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あいに溢るる  作者: 手石
スコアの変わらぬボーリングな日々
80/107

1.71.1 ルルの婚約者VSレンの婚約者

「っ」


 ログが右腕を下ろした瞬間、ルルは足に力を込め、両腕を後ろに伸ばしながらレン目掛けて突っ込んだ。その姿を見て、レンは少しだけ腰を低くした。


「んっ!」


 軈てルルは右手を握り、レンに向けて大きく振るった。


「っ!」


 ガッ


「にっ!」


 レンはそのルルの拳を右手で受け止めた。瞬間、顔を歪めた。恐らく体が痛むのだろうか。そしてその場で後ろに飛びルルから距離をとった。


「んっ!」


「っ!?」


 が、ルルはすぐさまレンの後を追う。ほんの数m程の距離をすぐに詰め寄り、


 ガッ


「ぐっ!」


 左拳をレン目掛けて振り抜いた。その追撃の速さに、レンは目を見開きながらも今度は両手でその拳を受け止める。


 ズッ


「んっ!」


「んっ。にんっ!」


 ゴッ


「んぐっ!」


 受け止めては飛び退いて、受け止めては飛び退いてを繰り返す。

 軈て五回目の攻撃、


「っ!」


 ブンッ


「んぬっ!?」


 レンは受け止めず、しゃがんでルルの拳を避けた。そのまま脇の下を潜り、ルルの背後で立ち上がる。ルルは振り返り、レンの顔を見つめた。


「はぁ……ふぅ……」


「……す、ごい……」


 何度も攻めたからか、ルルは膝に両手を置き、乱れた息を整える。その姿に、レンは若干高揚しながらルルを見つめた。


「ルルちゃんの動き、初実戦とは思えないほど良いな」


「ふふ。僕が教えた甲斐があるね」


「痛みついでに?」


「まぁ、幽体中とは感覚が違うし、そこは手探りで慣れながら、になりそうだけど」


 外部三人は離れた位置から二人の戦いをじっと見つめながら分析をしている。

 いや違う。ルートはナキハの髪の毛を触ってる。絶対ナキハの髪の感触に集中してるでしょ。会話に参加してないし。


「ふぅ……」


 息が整ったからか、ルルは腰を上げてレンを見た。直後、


 ザッ


「んぬっ!?」


 レンの右前方と左前方の地面から夫々一本ずつ、レンに襲いかかるように縄が生えるように飛び出してきた。レンはその縄に驚きつつも、後方へ飛び縄を避ける。


 コツッ


「んぇっ!?」


 そして着地したと同時に、右の縄は地面に戻り、左の縄はレン目掛けて勢いよく、伸びるように襲いかかった。


「みにっ」


 フォンッ


「しちっ」


 ザッ


「っ!?」


 レンは縄を右に飛んで避けた後ルルを一瞥し、そのままルルへ向かって走った。ルルは驚きつつも縄をレンに向けて方向転換させる。


「んっ」


 ズッ


 直後、縄がレンの真正面の地面から出てきた。先程地面に潜ったやつなのだろう。

 が、レンは予想していたのか、縄が地面からでてきた瞬間、


「んっ!」


 フォンッ


 既のところで身を捩り、縄を避けた。ルルが一瞬目を見開き悔しそうな顔をした。


「ふぬんっ」


 ザッ

 ズッ

 ガッ

 ドッ


「んぇっ!?」


 が、レンが体勢を戻した瞬間に再び縄が、計四本、前方向の地面から飛び出した。ルルはいつの間にやら両膝と両手も地面に着けている。夫々の先端から新たな縄を出したのだろうか。


