42話
「本当にごめん!」
ボロボロのサイクスに謝るルイ。
「気にすんな。あれは俺の独りよがりみたいなものだからな」
「それでもだよ。こんなにボロボロになるまでやるなんて。諦めてくれてもよかったのに」
「そんなこと言うな。俺はお前が居ないと学園に居る意味なんてないと思ってるからな」
サイクスは笑いながら言った。
「笑い事じゃないでしょ」
「良いね〜青春してるね〜僕嬉しいよ」
誰もが聞くことを拒む声が聞こえた。その声の主はカナリアだった。
「お前!」
「そんな構えないでよ。この肉体だと前みたいなことができないし存在はできるけど戦闘とかはルイ君の魔力だよりなんだし殺すとかは難しいかな〜」
(不便で仕方ないね。ま、縛りプレイも愉しみの1つだけどね)
そこには竜を小さくした見た目のカナリアが居た。周りは驚愕とルイが今までしたことを聞いた人間が畏怖するというごっちゃ混ぜの空間になっていた。
「カナさ、なんで街とか滅ぼしていたの?」
「権能を取り戻す為だよ。どっかの馬鹿に使われた反動で使えなくなっちゃったからね。僕をつついているとその指噛み千切るよ?」
「やってみるか?」
「やってやろうじゃないか」
見えないはずの火花が見える。バチバチとなっており、周りに燃え移りそうになっている。
「喧嘩しないでよ」
「痛てぇ!」
「油断してるほうが悪いよ。こっちはブレスだって吐けるんだから、その髪の毛丸焦げにしてやるよ」
「カナ」
冷たい目でカナリアを見る。
「ちぇ、面白くないな〜」
「ルイ!勝負を・・・・何そのコ」
「このコは」
「誰?あ〜ちょっと待ってね。ごめん思い出せないや」
(ほんとに誰だ?僕、覚えてないな〜確か・・・・駄目だった)
「何よそれ!私のことを覚えてないとかあり得ないわ!」
「アン、このコはカナ。なんて言ったら良いのか分からないけど僕の身体を使っていたコだね」
「あの時の!良く堂々と私の前に出てこれたわね。ここで消しておくわ」
「あはははは、何それ何かのギャグ?前みたいな事は出来ないから安心しなよ。使えるとしたら全属性の魔法だよ」
冷たい声だった。敵と見なされたら確実に死ぬ事がわかる。やると言ったらやるのがカナリア。
そう言ったカナリアの背中から全属性の魔法を球体として発動していた。空間系は見えないから発動してない。
「魔力が少ないからここまで」
「僕から持っていっても良かったんだよ?」
「回復しきってないのによく言うね」
その言葉の通り、ルイのMPは全快していなかった。
「これはカナのせいでしょ。こっちは動くたびに痛いんだから」
その言葉を聞いたカナリアはルイの痛みを自身に来るように設定した。カナリアが使っている肉体は痛みなんて無いので無問題。
「なら寝てなさいよ!」
「これ以上休むと授業について行けないから無理」
「痛いから離れろ!」
「突くからでしょ。いっそのこと無くしたほうが良いんじゃない?こうゴリゴリって」
「やめろ!」
(吹き飛ばされちゃった。軽いね〜羽根みたいに)
「べ〜」
「この!」
「カナも煽らないで」
「愉しいんだから無理だよ。ほら、チャント当てる気ある?そんな短い腕だとここまで届かないんじゃない?」
「ちっ」
「教室に入るよ」
「や〜い短腕〜」
「うるせぇ」
隊長の最後があれなんて・・・・まあ隊長が幸せならオッケです。
「や
っ
た
ぜ
。」




