5話
(あ〜、キッツ僕の魔力とかも少ないし主導権を渡したのは正解だった。渡してなかったらあそこで気絶してた。まあ、ルイ君の身体は無事だし安心したね。後処理まで持っていきたかったけど無理。ごめんねルイ君)
「う、う〜んはっ!ここは」
確か、カナっていう人?に身体を渡してから記憶が無くなってる。呼びかけたら答えてくれるかな?無理をさせちゃったもしれないし謝りたいな。そういえばいまの時間は!もう夕方だ!急がないと心配させちゃう。
(あ〜、[虚数空間]に引きこもりたい。でも、今は使えない。どうにかできないかな?「虚無」の神格さえあれば再現はできそうだけど結局詰んでるから考えるのをやめよう。うん、今はどうやって使い勝手の良い身体を探すのに集中しよう)
「ルイー!どこ行ったー!」
「す、すいません。ちょっと迷子になってて」
「でも、その傷はどうやって言い訳するのかしら?聞くだけ聴いてあげるわ」
圧をかけられるが心配も混じっていることが感じられた。
「う、ほんとはフェンリルに遭遇しまして逃げていたら」
罪悪感か、はたまた怖気付いたのか、出来事を話す。
「な!フェンリルだと!今すぐ国に報告を」
「どこかに行きました。傷は転んだりしたので」
「あら、そうだったのね。あと私に隠していることあるでしょ?正直に言いなさい」
「森の奥に入りました」
「お前!あれ程行くなって言っただろ!だが無事でいてくれたのは良かった」
(良い家族だな〜。多分この家族は僕が殺しちゃうかもしれないけど枯れるから美しい花と一緒だと思って受け入れてね。ルイ君が強くなったてくれれば肉体を動かしやすくなるんだけどな〜)
カナは呼んでも返事をくれないからほんとに疲れてるんだね。僕の代わりに戦ってくれてフェンリルを撃退できたんだ。でも、なんでカナは僕に語りかけてきたんだろ?もしかして僕の中に居たりして。僕も疲れたから戻って寝よう
−−−−夜−−−−
(復活した〜。消費分も補えたし権能を取り戻す旅にいざ)
カナリアがワイバーンの肉体を乗っ取る。
その日大人しかったワイバーンが急に人里に近づき人を襲う事が起きたのがカナリアのせいだと誰も分からないのであった。
(僕のせいって言われるのは癪だね。勝手に動いたのはワイバーンだよ?僕が悪いわけではないから僕は無罪ということで閉廷)
−−−−−−−−
カナ居る?
〈居るけど?もしかして寂しくなったの?〉
そうじゃないよ。昨日はごめんね、僕のせいでフェンリルと戦わせちゃって
〈キツかったんだよ?ルイ君はもっと鍛えてね。あんな事がまたあるかもしれないんだから。今度は僕だよりにならずにルイ君だけで解決してね〉
分かってるけどカナはなんであの提案をしたの?
〈僕はね、ある事があってそれのせいで今は弱ってるんだ。そこでルイ君が居て僕がルイ君の中に入ってサポートしながら回復を待とうって〉
それ質問の答えなの?でも、カナにそんな事があったんだね。もしかして神様だったり?
そんなわけ無いか
〈これからよろしくね。困ったら聴いてきてね。できることならやるから〉
じゃあ質問があるの。なんで僕なの?
〈それはなんでだろうね。偶然なのか必然なのか僕にはわからないよ。でも一つ言えることがあるよ〉
なに?
〈ルイ君は貧弱ってこと。もっと鍛えてよ〉
でも、森の奥に行かせようとしたのはカナでしょ?自業自得じゃん
〈6歳?にしては痛い返しをしてくるね。どこで覚えたの?そんな言葉。少なくとも同年齢の子は知らないよ〉
お父様の本で覚えたんだ。カナは人間だったの?
〈人間だったよ。自分の意志で人間辞めたけど。後悔はしてないかな〜〉
どうして辞めたの?憧れてたから?多分カナはそんなことしないよね?
〈寿命とかに縛られるのが嫌だったから。嫌いってわけではなかったけど、僕は人間だと愉しめることが少ないって思ってたから〉
その結果がこれでしょ?今は楽しい?
〈別にいつも愉しい事を求めてるわけではないよ。フェンリルとの戦闘は愉しかったけど。久しぶりの絞られた選択肢の中で最善を選ぶ感覚はいつでも愉しめる〉
そういえばフェンリルはどうなったの?逃げていった?
〈殺したよ。ルイ君が風刃を使えてよかった多分あれがなかったら長引いて負けていたと思うよ〉
僕魔法使えたんだ。え?殺したって言った?
〈結構ギリギリだったけど殺したよ〉
秘密が増えた…
(襲われる心配が少なっただけで嬉しいでしょ。今度は何しよう)
いや〜、爆死が続くと傷つくね〜、石の消失、すり減る精神、溜めていた時間が無に帰る瞬間、もう嫌になりそう。という事で、SAN値チェックです。作者はロストです。お疲れ様でした