「なるほど……その場で動かないで攻撃するから、スタミナは温存できるってことか。頭良いな」


「っ!」


 トッ


 ガッ


「ぎゃんっ!?」


 レンは縄を避けようと大きく跳躍したが、避け切れず、二本の縄がレンの膝と脛を夫々叩いた。レンは空中で前のめりになってしまった。


「ルルちゃんは平和な国から来たからスタミナでは圧倒的な差があるし、良い戦法だね」


「にぎっ!」


 軈て顔が脚よりも下に来てしまったレンだが、


 ヅッ


「え?」


 地面と顔が衝突する前に、レンは両手を地面に伸ばし、


「っ」


 ブンッ


 前方転回のような動きをした。両腕で全体重を支えながら脚夫々を伸ばし、空を着る音を大きく響かせながら空中で一回転をした。そして両手を地面から離し、身を空に放り、


「つっとぉ!」


 トッ


「ぇ……あ、ぐっ!」


 着地。と同時に再び疾走する。その光景に見蕩れていたルルは一瞬反応が遅れてしまう。


「……メイド服であの動きって凄いね……」


「あいつ、本当に初めて着たのか?」


「しかも今は全身傷だらけなのに……」


 ルルは縄をレンに向かわせても間に合わないと悟ったのか、全ての縄を地面に戻した。

 直後、


「んぬっ!」


 ドグアァッ


「にゃん!?」


「んっ」


「と?」


 レンとルルの間に、橋を両断する程の大きさの鏡が出現した。


「でっ……」


 ルルは目の前にできた大きな鏡に右手で触れながら見上げる。ルルの身長の約三倍程の大きさもあるその鏡は、ルルの姿仕草を全く同じように真似ている。


「ほえぁ……レン君すんごぉ……!」


「鏡とはいえ迫力すんごぉ……」


 ナキハ、ルート、ログの三人は鏡よりも高い位置で俯瞰している。

 スキルなのか魔法なのか……どっちにしても、何処か強キャラ感溢れる見方をしている。ナキハに至っては腕組んでるし。


「……ん……」


 鏡を見つめていたルルだったが、軈てすぐに鏡からゆっくりと離れた。ルルの視界が、ルル自身とルルの背後の大空を覆っていたものから、少しずつ鏡の裏側にある青空も広がっていく。


