を外しながら笑っているカナリアを見て少女は剣を持って地面を蹴り攻撃を仕掛けた。
「あははっ、なんで生きてるの?あそこで死んだと思っていたけど」
「何を笑っている!お前はあいつ等と同じ私を裏切った!絶対に許さない!」
「お前が許す?身の程をわきまえろよ。お前みたいな塵芥がそんな発言できると思うなよ」
カナリアは肉体を変化させ片手に爪、片手に鎌を担ぎ戦闘に入る。力が落ちているが所詮人間と元神、地力が違いすぎるし経験も違いすぎる。ずっと押され続ける少女、第三者目線だと少女が少女をいたぶっている光景になっている。カナリアは容赦無く蹴り、殴り、斬り、引き裂き、投げ飛ばし、その顔には笑みが浮かんでいた。
「良いね〜良いよ〜。やっぱり何事も愉しくなくちゃ。この肉体は使いやすい。人のよりもね。さて、どっちが勝つかね」
「はぁ、はぁ、はぁ、わ、私は負けれない」
「あははっ!そんな事言っても身体は正直だね。弱いくせにくだらないこと言うなよ。こっちは手加減しているのにそれでもついてこれない。なんで僕に勝てると思ってたの?」
「ゲホッ、オエッ」
「ほら、吐いちゃってるじゃん。どうしたの?この裏切り者の僕を殺すんじゃないの?僕は死という概念に囚われないんだけどね」
「だ、黙れ。私は裏切った奴を許さ」
「もう死んじゃいなよ。さよなら」
膝をついている少女に鎌を振り下ろそうとした瞬間
「カナやめてね」
「なんで止めるの?僕の楽しみだったんだけど」
「それを見過ごすことは出来ないよ。[慈悲]があるのもそうだけどまだ先が長い子を殺すのはダメ」
「そんな事言ってもあれ?回収されてる」
「あんたこんな子を殺そうとしていたの?本当にルイの中に居たのかしら」
「仲良し組勢ぞろい。はぁ、分かったよ。ここでやり合っても意味無いしね。そもそも、復讐心を燃やすようにしたの僕だし」
そう言うとカナリアは戦闘をやめ、爪を引っ込めた。
「はぁ・・・どうしてそんな事するの?僕が困るっていうのに」
「暇つぶし。僕は退屈していた時にあいつが来てくれたから遊ぶしか無いでしょ。いや〜、くだらない復讐劇を見せてくれてありがとね〜。次はどうなるんだろうな〜」
「イカれてるよ。暇つぶしで人の人生を弄ぶのは無いよ」
「ルイ君〜考え方の違いだよ。君は人間、僕は元神。この差があるからこそ僕はあんな事をするんだよ。というわけでその子はあげるよ」




