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ようやく攻略開始っぽい杏仁豆腐

 ______かつて、この地には獣人最大の拠点である巨大地下迷宮が存在し、数多の勇者達がこのダンジョンに挑戦し、散っていった。


 如何なる大軍を投入しようとも成果を得られず、被害ばかりが増えていく状況に頭を抱えていた時の為政者達は、国一番の賢者に意見を求めた所、彼女はこう言った。


 「それなら地上への出入り口を結界で塞いで、獣人を閉じ込めてしまえば良かろう」 


 かくして、臭い物には蓋とばかりに結界が張られ、更にその封印の監視と防衛の為に城が建てられ、封印を施した賢者はその城主となった_____



 

 「と言う訳じゃ」

 玉座に座って届かない足をぶらぶらさせながら、極ロリ城主は自慢気にこの城が出来た逸話を語った。

 「いや、訳じゃって言われても、それと今回の件に何の関係があるんだ……?」

 「察しの悪い奴じゃな」

 「要するに、椋の当たらない占いで私達の探してる鷹文はこの城には居ないって出たから、なら、この城の何所かに居るって訳。で、それなら地下にあるその迷宮に居るんじゃないかって事でしょ?」

 「ああ、そういう事か」

 「お、お姉ちゃん……」

 情け容赦の無い杏の説明でようやく合点がいく。 

 いや、でも待てよ。

 「迷宮への入り口は結界で塞いであるんじゃないのか?だとしたら、どっから入ったんだ?」

 「そう言えばそうよねえ」

 「ダンジョンへの入り口はあくまで獣人に対しての物だから、人間は通る事が出来るの」

 「そんなに便利な物なのか……?」

 「うむ。何しろこの国一の大賢者であるわしがかけた物じゃからな」

 「あの……だとしたら、鷹文さんを連れ去ったのは、獣人達じゃない事になりませんか?」

 椋の鋭い指摘に、その場に居た者の視線が一斉に集まり、彼女はびくっと身を竦ませる。

 そうだ。その通りだ。

 「犯人は獣人じゃないって事は……一体誰なんだ?」

 「それは判らぬ。獣人共の他にも鷹文や我等の事をよく思ってはおらぬ輩は多いからのう。それらの調査も含め、早速お主達にダンジョンの探索を頼みたいが、どうじゃ?やってくれるか?」

 「まあ、乗りかかった船だしな。やってやるぜ!」




 てな訳で、ダンジョン探索に向かう事になった俺達は、一度準備を整え、翌日ダンジョンの入り口の有る城の地下に集合した。

 メンバーは以下の通りだ。


 ☆岡崎朋也/剣士 

 通り名/リガールドの赤い牙

 HP(体力)B/Atk(攻撃力)B/Def(防御力)B

 Int(知力)D/Dex(器用さ)A/Spd(素早さ)B

 武器・ショートスピア(短めの槍。片手でも扱いやすい)C

 防具・工事用ヘルメット&作業服一式(動きやすく作業時の安全性も高い)D

   ・鉄の盾(鉄製の丸い盾)C

 アクセ 木彫りの海星(手作りのヒトデ。風子が呼び出せる)

 特殊能力

 ・電気工技能(電気工としての知識を活かし、トラップ作成や簡単な修理が出来る)

 ・フーコマスター(妖魔風子を召喚する。たまに勝手に出る)

 ・???(最後の奥の手的な物。バレバレだが秘密)

 ※1、能力及び装備は作者の勝手な主観による物です。基本高A~E低の五段階。

 ※2、原作ゲームと多少ステータス項目における意味合いが違います。

 ※3、剣士と言う職業柄?か、若干朋也の口調が粗野になっていますが仕様です。


 ☆春原陽平/盗賊 

 通り名/リガールドの黄色いサル

 HPA/AtkC/DefB/IntZ/DexB/SpdB

 武器・トライデントガム(三叉のガム。シュガーレス)E

   ・ダガーっぽい杏仁豆腐(ダガーの形をした杏仁豆腐。一応短剣代わりになる)E

 防具・これ鎧!?一式(本当に鎧なの!?と疑問の残る装備一式)E

 アクセ・Hな本(敵と男が釘付けになる。たまに女もなる)