 トスッ


「ん……?」


 すると鏡の奥から物音が聞こえてきた。ルルは鏡から離れるのをやめ、耳を澄ますように息を潜め黙る。


 スタッ


「っ……」


 テスッ

 タタッ


 ルルから見て中央から左方向へと。ゆっくりと歩みを進めているような音が聞こえる。恐らくレンだと思ったのだろう。ルルは耳を澄まし、


「んぬっ!」


 ゾォンッ


 鏡の奥で足音の終着点めがけ、縄を地面から打ち上げるように突撃させた。


 カガッ


「んぇっ!?」


 が、打ち上がったのは鏡の塊だった。足音のした場所に……レンに当てたと思ったのだろう。大きく打ち上げられた鏡の塊を見て、ルルは驚きの声を上げる。


 ヒュッ

 ビュンッ


「いにっ!?」


 更に、打ち上げられた鏡の塊は空中に留まり、一つ一つルルに向けて発射された。ルルは驚きつつも、右脚に力を込めた。


 ガガガッ


「ひぇっ!」


 そして地面から縄を出し、鏡を叩き落とすために自身の目の前で振り回すように動かす。


「これで分かったでしょ?」


「っ!?」


 すると打ち上げられた鏡の塊とは正反対の位置、ルルから見て右側から、レンが大きな鏡から顔を出した。そして鏡を乗り越え、縁に座る。


「ん」


 シュ


「え!?」


 ヒュッ

 ヒュンッ

 ビャッ


「んへっ!?」


 そして足を閉じ、両手を前に突き出して鏡の塊をもう一つ創りだした、と同時に先程同様塊から鏡を一つ一つ発射させた。


「んっ! ぉら!」


 ガガガッ


「っぁ!」


 ルルは左脚にも力を込め、同じように右側から来る鏡の猛攻を防いだ。ルルの目の前二方向から鏡と縄がぶつかる、高くも鈍くもない音が響く。


「んっと」


 そんな中、レンは鏡の前に音も無く降り立ち、ルルに優しい目を向けながらゆっくりと近づいていく。


「ルルは強い。凄い。それはそうだけどそれとこれとは別の話」


「っ……」


「……ね? 諦めて?」


 ォンッ


「っ!?」


 そう言いながらレンは右手を後ろにのばし、同じように橋を両断する程の大きさの鏡を、先程自分で出した大きな鏡を隠すかのように出した。


「僕がずっと傍にいてあげるから! 何も心配なんてしなくてもいいんだよ? ね? 安心でしょ!」


「……何、それ……私はレンよりも劣ってるって、そう言いたいの?」


 説得するかのように両腕を広げながら語りかけるレンに、ルルはレンを睨みながら両手を広げ、掌から縄を出す。


「ふんっ」


 ブンッ


「っと」


 ビュッ


「んっ」


 そして縄をレンめがけて突進させた。が、レンは体を左に傾けて右手の縄を、その直後に前方に大きく飛んで左手の縄を避けた。


「っ!?」


 ルルはレンを通過して行った縄を方向転換させ、着地したレンめがけ両の縄を伸ばす。


「ふっ」


 ビャンッ

 ブォンッ


「……ぇ……」


 が、縄は何方も空を切った。数瞬前にレンが立っていたであろう場所には誰もおらず、レンは既に大きく跳躍していた。


「マジ……!?」


 トッ


「ん!?」


 そしてルルの真上に来た時、空中で小さな何か……恐らく鏡だろうか……に右足を乗せた。そして百八十度回転し、大きな鏡の方へと向いた。


「ん、っと」


 直後、ルルの目の前に、火花が散るのではと思ってしまうほどの勢いでぶつかる鏡と縄よりも手前の位置に、レンの顔が逆さで現れた。


「っぉんあぁっ!」


「軌道が見えるなら避けるのは簡単だよ」


 ルルはレンから逃れるように、足は動かさず体を逸らした。


「……別に、ルルが天才って事はちゃんと理解してるよ?」


「ひぇ!?」


 レンはルルの真上に固定した鏡に右足をかけている。レンの綺麗で艶やかな髪の毛が垂れ下がり、ルルの視界の半分を覆う。


「でも危険な事に足を踏み入れることなんだよ。ね?」


「っ」


「ねぇ? ねぇってば!」


 そして逆さの視界のまま、ルルの両頬に両手を添える叫ぶ。ルルは少し悔しそうに唇を噛んでいる。が、軈て顔を上げレンの目を見る。


「……レンが私よりも戦闘経験豊富なのは知ってる」


「……ん? ん、そうだよ? だから僕がいればさ? 実戦経験積まなくても済むんだよ?」


「……」


 少しだけ震えた声のルル。それに対し、レンはルルを諭すように口早に語っている。ルルが一瞬口を閉じた。


「だから、鏡の奥で足音立てたの、変だなって思った」


「……」


 シュエンッ


「んぇっ!?」


 ゆっくりと、そして静かに語った後、ルルから見て左の鏡の塊からルルの縄が生えた。レンはルルから視線を外し、逆さのままその塊を見て声を出しながら驚いた。


「だから、足音した方に鏡を添えてみた。あの塊の中に、私の鏡も混ざってるの」


「っ!?」


「で、鏡から縄出した」


 シュルルッ

 ズッ

 ゴッ


 縄はそのまま塊にまとわりつくように周囲を囲った。やがて鏡の塊が縄で完全に覆われた。未だ鏡は乱射されているのか、縄が少しだけ盛り上がっているが、軈てそれも止まった。それを確認したルルは左側で奮闘していた縄を、今度は右の鏡の塊へと突進させた。


