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電気ウサギは脳みその夢を見るか  作者: 三毛 路
1章:The End Of The World /人生最悪の日
5/5

3:ジェイルの雑談ときな臭い雰囲気

 ブックマーク、評価、いいねありがとうございます。

 思ったより幼くなってしまったの女の子の年齢が9→6歳になってます。すみません……。

 ふわっとした設定を固めていたらいくつか書き直しが発生しました。

 今後そういうことが無いようにさらに設定を固めたら大分遅くなりました……重ね重ねすみません……。

 あとネタでも何でもなく忘れてたプロローグを飛んだ先{1章の1)のあらすじを追加しました……すみません。

 それと『女→男もあり』タグを加えました。現時点ですでに出ているキャラがTSします。TS前は一章だけのお付き合いなので愛着も沸きづらいと思いましたが、気にされる方も多いかと思いまして追加しました。

 「おじちゃんはもう大丈夫だから、お嬢ちゃんも落ちついてくれないか……?」


 なんとかトラウマから立ち直った俺は、涙ぐむ少女を必死で宥めすかそうとしていた。はたから見れば事案のようである。

 俺はしゃがんで、女の子と目線を合わせる。今だ気分は(すぐ)れない。困ったことに子供は苦手だが子供の扱いはもっと苦手である。


 「あの……遠くから見えましたが、大丈夫ですか?」


 幻覚に精神をやられ、さらに赤毛を揺らす少女に集中していた俺は、その後ろからゆっくり近づいてくる人物に気が付かなかった。

 うん、わかってる。この年頃の女の子がこの時間に一人で都市を歩いているわけがない。

 だいたいが同行者がいるだろう。この場合多いのは血縁者か友人か。両親か祖父母か兄弟姉妹か同級生か。

 そして声からすれば、俺からすれば最悪の部類の同行者であろう。俺は、覚悟を、決め、た。


 「あの、本当に大丈夫ですか……? すぐに巡視汎用医療装置(メディカライカー)を……」


 予想通り(あと)からやってきたのは、俺よりすこし若い女性だった。おそらくは女の子の母親だろう。ゆったりとしたワンピースと薄手のカーディガンで、日傘を差している。

 思考に沈み、覚悟を決めてた俺が反応が遅れたのを、具合が悪いのかと彼女が個人端末を取り出して、緊急の自動救急車を呼ぼうとする。

 巡視汎用医療装置(メディカライカー)は全自動で簡単な診察が出来る三輪のメディカルポッドで、都市の中にあるいくつかの待機所を何台かで巡回している機械だ。簡易診断と応急処置をしながら近場の医療施設へ運んでくれる救急車だ―――――――――っと。


 「……すみません、もう問題ないです」


 俺はゆっくり立ちあがりながら声をかけ、通信端末に番号を打ち込む彼女を止める。ちょっと足がおぼつかないのが情けない。

 女性の顔を真っすぐ見る。思ったよりも平気だった。

 先ほどから法外市民(アウトロー)の腕輪は見えているはずだが、それでも二人の反応は変わらない。

 心配そうに俺を見つめる少女が「おじちゃん…」と声をかけてくるが、握っていた手を放しそんな女の子の頭を撫でる……のはなんか問題になりそうなので、軽く手を振るだけで留めておく。

