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悪女語り。  作者: 林 空花
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クーガンの戦い④



ユンが倒れたが、ユリアは先程の'何か'の発言に気を取られていた。しかし、そんな時間はないと我に返る。


「恐らく潜伏兵達も今回の爆発で無事に守られているから、すぐに見つけましょう。ユン様の力は、今日一日のものだと思うので。

ユン様には私が着いております。皆さんは敵を捕縛して下さい。よろしくお願いします。」


「しかし、捕縛と言っても誰が潜伏か」


「簡単です。落胆している奴がいるはずです。安堵ではなく、落胆。ユン様の紙にはそうゆう心情の変化に反応し、黄色に光ることができます。紙が黄色に光っている方を捕縛して下さい。」


「わ、分かりました!」


ドタバタと団長などが部屋から飛び出していく。ユリアは倒れたユンに近づく。顔が真っ青だ。


「………お疲れ様でした。」


あとは、兵達次第だ。


ユンの身体をガリアーノに抱き上げてもらい、ユリアはマクシミリアンとガリアーノと共に部屋から出て行き、恐らく爆発で混乱しているであろう広場へと向かった。






ウィリアムは結界内の煙が消え、クーガンが見えてくると、目を見開く。建物の一部や小さいが恐らく人影にまで結界が張られていることに気づいた。

ここまで広範囲に、しかも細かく結界が張れるとは思っていなかった。


「ちょ!旦那!よそ見しないで!」


ウィリアムの護衛をしていた傭兵が降り落ちてくる弓矢からウィリアムを庇う。

ウィリアムは舌打ちをし、馬の方向を崖の上の私兵から、クーガンへと向ける。


「ムガラ!作戦を変える!クーガンは無事だ!ナニクンと合流する!!」


ウィリアムの指示が聞こえたムガラはすぐに全体に指揮を出す。訓練を積んだ面子は疑問を感じることなく、ムガラの指揮通りに動く。

散り散りになり、弓矢の方向が定まらなくなる。ミキルは弓の数を残すために、弓矢を止める指示を出す。そしてミキルは、クーガンへと視線を向け、無事であることを確認する。


人間の力とは思えない力だな……


ハーデン聖堂が何故ここまでま力があるのか、まざまざと見せつけられた。王家がハーデンの女神を国教としなくなった時は恐ろしいが、そこまでは出来ないだろう。強大過ぎる力は、友好関係を結ぶのがいい。


まぁユン大司祭が亡くなったら、ここまでの力がある後継がいないかもだが……

そうしたら、アーサーが本当に独裁がし易くなる。


ミキルは、アーサーに良き王になることは望んでいない。ただ最も難しいことを望んでいる。この世の不条理を自分の仲間に降りかかることがないようにしてほしいと望んでいる。

そんなこと出来ないと知っているのに、アーサーにそれを望んだ。アーサーは、それでも笑った。是と言った。

それが上に立つ者の役目と言わんばかり。


ミキルは生贄のようだと哀れんだ。でも撤回する気はサラサラない。

その為にミキルは命を、そして仲間の命までもアーサーにかけた。そこに不条理が生まれようと、降りかかろうと覚悟して、アーサーに全てを賭けた。


「ボスー!追いかけますか。」


「…いや。アーサーを待つ。恐らくあっちもナニクンと合流する。戦争だ。」


ミキルはとりあえずウィリアム達が他所に行ったことを確認し、アーサー達が訪れることを待つことにした。

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