今の時代、電子機器が使えなくなったらどうなるのさ!目覚ましすら鳴らなくなるよ!
「ぐぬぬ、何だこの重さは!?」
「体が動かんぞ!」
グエンの部隊は大混乱に陥っている。
グエンはスーツのスイッチを何度も叩いたが、無駄だった。
スーツはまるで死んだように反応しない。
周囲を見回すと、部下たちも同じ目に遭っている。
ロボット兵たちも動きが止まっている。
ロボット達の仕業ではないらしい。
グエンは、この任務に出る前に、新型の戦闘スーツを研究開発チームから渡された。
このスーツはAIが操る最新鋭のもので、あらゆる機能を備えていた。
体の動きを補助、敵から姿を隠し、攻撃を支援、敵の動きを予測、攻撃を防御、周囲の状況を探知、視界を広げる、仲間と連絡を取るなど。
これらの機能があれば、どんな敵でも倒せると思っていた。
常に装備をアップデートすることで賞金稼ぎとしての実績も上がり、賞金稼ぎランキングも上位に食い込んだ。
しかし、今やそのスーツはただの重荷になってしまった。
対物電電磁波兵器。
これは、電子子機器をを破壊するための兵器である。
前回のG国で、この兵器を使ってかなり苦戦した。
だから今回のスーツは、その対策がされていると聞いていたが。
やはり、、研究開発チームのメンバーも作戦に参加させるべきだな。
グエンはそう思った。
現場は、研究開発室内では想像もできない事態が起こる。
それをデータでなく、実際に体感することは大切だ。
もちろん、部隊メンバーもも研究室に行くことが必要。
研究開発チームの苦労を知る必要がある。
研究開発の会議にもどんどん参加するべきでもある。
これがグエンの考える理想の組組織だ。
実際は、部隊メンバーと研究開発チームには大きな壁がある。
グエンはこの壁を壊すべく、率先してて研究開発室に出入りしていた。
また、会議にも積極的に顔を出している。
研究開発チームの話を少しでも理解するため、あれほどど嫌っていた数学や化学を独学で勉強し始めていた。
全ては生まれ変わるY国のため。。。。
「これは複合型対物電磁波兵器だ・・・」
グエンは冷静に分析した。
この兵器は電子機器にダメージを与える。
だからスーツもロボットも動かなくなったのだ。
この兵器を発射したのは誰だ?
敵の擁壁の向こうにいる者たちではない。
彼らは自分たちも被害を受けるはずだ。
では・・・目の前にある潜水艦か?
「誰が操っているんだ?」
グエンはその疑問を追ったが、答えは見つからなかった。
そして、次の攻撃に備えるべく、スーツを脱ぎ捨てて銃を手に取った。
グエンは聞いた。
潜水艦の魚雷発射口が開く音を。
潜水艦の中では、男が楽しげに鼻歌を歌っていた。
彼は素早く操縦席に座り、魚雷発射の最終確認を行う。
すると、潜水艦の下から金属音が響いてくる。
「攻撃って、どこを?」
イズナは男に不審げに訊ねた。
雷獣たちは、男の動きに違和感を覚えていた。
男は潜水艦の操縦席に座り、操作盤に手を伸ばしている。
何をしようとしているのだろうか?
「おそらく、大きな飛び道具を使うつもりだね。」
後鬼が言った。
後鬼は必死で操作盤と男の思念を読み取ろうとしていた。
しかし、男の思念は混沌としていて、はっきりとした意図が掴めない。
「飛び道具って・・・」
イズナが言いかけたところで、
「皆さん、しっかりとつかまってくださいね。」
男がにこやかに言う。
そして、赤いボタンを次々と押していく。
満面の笑みで。
魚雷発射ボタンを。