 特殊能力

 ・金髪(なんかムカつくので敵の標的になりやすい。味方からもなりやすい)

 ・オートリジェネ(どんなダメージも次のターンには勝手に回復する)

 ・妹思い(妹がピンチになると、駆けつけかばう)


 ☆古河渚/魔法使い

 HPE/AtkE/DefE/IntC/DexD/SpdE

 武器・魔法使いのスタッフ(賢くなりそうな杖。あまり直接攻撃には向かない)E

 防具・魔法使いのローブ(賢くなりそうなローブ。防御魔法がかけられている)B

 特殊能力

 ・演劇部(味方の一人になりきる。あくまでなりきるだけなので、能力はそのまま)

 ・お母さんのパン(お母さんが焼いたパン。食べると震えが止まらなくなる)

 ・???(奥の手。まだ内緒)


 ☆藤林杏/忍者

 HPB/AtkB/DefC/IntC/DexA/SpdA

 武器・手裏剣(全方位に投げれる投擲武器)C

   ・辞書(全方位に投げれる投擲武器)B

 防具・鎖帷子&忍装束(軽さを重視したいかにも忍者らしい服)C

 特殊能力

 ・無限書庫(杏リミテッド・ブック・シェルフ。何処からか無限に本が取り出せる)

 ・獣使い(忍猪のボタンを使役する。七変化するらしい)

 ・藤林流忍術(小雪忍……いや、藤林流忍術が色々使える)

 

 ☆藤林椋/プリースト

 HPD/AtkD/DefD/IntB/DexE/SpdD

 武器・ラッキーモーニングスター(ラッキー?な棘付きの鉄球を鎖で繋いだ武器)C

 防具・白衣の天使っぽいピンクのシルバーローブ(思わず看護されたくなる清潔感溢れる服)C

 アクセ・トランプ(占いにも暇つぶしにも使える万能ツール)

 特殊能力

 ・医療知識(傷の手当てが出来る。回復薬の効果2倍)

 ・お弁当(真心のこもったお弁当。食べると感激のあまり失神する)

 ・占い(的中率0%という脅威の的中率を誇る占い)


 ☆一之瀬ことみ/ウィザード

 HPD/AtkE/DefD/IntA/DexD/SpdE

 武器・ルシファースピア(柄の両端に三日月の様な刃と球型の鈍器が付いた星をも砕く槍)S

 防具・聖なる黒いドレス(大人っぽいドレス。聖なる力で守られている)B

 アクセ・バイオリン(使う人によっては、凶器にもなる楽器)

 特殊能力

 ・博学(何でも知ってる。知ってることだけ知ってる)

 ・テレポート(師匠直伝の移動魔法。一度行った場所に皆を運べる)

 ・バイオリン演奏(そのあまりの素晴らしさに、聴く者には天国が見える)


 最初のメンバーに加え、回復役として椋と、移動魔法の使えることみが加ってくれた事が心強い。

 そしてもう一人……

 「それと、後もう一人頼りになる助っ人を呼んでおる」

 「助っ人?」

 「おいおい、この僕が居るんだ。そんな物必要ないだろ?」

 「是非よろしく頼む」

 「岡崎、僕じゃ頼りないって言うのかよ!?」

 「いや、もちろんお前の囮としての能力には期待してるぜ!」

 「何だよそれ!?」

 折角親指を立てて褒めてやったのに、春原は食い下がってくる。

 何かウザくなってきたので殴って黙らせようかとも思ったが、その時現れた人間?に思わず目を奪われ、春原なんてどうでもよくなった。

 何しろそいつは……。

 「く、くまぁ!?」

 遅れて気付いた春原が驚きの声をあげる。

 そう、現れたそいつは明らかにくまだった。

 背中に身の丈程の大剣を背負った、間抜けな顔をしたくまの着ぐるみだった。

 「わぁ、可愛いくまさんです!」

 えっ!?

