115話
やあ、前回で死んだ僕、カナリアだよ。さて何故僕が復活せずに君たちに語りかけているのか、その答えは次のゲームの準備をする為だよ。
権能は舐めプとして使わなかったけどまさか殺されるとは思わなかったよ。
いや〜我ながら無様だね。倶利伽羅は無事だけど、暴れる可能性はあるから人間達は困るだろうね。ははっ、さて肉体を作り直さないと。
とある森の奥。神秘と恐怖が両立された不定形の“何か”が出現した。それはぐにゃぐにゃと動き、人の形を取り始める。3分後、身長は150ぐらい、純白の髪、髪のインナーはピンク色、金と赤の眼、黒色の軍服を身に纏う、カナリアが復活した。
近くに居た生物は不定形の“何か”に取り込まれ死んでいた。
カナリアが動き出す。足音は鳴らない、衣服が擦れる音も聞こえない。まるで聴力が無くなったように。
ガサガサと何かが近付いてくる音が聞こえる。カナリアが復活する時に発生した覇気、妖気、等などエネルギーを放出しており、人間がそれを知覚しここに来たようだ。
「と、止まれ。これ以上動くと」
「ん?あ〜ね」
銃を取り出しゴミに撃つ。頭に当たったね。
そこら辺に血が飛び散り、汚す。うわっ、汚いね。取り敢えず、ゲームのタイトルでも考えようかな〜。う〜ん、安直に〘終焉への片道切符〙で良いかな〜。誰も終焉からは逃れる事は出来ないし、それにしよう。「愉悦」も「終焉」から逃れることは出来ないからね。
砂時計を取り出したカナリア。大体1日分の砂が入ってる。大きさに関しては気にしたら負け。
いつ使うか迷うカナリア。行き着いた答えは、終盤に使おう、だった。方針は決まったので思考を止める。が、やはり引っかかるところはあったのか
「う〜ん。時間設定ミスったかな?取り敢えず倶利伽羅の元へ」
引っかかった場所を放り投げ、亜空間の入口を出現させ、中に入る。そこには、何も居なかった。何故?と考えるカナリア。
「え?本当にどこ行ったの?う〜ん。人間でも殺しに行ったのかな〜。やっぱり自我を与えたのは失敗だったね」
これは反省点だったね。ま、与えた物を奪う行為はあまり好きじゃないから奪わないんだけどね。僕って優しいね。あ!そうだった、呼べば来るはず。
「倶利伽羅、早く出てきなよ。じゃないと、殺すよ」
呼ぶというか脅しだった。こんな奴の部下とか、絶対にやりたく・・・・え?だ、誰ですか。や、やめ。良いんですか?ナレーションが居なくなって、え?私の代わりなら居るの?なら連れてって下さい。
作者よ、君は判断を誤ったのだ。僕を貶すとそうなるから、気を付けたほうが良いよ。
え、本当に居なくなったんだけど、仕事をサボるなよ。
「まあ良い。それよりも倶利伽羅だ。いつでも僕のもとに来れるようにしといてほしかったのにまったく・・・・世話が焼ける」
殺風景な場所に翼が羽ばたく音が聞こえた。上を見上げると倶利伽羅に乗った魔王が居た。カナリアは
「それ、僕のものなんだけど。返してくれない?さもないと君の物語を終わらせるよ?」
「やれないくせに。聞いたよ、負けたんだってね」
「うん、負けたね。なんか気が付いてたら肉体が死んでた。復活も出来ずに」
「それはドンマイと言っておこうかな」
「慰めかい?僕に慰めは必要無いよ。どうせ、記憶が無くなり、僕の存在を忘れるんだし」
その言葉を耳にした魔王は違和感を感じる。あまり付き合いが長い訳では無いが、自身の存在を忘れる、この言葉の中に悲しみが含まれていた事を感じた。演技が上手いね〜、役者でもやってみれば良いのに。カナリアがやったら崩壊するからやらせない方が良いか。
(そんな風に言うってことは存在に固執してるんだろうね。弱み、かな)
残念。存在に固執する程馬鹿ではないし、他人をやすやすと信用する馬鹿でもないよ。
「それ、どうやるの?」
質問される。その質問を「機密情報だからね。そんな簡単に言えないよ」とはぐらかし倶利伽羅の頭を撫でる。観察しても無意味だった。
話を変える。
「なんで倶利伽羅に乗ってたの?僕の所有物なのに」
「いやさ、気になっちゃって。ごめんね」
「そ〜お〜だ〜ね〜、許してほしいなら僕のお願いを聞いてもらおうかな〜」
不敵な笑みを浮かべる。嫌な予感がする。無茶振りされるか、死よりも恐ろしいことをされるか、カナリアならやりかねない。
カナリアが口を開く
「『僕の存在、僕関連の記憶を忘れてね』」