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MINE's Z  作者: 岩野 匠鹿
3/44

Act.2 基本の違い

3話目をお読み下さり、ありがとうございます。


私の地元を舞台に選んでいるので、全く知らない所で走っていると置いて行かれる方もいらっしゃるかと思いますが、基本的に場所場所の特色は押さえ込んで描こうと思っております。





この物語はフィクションです。運転の際には交通ルールを守り、安全運転を心がけましょう。


意気揚々とスタートした2台。


最初は勾配のキツイ登り坂が来るため、空のZが頭を張る。460馬力は伊達ではない。

対する未来のBRZは240馬力ほど。吸排気とカムシャフト、それに付随するようにECUもリファイン。レスポンスと高回転までの伸びを重視したメカチューン仕様だ。


そのためパワーはお世辞にも出ていないので、序盤の登りセクションではZの後塵を拝むこととなる。



「元気いいですこと。いつまで続くでしょうかね」



全く気にしておらず、未来に取って予想通りすぎる展開である。

空からしたら、ここで出来る限り逃げておきたい。そのため、来る第1コーナーを最小限の減速と舵角でクリアするため、ハイパワーを一身にリアタイヤに伝え、一部を通して拒否されてパワードリフトを敢行。

大胆なコーナーワークに感心していた未来を振り切るように、セクション終了までコーナーワークを崩さなかった。


一方、後ろで感心しっ放しの未来ではあるわけが無い。大胆なドリフトを魅せられた後のタイヤ痕を否定するかのように、綺麗に理想なラインを意識したグリップコーナリングを披露。


無駄な減速をしないのがセオリーだが、勾配があるためにある程度の減速は免れない。

となれば、ローパワーなBRZを振り回すより無駄なく曲げる方が有意義と言うものだ。おかげでZよりもクリアスピードレンジは上である。



Zの方がやっと長い登り坂が終わり、登りと下りが混合したセクションへと移り変わる。同時に、木々に覆われたコースも一時的に開けて、右側を見れば瀬戸内海を一望できる様な絶景スポットがあるのだ。


しかし、今の空からしても、景色など悠長に見ている余裕などない。ここから完全にパワーを持て余す。

アップダウンが激しい上にS字コーナーの連続なため、下手にアクセルを空け続けると簡単にフロントがフライアウェイする。パワーがある車なら如実なものだ。


そのため、Zは先程までの勢いは鳴りを潜めてしまい、ステアリングとアクセルワークに集中して格闘する事に。

正しい攻略方法であるが、実を言うと空はこう言う繊細なコーナーワークは得意では無い。3Lと言うエンジンにターボで460馬力を叩き出すマシンだ。ブースト圧を出来る限り落とさず、尚且つフロントに荷重を載せて、アクセルは踏み過ぎず浅過ぎず……。

これが影響してか、いくらか先程までと比べてスピードレンジが落ちたことを未来は見逃さなかった。



未来のBRZは、S字を縫うようにして最短距離を綺麗に走るスタイルを選択。ローパワーな車なので、こう言う場面でのドライバビリティは格段上だ。












景色が見えるセクションを過ぎ、展望台のある公園前。約50Mほどあっただろう2台のアドバンテージは目と鼻の先となっていた。


地元と言うのも、車がコースにピッタリと言うのも十分に言えることであるが、戦闘力自体はZの方が高いのは言うまでもない。

圧倒的なパワーとトルク、足回りを重視してチューンされているのを見ると、振り回し方次第ではコーナリングマシンと言っても過言では無くなる。



ここまで随分と、空のZが甚振られて来たが、BRZがZの真後ろで今か今かと煽っている。

コーナーひとつで差が縮まり、少しストレートがあればZが離しにかかる場面が続き、コースの序盤が終わりに近づいてきていた。


空もただただ何もせず後ろのBRZの凄みを眺めていたわけではない。

コースの癖やZとコーナリングへの同調を気にかけ、動きをセーブしていたのだ



「ようやく分かってきたわ。Zの良い扱い方が!」





序盤の細々としたコーナーが続くセクションを終え、高速コーナーが増える。ここは未来の得意のセクションなだけあり、後ろからのプレッシャーが一層強く感じられるようになった。


その変化を見逃さず対抗する様に逃げの姿勢を一層強くする空。

だが、力を入れすぎてアクセルを開けすぎるとリアが暴れ出すのがオチ。無理に攻めるほど泥沼にハマっていくのだ。


それを地元である神奈川でも、車をビルドしてくれた兄によく言われていた事だ。





カッとなってチャージするのは愚の骨頂と、某ラーメン屋大将が言っていたように、パワーのある車でもコーナーが強い車でも大事なのは、まず冷静でいること。


冷静を保った状態で溢れ出るアドレナリンを止めどなく放出させるのが良い走りには不可欠の条件なのだ。



その指導を思い出しつつ、再びZのアクセルとステアリングに向き合ってみる。

このコーナーのR具合であれば、どれくらいのアクセル開度で舵角はどれくらいかを分析。

先程まで後ろからの予想外の健闘に焦っていた自分を捨て、自分と向き合うことで答えを導き出すのだ。




「よぉし!やってやろうじゃないの!」


ここでは人物の紹介を致したいと思います。



月野空 つきのそら 21歳 搭乗マシン:日産フェアレディZ RZ34型 460馬力



神奈川県出身。父の生前に遭遇したスープラを追うため広島にやってくる。

男にも億すことなく、男女平等に自分らしい対応をする。明るく元気が自分のポリシー。


好きな物:Zで峠攻め、卵料理全般

嫌いな物:虫全般、自分を棚に上げる人


得意技:跳び箱

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