 「大っきなくまさん、とっても可愛いの」

 なぬ!?

 ……女共には好評な様だった。

 「この者は『森野くまさん』と言ってな。凄腕の剣士じゃ。この者も同行させるがよい」

 

 ☆森野くまさん/剣士

 HPB/AtkS/DefB/IntB/DexB/SpdS

 武器・エグゼキューショナーズソード(斬首刑用の巨大で残虐な両手剣)A

 防具・クマの着ぐるみ(防御魔法がかかっており、もこもこで衝撃も吸収出来る)B

 特殊能力

 ・蹴り使い(武器だけでなく、蹴りでも戦える。出鱈目に強い)

 ・グラビティー(自分の周囲の重力を操る。出鱈目に強い)

 ・???(乙女の秘密だ)


 「ぷっ、くくっ、岡崎、あのくま攻撃やスピードSなんだけど!あんなデカイ剣背負ってるからどんだけ強いんだと思ったら、とんだ見掛け倒しじゃん」

 「アホか。あのSはお前のZと違って、スペシャル、ようはAより上って事だ」

 「Aの上!?A~Eの五段階評価じゃないの!?」

 「まあ、凄すぎて最早評価出来ぬレベルの事じゃな。ちなみにわしの知力もSじゃ」

 「ええっ!?てっきりお子様だからバカだと思ってた……」

 「……例え本当の五歳児だったとしても、お主よりは利口じゃがな」

 「「「うんうん」」」

 「みんなして頷くなよ!」

 「ま、まあ、見た目はあれだが、実力はありそうだな。よろしく頼むぜ」

 こくんとくまが頷き、七人目の仲間として森野くまさんが加わった。

 正直、俺も春原じゃないが少々不安だ。

 ステータスに間違いは無いだろうが、流石にあんな格好してちゃな……。

 それと、苗字はともかく名前が『くまさん』なのか?

 敬称つけると『くまさんさん』になるのか?

 「ハグしてみたいの」

 「あの……私もことみちゃんの次いいですか?」

 「あ……じゃあ、私も……」

 女共は嬉しそうにかわるがわるくまに抱きついていた。

 中身むさい男かもしれんのに……いいのか?

 そんな中、杏だけは輪から離れた所で妹達の様子をうかがいながら何かを考えている様だった。



 

 <<地下一階>>

 

 重厚な門を抜け地下へと続く薄暗く長い階段を抜けると、俺達はやたらと広い空間に出る。

 「どうやら、ここが地下一階みたいだな」

 「地下迷宮ってくらいだからもっと狭っ苦しい迷路だと思ってたけど、何にも無いね」

 「昔正規軍が攻撃した際に、行軍し易いよう邪魔な壁は撤去されてるの」

 「もはや迷宮でも何でも無いわね」

 「まあ、楽でいいじゃん。とっとと次の階に行こうよ」

 「……いや、どうやらそう簡単にはいかないみたいだぜ」

 「そのようね……みんな、ここはもう敵地よ。気を引き締めなさい!」

 俺と杏は気配を察知して武器を構える。

 早速来たか……どうやら相当な数の獣人共に遠巻きに囲まれているみてえだ。

 まあ、敵の巣窟なんだから当然か。

 「隠れる所もねえし、正面からやるしかねえか」

 「いきなり総力戦ね」

 「ふふっ、ついにこの僕の実力を見せる時が来たようだね。渚ちゃんに椋ちゃん、ことみちゃん、君達は僕が守る!」

 「よっし!じゃあ逝け春原!」

 女の子が増えて張り切る春原のケツを、いつもの様に蹴っとばす。

 「とっとっ、何すんだよ岡崎!?人が格好良く決めてる時に……って、ひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

 狙い通り突出した春原に、獣人達が殺到する。

 「今だ!みんな、一気に片をつけるぜ!」

 俺達のダンジョン攻略が、今始まった。

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