50話
「まだなのか?」
「そんなに焦らずに。業者の所に向かうにはある程度歩かなければいけないので」
「そんな事分かってる。ただ、逃げられたらと考えると」
「ふむ、やる気なら良かったのですがそこまでへこたれるとは。逃げられない様にすればいいと、簡単ですね」
「何を言って」
「この扉をくぐってもらえば着きますよ。これがご都合主義で助かりましたね」
扉をくぐるとそこには業者の本拠点に着いていた。だが、中には誰もおらず拍子抜けも良いところ。その光景を見て復讐を誓った子はワナワナと震えカナリアは笑っていた。やっぱりご都合主義は便利だね
「くくっ、これは面白いことになりそう。まあ、待つしか無いんでしょうがこうも誰も居ないと警戒した事に損を感じますね」
「おい!話が違うぞ!ここに居るんだろ!?なら何故居ないんだ!」
「えぇ、ここに居ますよ。ですが今は留守のようですね。それとこの手を離して欲しいのですが」
「ちっ」
「全く子供はすぐに暴力的になる。困りますね」
(と言っても僕としても早く戻ってきてほしいね。長ったらしいのは嫌いだしゴミに時間を割くとかあり得ない)
「ちっ、余り稼げなかったしあの冒険者共使えなかった。クソッ!損しかして無い」
「戻ってきましたね。では、お楽しみを」
「待て、こいつはお前が殺せ」
「おや?何故でしょうか。私が殺したらあなたの復讐の意味がないように思えますが」
「譲るだけだ」
「いえ、お断りしておきましょうか。私としては意味が無いので」
「誰か居るのか!おい!」
「はぁ、こうなるとここはコソコソとやってはいられませんね。悲惨な死を迎えてほしかったのですが諦めましょう。火薬はあるので爆破させて次に行きましょう」
その日とある場所で大規模な爆発が起きた。現場からは大量の火薬と魔力の痕跡が見つかったが犯人は分からず事件は闇に葬られた。被害は半径20メートルの建築物が燃えたり吹き飛んだりしていた。幸い死者は出なかったが怪我人は多数、中には身体の一部が無くなったりしていた。爆発でこんなことが起きること無くカナリアが風の刃を爆風に混ぜ被害を増やして遊んでいた。
「ふ〜む、なんで死ななかったんだ?そこら辺の人間なら死んでいるレベルなんだけど。気にしても意味無いか。それで大丈夫?まさか爆風に巻き込まれるなんてね」
「お前がやったんだぞ?謝罪ぐらいしろ」
「無理無理、巻き込まれたほうが悪いから。歩ける?無理ならここで休むけど」
「大丈夫だ」
「そんなにふらふらなのに?」
(なんでそこまでするのやら。人間って不思議〜復讐とか言うくだらないものをしようとするとか。所詮過去でしょ?そんな事せずに前に進まないと。どうせ、そういう奴はどこかで沼に嵌まって死んでいくんだし)
「はやく行か」ドサッ
「倒れてしまった。気張りすぎ。まあ、休めるならプラスか」