 手が離れお互い自由になったところで、彼女は後ろからやってきた自分の保護者の陰に隠れて俺を見上げた。


 「ちょっと持病の発作が起きてしまって……もう治まりましたし自分で対処できるので、救急車を呼ばなくても大丈夫ですよ」


 お高いですし……ザラガ市民なら階級(クラス)に応じて免除されるが法外市民(アウトロー)の俺には治療費含めて税金が上乗せされる。

 常に金欠なわけだし余計な出費は控えたい。


 「どのようなご病気でしょうか……? よろしければ近くの病院を案内いたしましょうか?」

 「昔ちょっとありまして、たまに気分が悪くなるんです。身体的になにが悪いわけでも無いので緊急性は無いですよ」


 人が良いのか俺がそんなに危うく見えるのか、女性はそれでも粘り強く食い下がる。

 俺がやんわりと断わると、やっと納得してくれたのか彼女はそれ以上勧めてこなくなった。今度はそのうしろで様子を見ていた少女が聞いてくる。


 「おじちゃん大丈夫? 頭のそれ痛いの?」


 と、俺の右の額にある古い傷の事を心配する。ひきつれたような傷跡、むかし銃で撃たれたときにかすめた傷だ。

 この傷がもとで調子がおかしくなったと思ったのだろうか。だがこれはただの古傷でもうなんの痛みも無い。

 余計な威圧感を与えてしまうかもしれないので、普段は前髪で隠しているわけだがいつの間に見られたのか。

 前髪を右手でかき上げはっきりと女の子に見せてあげる。


 「いや、この傷はずっと前に銃で撃たれたからで、今は何ともないよ」

 「撃たれた傷ですか……? いったいどこでどうされたんです?」


 今度は母親のほうが心配そうな顔をして俺に質問してきた。

 戦争が日常にあるこの国で、住んでいる地域によってまちまちではあるがたしかに戦闘に巻き込まれる可能性は高い。

 だが法外市民(アウトロー)の腕輪と合わさって銃傷なんてものがあれば怪しさは倍増である、はずなのだが。

 目の前の女性の態度は変わらず、純粋ないたわりだけを向けてくる。


 「昔、軍にいた時に敵の奇襲を受けまして……まあもう除隊はしたんですが…」


 あまり詮索されたくないので、言葉を濁して答える。

 うっかり口をすべらしてしまったが軍の件は失言だ。

 軍にいた時のことはあまり詮索されたくないし、辞めたとは言え法外市民(アウトロー)にまで身を堕とすのはよほどの何かが無いとないだろう。

 ちなみにこの傷は、装甲車両から頭を出してたら間抜けにも敵の竜騎兵に撃たれたのだ。あの時はわりとやばかった。

 竜騎兵とは言うが乗ってるのは馬では無くて、駝鳥(ダチョウ)のような小型の騎乗用ロボットだったりする。

 悪路走破性が良くて山岳地帯や森林地帯で活躍する。


 「退役軍人さんでしたか……そういえば……」


 頬に手をあて夫人が首をひねる。


 「どこかでお見掛けした事があるような気がするんですが、お会いしたこととかございませんでしたっけ?」


 俺のこめかみを汗が伝う。俺の顔を知っているとすればあの事件で間違いないはずだ。あまりあの頃の事を掘り返して欲しくはない。

 若気の至りで広まった昔の写真と今とではだいぶ風貌が変わっているはずだ。単純に老けたし、額の傷もそうだし、最近ちょっと太ったので腹も気になるし。

 今までもこの都市(ザラガ)を歩いていて特定された事とも無かったし、あの頃の俺と同一人物とははっきりわからないはずだ。


 「しばらく前からこの付近に住んでまして、この都市にもかなり来てるのでその時どこかですれ違ったか何かしたんじゃないかと」


 なので適当にはぐらかす。この人の良い女性を騙すのはかなり気が引けるが――――――――。

 彼女は少しの間唸るように考えこんでいたが、諦めたのか深く追求してくるようなことは無かった。

 そうこう二人と話していると軽い揺れとともに大きな何かが歩いてる音がした。

 なにかとあたりを見回すと、大通りの先、交差した十字路の道がいつの間にか通行止めにされており、そこを大きな巨人が歩いていた。

 e-fs-、いや、e-g……なんだっけ……形式番号? まあ、とりあえずあれが中型機械兵器ミドルアーティファクト『グノーム』だ。

 このワードアンで広く使われてる汎用機械兵器(アーティファクト)

で、大断絶以前から小改造を繰り返して使われている旧式の機体だ。

 量産の利かない大型人型兵器(ハイアーティファクト)は戦争の中で数を減らし、現在は中型機械兵器ミドルアーティファクトが戦場の主力になっている。 

 『グノーム』の見た目は、キャノピーで覆われている大きなコクピットブロックを胴体に収めた、頭の無いゴリラだ。

 脚は短めでブースターの(たぐ)いも少ない鈍重さだが、とにかく頑丈で信頼性が高い名機。

 それが3体、装甲と銃器を据え付けた軍用の車と一緒に道を進んでいる。しかも3体とも右肩にキャノン砲を、左肩に盾をつけたフルオプションの重装備だ。

 とても物々しい。なにかあったのだろうか。


 「朝からなんだかいろいろと騒がしいんですよ。なんでも偉い人が飛行船でこのあたりを遊覧するんだとかで」


 そちらに目をやっていた俺に母親のほうが察して説明してくれた。軽く礼を言いながら俺は思索に戻る。

 効率を理由に飛行機械を封じられたこの星で、空を飛ぶ乗り物である飛行船は独自に開発し直された(・・・・・・・)物である。

 それを軍事用として必要とした動乱期以降の世界で、一から作り出された物だ。

 当然戦闘に耐えられるような代物では無いので、主に物資の輸送などに用いられて最前線に出るようなことはない。

 飛行船以外の航空機は実用……アーティファクトとの戦闘において必要レベルに達する見込みが遠いので、軍事利用を重んじるこの世界では開発は頓挫している。

 そんなものを個人的の道楽で持ち出し、その影響でこれだけの軍を動かす。

 いったい誰なのか。本当にそれだけなのか。

 ……やめよう、すでに軍をやめた身だ。関係者ヅラして思考を巡らしたってなにが変わるわけでも無い。気にかける必要も無いだろう。

 なんだか警戒態勢な現状の今の都市に、法外市民(アウトロー)の俺がこうして入れているのが幸運だとでも思っておこう。

 それにしても飛行する機械か。懐かしいな。


 「主人は今日も工業区で働いてまして、私たちはこの子の学校で必要なものを買いに来たんですよ。

 この国は良いですよね、どの階級(クラス)の子にも8年間は勉学の機会を与えてくれるんですから」


 さて道を遮る軍の移動はまだ続いてる。少しの間俺たちは雑談をして時間を潰した。


 「私の階級(クラス)はランクBなんですが、主人はランクCで……周囲は反対したんですが、押し切って……色々大変ですが……」

 「わたし今度お姉さんになるんだよ」

 「あ、二人目がお腹にいるんですよ。四か月で……安定したので……」


 そうしていると通行止めも解除され、道路の流れも正常に戻ったので、夫人たちはこの先のショッピングモールへ行くと言って歩いて行った。

 実は俺の次の目的地もそこだったのだが、なんとなく言い出しづらかったのでなにも言わずに別れることにした。

 別れ際、軍を野次馬していた連中と、流れが滞ってた事で出来た人ごみに紛れていく彼女らが、一度こちらを振り向き二人そろって手を振ってくれた。

 仲睦まじいその姿を見て、俺の中のなにかがちくりと痛んだ気がした。

そろそろ比較的書きやすいシーンになってくるはずなので更新頑張ります。

水星〇魔女とか見ててやっぱりファ〇ネルとかいいなって思います。

うちの子に装備したいけどそれは我慢。

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