やられっぱなしって自分を不幸にするのかも。自分の幸せゲージをMAXにするには・・・・
コントロールルームの計器が突然ビーという高い音を発した。
イズナは耳を押えて叫んだ。「何だ、この音は?」
「擁壁の外に、新たな敵が現れたという警報のようですね。」後鬼は横目で男を見る。
この男はいつも冷静である。
あまりにも冷静過ぎ気も。。。。
「白い機械仕掛け人形も含めて、みんなじっくりと攻めてくるんでしょうね。時間をかけられるとこっちが不利になりますからね。」
男はのんびりと答える。
その言葉に雷獣は腹が立った。
時間をかけられると不利になるのは確かだ。
どうしたらいいのだろう・・・
その時、艦が大きく揺れた。
艦にかかる橋を渡っていた部隊がバランスを崩しているのが画面に映った。
向こうも向こうで大変なことになっているらしい。
雷獣は男に聞いた。
「何が起きているんだ?」
男はモニターを見て言う。
「擁壁の外からの攻撃です。この倉庫に無理やり入ろうとしているみたいですね。」
雷獣の顔が曇る。
また、別の奴らがやってくるのか・・・
「じゃあ、こっちから先制攻撃しちゃいましょうよ。」
男は突然そう言ってニヤリと笑った。
雷獣・イズナ・後鬼は男の顔を見て呆れた。
「マジで言ってんのか?」
男は肩をすくめて言った。
「もちろんです。こっちが攻めなきゃ、相手がつけあがるだけですから。」
イズナは男に対してブチ切れていた。
「攻撃って言っても、どうするんだよ!」
イズナはこの男を信用していない。
そもそも、イズナは人間なんて大嫌いだ。
人間は森や山を勝手に侵略している。
木々を切り倒し、動物達を追い出し、土地を荒らす。
それだけじゃなくて、人間は森や山に得体のしれないゴミを捨てる。
プラスチックや金属や化学物質など、イズナには意味もわからないものだ。
それらは森や山に悪臭や汚染をもたらす。
イズナはそのせいで仲間や子供達をたくさん失った。
大切な仲間たちは苦しみながら死んでいった。
イズナはその光景を忘れられなかった。
絶対に許さない。
「これでいきますか。耳を押さえててくださいね。」
その言葉と同時に、妖怪たちの耳から脳にかけて耐え難い音が響く。
気が狂いそうだ!
雷獣は男に向かって怒鳴る。
「何をやったんだ!」
雷獣は側面にあるモニターを見て目を見開いた。
あれだけ凶暴に動き回っていたロボット達が動かなくなっている。
かすみがかかっていた人間たちの姿が、今はくっきりと見える。
頭から足の先まで変な金属に包まれているような姿。
「まずは、電子機器を潰しました。」
男はニヤリと言う。
その笑顔に雷獣は悪寒を覚えた。
まずは?
この男は、まだ何か別のことをするつもりなのか?
雷獣は男の目を見て聞いた。
「次は何をするんだ?」