あなたは危ない状況を見て、逃げる?入り込む?私は見なかったことにする!!
倉庫の高台から、グエンの部隊は眼下の光景を見守っていた。
水面は激しく荒れ、時折戦闘ロボットの残骸が波に揺れては姿を消していく。
これらのロボットは、どこかの秘密組織が極秘に開発した最新鋭の兵器だろう。
グエンはその様子を黙って観察していた。
彼は、感情を顔に表すことはない。
部隊がこの施設に潜入した目的は、貴重な実験体を奪うこと。
その実験体には高額の報酬が約束されている。
ただ、実験体の姿はまだ見当たらない。
まあ、これらの最新鋭ロボットも市場で高値で売れそうだ。
それに、あの奇妙な生き物たちも…。
しかし、もう一つの噂で聞いた大物が目の前にある。
それは巨大な新型潜水艦だった。
R国が極秘に開発した新型潜水艦で、これには相当な価値がある。
彼は自身が身に纏う新型戦闘スーツを眺めた。
まだ試験段階にあったが、非凡な性能を発揮する新型。
動くロボット兵と謎の生き物達、未知の力を持つ相手にどれだけの性能が発揮できるのか?
スーツの真の性能を試すチャンスだ。
彼は口元に冷徹な笑みを浮かべる。
究極のスリルがここにある。
魚雷発射管の中は狭く、ほとんど隙間がない。
雷獣たちは身体をねじりながら、一人ずつ潜水艦の内部に潜り込む。
空間は暗闇に包まれていた。
冷たい鋼鉄が周囲を覆い、機械のカチカチという音や油の匂いが鼻に立つ。
人間の匂いも混じっていたが、誰かの気配は感じられなかった。
後鬼は指先から火花を散らし、周囲をかすかに照らしてみる。
後鬼は火術を使える数少ない者の一人だ。
彼の視界に近くに、伸びた梯子が映る。
おそらく上の階に続いているだろう。
後鬼は形代と呼ばれる紙切れも数枚飛ばし、状況を探った。
形代は後鬼の目と耳となって周囲を探る。
しかし、何も見当たらない。
いや、わずかに何か…
「上に行けば、この巨大な謎の正体が明らかになるかもしれない。」
後鬼は言う。
「いいだろ、行ってみよう。」
雷獣が答える。
後鬼の形代が案内し、雷獣たちはコントロールルームに到達した。
コントロールルームは彼らの予想を超えて狭く、無機的な空間だった。
正面にはモニターやボタン、レバーがずらりと並び、左右の壁も同様である。
雷獣は不安に襲われる。
ここで何をすべきか?
何が起こっているのか?
まだ、理解できない。
イズナと後鬼も同じように不安げな表情を浮かべている。
そのとき、背後からわずかな光を感じた。
雷獣たちは一斉に振り向く。
コントロールルームのドア近くに、人間と白い毛並みの小さい動物が倒れていた。
小さい動物は、天狐のように見えたが、同時に違いも感じられる。
動物は子狐のようだ。
この子狐は上半身が真っ白で、下半身は真っ黒。
そして、尾が二本ある。
一本はふさふさとした白い尾。
もう一本は青い炎でできた尾。
炎の尾はゆらゆらと動き、コントロールルームに奇妙な光を投げかけている。
「天狐…様?」雷獣は思わず声を漏らしました。
彼は天狐を尊敬しており、その姿を見るだけで胸が高鳴る。
しかし、この子狐は明らかに雷獣達の知る天狐ではなかった。
それなら、この子狐は一体何者なのだろうか?
イズナと後鬼も同じように混乱している様子だ。
この突然現れた人間と子狐は、どこから来たのだろうか?
そして、なぜ彼らはここで倒れているのだろうか?
なぜ、自分たちは気配を感じることができなかったのか?
その答えを知るため、その人間と子狐に近づくことを決意する。