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解④

(身体が痛むな……まぁ当然か)


 一旦思考を切り替えるために、シャワーを浴びた識は改めて身体が軋むのを感じていた。だが、その痛みが気持ちを紛らわせる。冷静さを取り戻した識は、適当な服に着替えた。白いYシャツにジーンズ姿。その上から黒いカーディガンを羽織ると、識は机に向かう。椅子を引いて、座ると携帯端末を開きながら、今まで得た情報等をまとめ始めた。

 辛い気持ちから、少しでも逃げるために。


 ****


「はぁ……」

 

 三時間ずっと集中していた識は、流石に眼精疲労もあり……目を休める事にした。椅子に背中を預け、深く息を吐きつつ、目を瞑る。だが、洋壱との思い出が過り、辛くなる。


(悔しいぜ……なんで俺は、あの時……)


 あの時。

 最後に洋壱と遊んだ日。彼は少し様子がおかしかった。今さらながらに、あの日は洋壱の元気がなかったような気もする。思い出せば思い出す程、悔やまれて仕方ない。もっと深く話を聞くべきだったのではないか? 少し強引でも、問いただすべきだったのではないか?

 そんな想いが胸中を駆け巡っては、後悔の念に苛まれる。その繰り返しをしていると、仕事用の携帯端末が鳴った。着信相手を見ると、朝倉からだった。識は慌てて、通話に出る。


『もしもし、進藤さんで間違いないでしょうか?』

「はい、朝倉刑事。進藤です。何か進展が?」


 冷静に応対したつもりだが、焦りは朝倉に伝わったらしい。彼は諭すような口調で話始めた。


『まぁ無理とは思いますが、少し落ち着きましょう?』

「は、はい……」

『では、本題ですが。あの男の身元が分かりました』

「なっ!?」

『はい。手段についてはお伝え出来ませんがね? それで、お手数ですが署までまた来ていただけませんか?』

「了解致しました。今から向かって構いませんか?」

『勿論です。お待ちしております』

「感謝します」


 通話を切ると、識は急いで上着を羽織り急いで家を出る。タクシーを呼んで慌てて乗り込み、練馬警察署を目指して車を走らせるのだった。


 ****


「お待ちしておりました、進藤さん」


 署に着くと、朝倉が出迎えに現れた。識は挨拶すると、朝倉の後に続く。ラフな服装で来た事に少しの後悔をしながら、識は朝倉と共に署内に入る。

 署員はもう見慣れたのか、怪しむ事も興味も持たず、すれ違って行く。

 それに救われながら、識はいつもの会議室へと通された。


「では、落ち着いたところで話の続きを致しましょうか」

「お願いします、朝倉刑事」

「えぇ、それはこちらこそですので。では……早速失礼しますね?」

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