「実戦経験は確かに皆無だけど。想像とか妄想とか、そういうのならレンに負けない」


「ん……」


 ゴッ

 シュルッ


「っ……」


 そして縄を塊にぶつけた。と同時に、新しい縄が塊の内部から生えてきた。左側の塊同様、鏡を縄から放ったのだろう。


「流石ルル……天才……」


「アイツ、本当マジでルルちゃんフィルタ外せよ……」


「ま、まぁ……実際ルルちゃんも縄の扱いが上手だし」


 そんなレンを見て、苛立ちを隠さずにしているナキハが唇をかみ締めながらそう言う。そんなナキハをログは宥めるように肩をポンポンと叩く。


「んでも……っ!」


 直後、レンは両の掌を真下に向けた。


 ズッ


「もねっ!?」


「ふぅ……」


 トッ


 直後、ルルの足元から目の前に聳え立つ大きな鏡の間の地面が鏡へと変化した。いや、地面の真上に、一瞬で大きな鏡を置いたのだろう。


「っと」


 そしてレンは体を丸め、両腕を膝辺りへと伸ばし、何かを掴むようにぐっと握った。それを見て、ルルは警戒しながらゆっくりと下がった。直後、


 シュッ


「っ!」


 足の先の支えである鏡を消したからだろうか、足が勢いよく落ちてきた。


「ん」


 が、レンの足は地に着かずに浮いた。何かにぶら下がる体勢になっている。握られた両手に鏡があるのだろうか。


 トスッ


 そして両手を離し、小さな音をたてながら着地した。そして振り向き、ルルの顔を見る。そして鏡の上で小さく足踏みをする。


「僕がここにいる限りは、地面から出す不意打ちの縄は無理だね」


「っ……」


「……諦めてくれないなら……嫌だけど、もっと具体的に教えてあげる」


「レンの方が天才じゃねこれ?」


「言わないであげようね」


 レンは両手を後ろで組み、目を伏せ、少し悲しそうに話した。ルルは鏡には乗らず、ゆっくりと後ろに下がった。


「まぁ……もう、意味無いけどっ!」


 ツッ


「んっ!?」


 直後、左足を後ろに出したままの体勢でルルの体が止まった。首より下が、服の下でモゾモゾ動くのみで全く動かなくなったのだ。


「……ど、どう? 身動き取れないでしょ?」


「……っ…」


 ルルは尚も腕や脚をモゾモゾ動かす。目を細め、必死な形相をしている。レンは首を傾げながらその光景を見つめている。


「ん」


 シュトッ


「んぇ!?」


 直後、レンがルルの目の前に現れた。高速で移動したのだろうか、レンの髪の毛が少しふわりと浮いた。ルルは動けはできなかったものの、顔を少し後ろへと仰け反らせた。


「……最初」


「ん……」


「ルルが突っ込んできた時、ルルの服の中にちっちゃい鏡沢山入れた」


「っ!?」


 そして顔を近づけ、少し不安そうに顔を顰めながらそう言う。ルルは体を動かそうと身を捩りながらレンを見つめる。


「本当は最初、少しもみくちゃしたらルルの動き止めようとしてた」


「な、何で……」


 視線を下げ、ルルの脚を見つめながらそう呟く。ルルは困惑しながら、レンの頭を見つめる。


「でも、動かないで地面から縄を使って攻撃してきたから、興奮して止め忘れてた」


「何で」


 そして視線を上げ、右手を頬に添えながら呟いた。ルルは驚きよりも呆れという感情を顕にしている。

 この人どんだけルルと戦いたくないんだよ。この人どんだけルルに魅了されてんだよ。


「っ……でも!」


 ヒュルッ

 シュルッ


「んにっ!」


 ルルは右手の指から縄を五本伸ばし、レンの全身に、レンの首から下を、拘束するように何度もぐるぐると巻き付けた。傷を締め付けられたからか、レンは一瞬顔を歪めた。


「こ、れで! レンも身動き取れない!」


「……」


 が、すぐに両目を開き澄まし顔でルルの顔を見つめる。そんな余裕そうなレンに対し、ルルは焦りながらもレンの目を細めながら見つめる。


「……で、どうするの?」


「っ……」


 シュルンッ


「こ、このまま地面に勢いよく叩きつける!」


 ブワッ


「ん」


 表情の通り余裕なレン。ルルの真下の地面から、縄が二本飛び出した。そしてレンの体に巻き付き、今度はそのままレンを高く持ち上げる。


「だから、だからそ――


「……不思議には思わなかった?」


「な、え何?」


 が、尚も顔色を変えずに、仰向けで見下ろすようにルルを見つめていたレンが、小さな問いを投げかけた。突然の問いに、ルルは動きを……というよりも縄の動きだけど……止め、レンの言葉に耳を傾けた。


