114話
ゲームが終わった。それは唐突だった。
殺しを強制され、地獄のようなゲームは終わった。人々はそれを少しずつ認識し、亡くなった人の弔いをしていた。これで平穏が訪れた、と考える。
それは正解だった。カナリアは死んだのだ。
時間は遡り。
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「僕の好きな様に動かせるなら作者じゃないよね〜。はぁ、困った困った。それで?このクソゲーを終わらせる為に、自称勇者様がお越しになられたようだ」
後ろを振り返る。そこには、ルイ、サイクス、アン、それとどこかで見たような女の子が居た。プレイヤーが2人、参加者が2人。サポーターが2とアタッカーが2、楽しめそうと考えるカナリア。ルイが口を開く
「カナ、僕がこのゲームを終わらせて人々を救う。悪いけど、カナを殺す」
「カーレンの事、俺は忘れてないからな。あいつの為にもお前を殺す」
「は、ははっ、はははははっ!人間が僕を?”死“という概念に囚われていない僕を?戯言を言うなよ」
仮面を着け、虚月を取り出す。髪は触手へと変わり、目が縦長に変わる。影が伸び、不定形の異形が湧き出てくる。準備は満タンらしい。
戦闘が開始された。
アンたち、サポーターはカナリアの思考を阻害し、戦局を有利にしようとする。が、そんな阻害など無意味に等しかった。やはり主力はルイとサイクスだった。
ルイが剣を取り出し、カナリアを斬ろうとするが不定形の異形に止められる。
「そうやすやすと攻撃が当たるとでも?僕は・・・・っと、危ない危ない」
おっとと、サイクスが殴りかかってきた、そんな奴には蹴りを入れよう。蹴りが入ったね。う〜ん、あまり効果が無いね。影で拘束して、腹を貫通。大量の血が視界に入る。サイクスは吐血して、僕から距離を取る。まったく、あれで殺せなかったのは予想外だったね。
流石に本気だね。僕も本気で行こう
「紅蓮破裂斬」
影にあたる。すると伸びていた影は無くなり、手札が減ったカナリア。まだ触手があるが、耐久力が無いせいで足止めにしかならなかった。対策されていた事に少し驚いたが、影を伸ばすことに意識を向ける。そこを突かれた
「あらら、穴が空いちゃった。肉体っていうのは不便だね」
ちっ。再生するのは問題ないけどエネルギーを消費するのは得策じゃないよね。ならそのままにしておこう。今は影を伸ばすことに集中しよう。
影が伸び始めた。影から大きな顎が出現しランダムに攻撃する。最悪全身が無くなる。
ルイたちはより一層緊張する。
ヤバいね。これじゃあ、状況がより一層悪くなるね。まだ権能?を使ってないからやり合えてるけど、使われたら・・・・想像したくないね。
「サイクス!」
「ああ!!」
掛け声に合わせてサイクスがカナリアに飛びかかる。避けようとするが動けなくなる。
[慈悲]の効果によるものだった。[慈悲]は対象を自由に動かせる。殺す事はできないが、それでも強い効果だった。
サイクスの拳を喰らい頭が外れる。地面を転がり伸びていた影は縮み、頭がハズレた肉体はその場に倒れる。あんなに強かったのに呆気なく死んだ。復活などせずに。
「お、俺たちやったんだな」
「う、うん。やっと終わったんだ。僕たちの手でカナを殺して」
喜ぶ2人、サポーターの2人はその場に崩れ泣いていた。これは私のシナリオに書かれていなくて、カナリアも予想外だった。