子どもの相談
昨日、結婚して1年経つし生活にも慣れてきたから子どもの事も真剣に考えないか、そんな話をした。どうやら出産とかの相談ができる所があるらしく、私は明日暇だから試しに話を聞いて来るね、と言って話は終わった。
「そんな訳でして、恥ずかしながらどんな風に進めていけばいいのかも分からないんですよ」
「最近は人工胎盤を使った体外出産が主流ですからね。昔とはやり方が変わっていて、ご両親の話を聞いてもピンとこない方も多いんですよ」
「そうなんですよ! 保健の授業で聞いたのとは全然違くって。簡単になったとは聞くんですけど」
「はい、簡単ですよ。お二人の生殖細胞を採取して人工胎盤に入れれば後は待つだけです。人工胎盤のお陰で人体に負荷なく出産できるようになってます」
なるほど。これなら休む必要は無いし楽そうだ。技術の発展は凄まじい。
「人工胎盤でしたら、胎盤から出す時期も自由に設定できますので夜泣きなどで体力を減らす必要もありません。知能面は教育装置でカバーできますから、安心してご利用して頂いています」
「へー。そんな事まで出来るんですね。実際、何歳ぐらいの出産にする方が多いんですか?」
「生後6カ月から1年位の範囲が多いですね。やっぱり子どもと過ごす時間は宝物ですから、早めにしたいという方が多いです」
夜泣きは大変、なんて話を一昔前のデータではよく見たけど、今ではそんな心配も無いらしい。全く、今の時代に産んでくれた両親には感謝だね。
「それと、子どもの受精卵に遺伝子調整を行う人も増えてますね」
「あー。少し前になんかニュースでも話題になってましたね」
2,3年前だったかな。確か実用化に成功とか、そんな話だったっけ。
「そうでしたね。遺伝子調整は、遺伝病や生活習慣病の予防、老化対策にも有効ですからお子さんの将来のためにもお勧めしています」
「便利ですね。他にはどんな調整をする方が多いんですか?」
「一番多いのは、美人因子の導入ですね。やはりお子さんは可愛らしい方が良いですから。詳しくはこちらのパンフレットをご覧ください」
わーっ、色々あるなぁ。身体能力や思考能力の向上とか、猫も杓子も遺伝子調整って感じ。
「でも、さっき話されてた調整をするだけで結構なお値段になりますね。やっぱり技術的に難しかったりするんですか?」
「いえ、遺伝子編集自体は簡単ですよ。成功率100%、安心して下さいね。ただ、特許があるので使用料がかかるんですよ」
「あー。それじゃあ仕方ないですね」
「あはは。他に何か気になる事はありますか?」
「ん-、もう大丈夫ですね。今日はありがとうございます。家に持ち帰って相談してみますね」
「こちらこそ、ありがとうございます」
貰ったパンフレットをバッグに詰めて相談所を出る。外はすっかり日が傾き鮮やかな夕焼けが西の空に見えた。気付けば、子どもの事で感じていたモヤモヤとした不安が無くなっていた。やっぱり相談に来て良かった、そう思いながら帰路についた。




