理⑦
「ありがとうございました。では、我々はこれにて失礼致します」
「……はい。朝倉さんと進藤さん……この度は、申し訳ございませんでした」
腰を丸めて、玄関前で頭を下げる的場は、とても年老いて見えた。
それ程、世那まりかの両親と親睦があり……そして、情があったのだろうと推測出来た。
その姿に思う所がない訳ではない。
だが……それでも。
(言うべき事を隠すのは、赦されない。いや、赦せねぇよ……)
親友である洋壱を失った悲しみと比べるつもりはない。
赦す事は出来ないし、責める自分がいるのも事実だ。
だからこそ、識は調査を進めるしかない。
救えなかった友の残したモノに、報いるために。
「進藤さん、少し話を整理してみませんか? 車中になりますが……」
「問題ありません」
「承知致しました。では、車内に戻りましょう」
「はい」
こうして、車を止めていた駐車場まで戻ると、車内に入り、朝倉と識の二人は、情報整理を始めた。
「まず、山田まりと世那まりかは同一人物であった。そこは間違いなかったですね」
「はい……もっとも、山勘でしたが……」
「それでも前進には違いありませんから。では、次です。その世那まりかはストーカー気質であり、久川洋壱氏をストーカーしていた。ここまではよろしいですか?」
「はい。問題は、そこからですね? その世那まりかと多中修次との繋がり……」
「えぇ、その通りです進藤さん。肝心の世那まりかと多中修次の繋がりが掴めていません。なんらかの関係があったのは事実でしょうが……その接点が見えてきていません」
「世那まりかと多中修次……一体どこに接点が……ん?」
「どうされました、進藤さん?」
「これは、自分の経験則になるのですが……多中は俺達を執拗に狙っていましたよね?」
「そうですね、まるでストーカー……ん?」
「朝倉刑事、もし、もしも……多中にもストーカー気質があるとしたら、どうでしょうか?」
「発想の飛躍に近いと言わざるをえませんが……執念深い男なのは事実でしょう」
「……その線から、探ってみませんか?」
「ふむ? つまり、多中修次にストーカー遍歴が無いかどうかですね? そこは、竹田さんの領分です。聞いてみましょう」
「では、署に戻るのですか?」
「いえ、我々はこのまま引き続き、現地で調査を行いましょう」
「調べの基本は足から……という事ですか?」
「その通りです。竹田さんには今から連絡しますので、進藤さんはそちらの伝手で多中に繋がりそうな情報の精査をお願いしても?」
「俺に出来る事があるなら、やるだけです」
――こうして、二人は次へ動く事にした。
多中修次という人間について、知る事。
これが、突破口になると信じて……。




