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あいに溢るる  作者: 手石
スコアの変わらぬボーリングな日々
78/107

1.69 まともな変態ばっかりです

 翌日の九時十五分。

 ログ君から放たれた大声量のモーニングコールで叩き起された僕達。支度を済ませ、訓練を行う場所まで案内された。魔王城の……なんて言えばいいんだろここ? 八階にある通路からこの場所まで真っ直ぐ来たけど……恐らく裏口だろうか。そこを出て、すぐ目の前に広く設置された橋……の少し手前の、何だろう、階段の踊り場みたいな場所? に今僕達はいる。目の前に広がる橋は、普通の橋の数十倍も広く、そして長い。防護柵が設置されるであろう部分には高い壁があるが、それでもそこそこ強い風が体を刺激してくるので、多少の恐怖心が煽られてしまう。


「た、体育館何個分あるんだろ……?」


「凄く広いね……」


 魔王城の裏には大きな海がある。恐らく国境だろうか。世界地図を見ると、大きな大陸を、ここ魔王城を中心に海が上下左右を大きく分断綺麗に四分割している。

 魔王城の裏側から伸びているこの大きな橋は、途中で三方向に分かれるように伸びていた。ここからは分からないが、その部分から少しだけ落ちるように傾いていることから、海の向こう側にある大陸へと渡れるのだろう。魔王城は土の国に設立されているので、この橋を渡って他の国へと行くのだろうか。


「じゃ、とりあえずは俺達が先生だ」


「よろしくね」


「よ、よろしくお願いします!」


「よろしくお願いします」


 その場所に僕とルル、そしてルート君とログ君が立っていた。フルキさんとミチルちゃんは、魔王城の玄関前のあの開けた場所で、ナキハ君とカオルさんの二人と一緒にいる。曰く、あっちの二人の方が僕達よりも大きく体を動かす予定らしい。


「寒いか?」


「あ、いえ。大丈夫です」


「……ん……」


 少し風が強かったからか、ルート君が僕達を見ながら心配の声を上げた。それに対し、ルルは眠いのか、目を細め、若干うつらうつらしながら答えた。僕はルルの頭を優しく撫でた。

 今の僕とルルは、青くて少し大きなパーカーと足首まで伸びている灰色のジャージを着ている。


「何かルルちゃん眠そうだね」


「……昨日、夜更かしした」


「お前、強くなる気あるのか」


「あるに決まってるじゃないですか何訳分からないこと言ってるんですか?」


 ルルが強くなりたいって言ってるんだからそれでいいでしょうが。何でわざわざ変な言いがかりをつけるの?


「……レンと一緒にアニメ見てた」


「何してんの?」


「レン君は何で寝不足じゃないの……?」


 ……しょうがないじゃん……ルルと一緒にアニメ見るの凄く楽しかったんだもん。後ルルの抱き心地も良かったし良い匂いもしたし。五感全てが夢中になってたんだもん。


「と……何で二人共メイド服なの?」


「……」


「……」


 するとルルはそんな疑問を二人にぶつけた。

 今の二人は、ロングスカートで黒いワンピースの上に、肩の部分とスカートの先の部分がフリルになっている白いエプロンをしている。スカートは地面スレスレまで体を覆っているが、何故か風に靡いていない。僕の髪の毛は横に靡いてるのに。


「……別世界の人達はこういうのが好きって……」


「誰に聞いたのそれ……?」


「……カオルさん……」


「何言ってるのあの人」


 そして目を逸らしながらルート君が答えた。

 何それ……別世界の人ってそんなのが好きなの……? 別に僕はそんなに好きって訳じゃないけど……ただ似合ってるなぁとは思う。


「好き……なの? ルルも」


「いや、全員が全員好きだとは……」


「……ん?」


 確認の為、ルルに質問した。ルルは首を振りながら答えようとしたが、途中で言葉を止め、何かを考えているのか俯いた。

 どう……したの? 好きかどうか、っていう質問なのに考える……? な、何を考えてるのか分からないけど、凄く唆られる思考表情……舐めたい……我慢するけど……

 するとルルは顔を上げ、僕の顔を見た。直後、ずいっと顔を近づけた。


「みっ!?」


「好き。大好き。超好き」


「ひゃぇ……!? しょ、そう、そうなの?」


 そして両手をグッと握り、若干興奮気味に、そう言った。

 鼻がっ……! 近っ、ひょぉっ……触れそう、鼻と鼻でキスできそう……!


「本当もう、レンに着て欲しいぐらい!」


「っ!?」


「ね? ねね!」


「え、何を、何を言ってるんだ?」


 そして両肩に手を置き、目を輝かせながるそう言った。

 ぼ、僕に着て欲しい……!? あの、フリフリのアレを……!?

 僕はルルの顔を見つめ、少しの間黙った。


「……すみません」


「ん?」


「その服……何処で売られているのですか?」


「……ええぇ……」


 が軈てルート君の方を見てそう聞いた。

 ルルが着て欲しいって言ってるんだもん。ルルが喜んでくれるなら、僕も喜んで着る。


「あ、後で確認しておくね」


「あ、ありがとうございます!」


「……はぁ……」


 暫く黙っていた二人だったが、ログ君がありがたい返事をしてくれた。ルート君は額に左手を添え、大きなため息を吐いていた。










 十二月十日。

 今日から一週間、魔王の特別授業が始まる。

 よく良く考えると、ルル達がこっちの世界に来てからまだ一週間も経ってないよね……何か凄く怒涛の数日間だった気がするな……


「ナキハ様がお考えになられたこの最強プラン! これに沿ってレ……」


「……」


「……んおい? 集中しろ?」


 僕は目の前にいるルート君を無視し、少し離れた位置でログ君と一緒に座っているルルを見つめる。僕とルルは訓練内容が違うので、別々にしたのだという。不服。


「あれは……何してるんですか?」


「ルルちゃんよりも自分の心配しろよ……」


「あれも訓練……なのかな……?」


「……」


 ルルとログ君は向かい合っており、ログ君は両足の足の裏を上に向け交差させるように膝の上に置いている。ルルは右足の足の裏を上にあげ左膝に置いている。恐らく坐禅だろうか。

 後ろ姿でも様になっているルル最高過ぎて目が離せないどうしようもう本当ずっと見てられる!