「鏡の後ろにいた時。何で鏡の塊をピンポイントで打ち上げてもらう事ができたのか」


「……え……?」


「で、何で今もまだ、僕が出した大きな鏡は後ろで立ち続けているのか」


「え……!」


 そして後ろを見て、尚も立ち続けている鏡に意識を向ける。ルルも釣られるように、大きな鏡に視線を向けた。


「簡単だよ」


 シュアッ


「んに!?」


「一歩一歩全てを、鏡の塊で音を立ててただけなんだから」


「っ!」


 そして大きな鏡が消えた。鏡の後ろから、先程ルルが打ち上げたものと同じ大きさの鏡の塊が三つ、地面に置かれた状態で現れた。


「で、どうするの? 僕は今からあの鏡の塊達をルルに向けて発射するよ?」


「……っ……!」


 フッ


 自分の予想を上回ったからか、ルルは唇を噛んだ。と同時に、左手で教科書ほどの大きさの鏡を生成した。レンを一瞥した後、


 カットットト


 鏡を放り投げた。鏡は小さな音を立てながらレンの出した大きな鏡の上でバウンドする。レンはその光景を黙って見つめている。


「んっ!」


「……」


 そしてルルは放った鏡を見つめながら力を込めた。先程同様、鏡から縄を出そうとしたのだろう。


「え……あれ……なんっ……」


 が、鏡からは何も出てこなかった。真っ青な空と眩しく輝き続ける太陽を映すその姿は、何処か虚しくも見える。


「あ、そういうこと……」


「ぇ……」


 その光景を見て、レンは何かに気がついたのか小さく頷いた。


「レイトってね、限りがあるんだよ」


「かぎ……限り……?」


「そ。体内に保有してある分量でやりくりして形作るの」


 そして全身ぐるぐる巻きというなんか滑稽な姿のまま、真剣な表情でそう解説をする。

 なんか芋虫みたい。


「それ……ならなんで、今までこんな事……こんな事無かったから、上限なんて……」


「例えば僕の場合、鏡を消した後、その鏡を創る為に使用したレイトってどうなると思う?」


「……え……」


 レンの説明に納得いかなかったのか、ルルは戸惑いながらもそう訴えている。レンはそんなルルから目を逸らさずに更なる説明……というより質問……を加えた。その姿は、絶対逸らすまいという意思を持っているようにも見受けられる。多分本当に思っているのだろう。


「じ、自分の体内に戻る、とか……?」


「流石ルル。もっと縛って」


「何で」


「んひゅっ!」


 何で?

 ルルももう慣れたのだろう、驚きも興奮も照れもせず、淡々とした口調で縛りを少し強くした。

 何で?


「まとにかく。鏡がレイトに戻って、僕の体内へと帰還するの」


「……」


「んだからね。使用した後すぐ消す、を繰り返せば、レイトが枯渇せずにスキルを何度も使えるんだよ」


「……上限を把握して効率よくスキルを使え……ってこと……」


「そ。んでどうするの?」


 レンはしたり顔をしながらルルを見つめる。少し嬉しそうにも見える。


「あの鏡に対抗出来るのは縄だけ。でもその縄は僕に絡まってくれている」


「んっ……」


「縄ももうレイト切れで創れないし。というかそもそも創る時間与える気無いし」


 およそ全身を縛られている状態とは思えぬほどの冷静さだ。レンは静かな声で、しかしルルにも聞こえるほどの声量で小さく叫んでいる。


「……鏡に対抗する為に縄を解くか、僕の反撃を封じるためにこのまま縄を固定するか」


「……」


「……」


 お互いがお互いの動きを観察する為か、動きを止めて見つめ合っている。

 おいコラレン。顔を赤らめてる場合ちゃうやろうが。いや、ちょ、何でルルも顔赤らめてんの? バトル中でしょうが。集中せぇやあんたら。


「……ごめん」


「え……」


「……」


 そしてそんな静寂を、レンが静かに打ち破った。その消え入るような謝罪に、ルルは素っ頓狂な表情をした。


「今思い返すと……ルルの事、遠回しに弱いって言ってたな、って」


「……私も頭にきたけど……事実」


「違う! ちがっ……そう、そういう事じゃなくて……その……」


 そして目を少し潤ませ、途切れ途切れに言葉を繋げる。ルルはそんなレンに若干興奮しつつも口を閉じ、少し思考した。


「……降参……」


「んぇ……?」


 そして口を開き、己の負けを認めた。

マジで尺が足りねぇ……前章の自分凄かったな本当に……

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