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【彼】
『まーーだ、惚れたままだ。』
真っ暗な世界で、どこからともなく映し出されている映像を観ながら【彼】は呆れたような声を出した。
映像にはアーサーとダンスをしているユリアがいて、彼女の心を読むように【彼】はやれやれと首を振り、隣に浮かぶひどく罅割れた球体に話しかける。
『なぁ、お前も思うよな?もう惚れるなって。』
球体は、何も反応を示さないのに、【彼】は何か返事を聞いたかのように満足して頷く。
『まぁ良いんだけどよ。また魂が壊れてくれたら、それこそーー食べ頃だ。』
愉快そうな笑い声を出して、【彼】は映像の中にいるユリアを見つめた。




