Act.38 再会
この物語はフィクションです。
運転の際は交通ルールを守り、安全運転を心がけましょう。
「占部さん!?」
シビックから降りて来たのは、未来がよく知る人物。
現在未来がリーダーを務めている鞆の浦グリーンラインの走り屋チーム『ブラックローズ』の先代のリーダー、占部輝樹であった。
久しい再会もあり、少し未来も心を踊らせてしまっていた。道端のド真ん中で話すのも良くないので、脇の公園へと車を入れて話を進めていた。
まず、なぜ占部が道を塞ぐように車を停めていたか。それは未来を待つためだと言う。
明日には野呂山にてバトルがあるし、その前に懐かしのグリーンラインで未来と話がしたいからと態々ここまで来たのだ。
ただ、少し占部の様子がおかしい事にも未来は勘づいた。
「しかし小林さん相変わらず可愛いね」
「え…? あぁ…ありがとうございます」
そう言って占部は未来に近づき、困惑する未来の顎をクイッと上げてマジマジと眺めている。
そしていきなり顔を近づけて来た。
「いやぁ! やめてください!」
未来は占部を振り払う様に距離を置いた。
「何をするんですの? 占部さんはそう言うことする人じゃ……」
「何を言っているんだい? 俺は俺さ。小林さんに提案があるだけさ」
開き直ったように、何事も無かったかのように提案があると言う占部。より一層未来は困惑するが、気に留めず話を続ける。
「実はね。君の大学に俺と遊んでる女の子に言われてここにいるんだ。グリーンラインを走る女の子をめちゃくちゃにして欲しいってね」
未来にとっては意中になかった大学の女性達からの敵意で、距離を置いたかつて尊敬していた占部がここにいると聞かされた。正直心中はパニックで、どうしたら良いか分からなくなって来る。
「だからね。君をここで犯しても良いし再起不能にまで痛め付けてもいい。どうせ助けは来ないんだ。お誂え向きにトイレもあることだし…」
ショックもあるが、一先ずここから逃げないとヤバい……!
もはや正気を失ったと言っても過言では無い占部と相手する余裕など無いし、こんな男に好きに弄ばれてはたまらない。
運良く距離を置いて離れ立った場所は、背後に未来のBRZがあるところ。迷っている暇などなかった。
「見損ないましたわ。私帰ります」
急いでドアを開いて車に乗り込み、エンジンを始動。
「逃がすか!絶対マワしてやる!」
走って追ってくる占部を振り払うため、シートベルトもアイドリング安定も待たず、エンジン始動した瞬間フルスロットルで発進する。
占部も意地で車のドアを開けようと身を車に投げたが、命からがら逃げている未来には関係なく弾き飛ばされ、占部は未来を取り逃した。
「こうなったら…そのBRZごと谷底に落としてやるよ。ここで俺に勝てるわけ無いしな」
そう言って占部は自身のシビックに乗り込み、思わぬ逃走劇が始まってしまった。
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