113話
「さ〜て、ゲームを終わらせる準備をしようか。砂時計と、大量のエネルギー。そして、スパイスとして」
その場からカナリアが消えた。どこに行ったのかは誰も・・・・え?なんでここに
「いや、前から来てた気がしたけど。それよりも、僕に[傲慢]と[色欲]を頂戴」
作者はね、無茶振りに弱い気がする。
え?無理だけど。なんで渡さないといけないの?こっちは傍観者でもあり、観測者だよ?こっちから干渉するのは私のポリシーに反する。それに、代価無しで渡すなんてね、都合が良すぎない?
「これ、ご都合主義だから」
ははっ、そうだったね。なら、条件を出させてもらおうかな。そうだな〜、代価として龍王を殺してもらおうかな。そしたら、考えてあげるよ。
「考える、じゃないんだよね。確実に欲しいんだよ。これは契約だ、僕の願いと作者が提示した条件によって」
長い長い。そもそもだ、そういうスキルは自力で獲得してこそじゃない?最初から最強だったら面白みが欠けると思わない?
む、僕の言葉を止めたな?アバターだからって調子に乗って上から目線で僕に話すなんて、烏滸がましい。これは傲慢かな?傲慢かも。
「何を言うのかと思ったらそんなことか。面白みが欠けるならそれを補えば良いだけだよ。と、言うわけでこの話、呑んでくれるよね?」
圧をかけながら話す。否定はさせない。もししたら、シナリオを存在ごと消してやる。
言っておくけど、私がここを去れば、その道程は大分遠くなるよ?こっちがサービスしてあげてるんだから感謝ぐらいしてもらわないとね。
「はぁ、呑まないか。もういいや、時間の無駄だし」
逃げるんだ。へぇ〜
あれ?もう居なくなった。そんなに嫌だったのかな?ま、こっちはシナリオの修正で忙しいから、私はナレーションに回るよ。
・・・・・・
・・・・
・・
頑なに拒否してたな〜。別に渡してくれても良かったのに。取り敢えず、目の前に集中しないと。
作者の居場所から離れたカナリアだが、運悪くルイたちと遭遇してしまった。プレイヤーである、ルイとサイクスはカナリアへの特攻をゲームのルールで所持しており結構ピンチと言える。
カナリアの第一声は
「久しぶりの再会なのに涙は流さず、武器を構えるんだね。僕悲しい」
と、警戒するのが馬鹿らしくなりそうな言葉だった。が、その言葉とは裏腹に目は真顔で口が裂けそうなぐらいに口角を上げた仮面を着けており、やる気は十分だった。
いつの間にか仮面を着けていることに少しは驚いたルイたち。
カナリアの事をある程度知っていたルイたちは行動する。魔法は使わずに物理で殴る。会話を挟まずに。カナリアの発言を聞いた瞬間に。
会話は不要らしい。ルイ君たちの手の内を改めて知っておく必要があるし、ここは戦闘に付き合おう。
「[虚空崩壊]」
カナリアの手に球体が現れたと思ったらそれを握り潰した。その光景を見たルイたちは、ある事に気付く。自分たちが吹き飛ばされていることに。
[虚空崩壊] 自身の手に球体を顕現させ、握りつぶすことで発動する。効果は単純、空間を崩壊させ、虚空に変え、ダメージを与える。距離をとったりするときに便利。虚空に変わってしまった場所は時間経過でしか、もとに戻らない。
「死なないように頑張りなよ」
「虚無」の神が動き出した。