「ログは面白い能力持っててさ。ほら、二人とも坐禅を組んだまま動かないだろ?」


「は、はい。集中力を鍛えてる、ですか?」


 諦めたからか、ルート君も二人の方を見て説明を始めた。


「ログはな。体外離脱が出来るんだ」


「……え?」


「魂と身体を一時的に切り離すってことぉぁっ!?」


 僕の隣まで来て、自分の胸の辺りに左手を当て、そして離しながらそう言った。

 魂と身体を切り離す……? 何そんな危険なことさらってやってんの? は? は?


「何……? あれですか、やっぱりルルの身体を連れ去るつもりですか!?」


「連れ去らねぇしやっぱりって何だよ! んな事しないからさっさと肩から手放せ!」


 ちっ。

 僕はルート君の両肩から手を離した。ルート君は一歩後ずさり、僕から距離をとる。


「んじゃなくて、ほら。痛みに慣れる訓練だよ」


「痛み……?」


 ルート君は自身の右手を左腕にポンポンと優しく叩きそう言う。

 痛み……んて言われても……痛みと体外離脱の関係性が分からないんだけども……

 ルート君自身も説明が難しいからか、右手を顎に添え俯いた。


「なんて言えば良いかな……今は見えないけど、ルルちゃんは幽霊みたいな感じになって、今ここら辺をさ迷ってるはずだ」


「……」


 徐に空を見て、そして何も無いその空間を見回した。

 幽霊みたいにさ迷ってる……? 魂が幽霊みたいに、って事……ん? なら今この近くにルルの魂がいるってこと……? 頑張れば感じ取れる!


「おいコラ集中するな。感じ取れたら怖すぎる」


「多分今僕の右隣にいますね」


「何で分かんの!? いや、多分当てずっぽうだろ!」


 魂だけになったぐらいじゃ、ルルの居場所を遮断することなんてできないもんね!


「まぁとにかく……神か誰かに、魂に記憶があるって聞かなかったか?」


「あ……そういえばそんなこと言ってた……」


「要はそういう事。痛覚という記憶を持つ魂を……さっきも言ったけど、幽霊みたいな状態だから、もう、バンバン傷つけまくる」


「今すぐ止めさせないと」


「やめろバカ」


 ルルが痛がるなんて訓練じゃない、いじめだよ! ダメだ、ルルが苦しむ前にあそこで足組んでる二人を戻さないと!


「だっから魂だっつってんの。魂だけなら、身体を傷付けずに痛いっていう記憶を刻めるんだよ」


「でも今ルルは痛がってる」


「痛みに慣れろって事だよ! 分かれよ!」


 分かりたいけど分かりたくないよもう! もっと良い方法あったかもしんないじゃんもう!


「まぁとにかく。今ルルちゃんが頑張ってんだから。お前も頑張れ」


「……ち……分かりましたよ」


「舌打ちすんなよ」


 まぁ、この人達がどうであれルルが頑張ってるんだから……文句なんて言えないよね。


「ん……? つまり、あの状態だと常に無防備……って事ですよね……?」


「ん、まぁ、確かにそうだけど……」


 魂……言ってしまえば、今あそこで坐禅を組んでいる二人は抜け殻って事……っ! ルルに触り放題!

 僕はルルにスタスタと近づく。


「おいコラバカ。近――


「止めた方が良いかな……」


「ん、んぉ、おん? え?」


 でも、うん……そうだよね。


「お前、嘘、意外……」


「今の魂が無いルルに触れても……僕もルルも絶対に満たされないので」


「そんなまともな考えを持っていたのか……!?」


 大袈裟に、仰け反りながら驚いてる。

 何その反応。僕がルルの身体に一方的に触って一人で中途半端な感情得るような馬鹿な人だと思ってたの?


「あ、でも……」


 僕はルルへと歩み寄り、ルルの顔に近づいた。


「頑張れ」


 そして小さく、激励を送った。

 頑張ってるとはいえ、かなり精神的にはキツイ訓練の筈だから。届いてるかどうかは分からないけど。

 そしてボーッとしているルート君の近くへ戻った。


「はい。じゃあ、よろしくお願いします」


「……」


 何故か若干引き顔をしていた。

 何その変な人を見る目。ルート君よりは変な人じゃないからね僕。


「因みに言っておくと、魂だけの存在でも俺達に触ることは可能らしい」


「え……?」


 目の前に戻った僕を見て、ルート君は腕を組みそう説明した。

 触ることは可能……? って、具体的にはどういう……

 直後、


「んひゃぉっ!?」


「んぉ? あ、実演ありがたい」


 僕の首筋に、謎の感覚が通過した。

 っ!? え、な、何今の!? 実演、って事は、今僕の首筋に触れたってこと!?  気配も温もりも全然感じなかったんだけど!?


「ルルちゃんも。レンに触りたい部分があるなら今のうちに触っておけよ」


「な、何言ってるんですか!?」


 空中をキョロキョロ見回し、見えないであろうルルに対してそんな提案をした。

 でもちょっと滅茶苦茶にやって欲しいって気持ちはすごいあるかも。


「因みに、こっちからは触れないから気を付けろよ」


「嘘だろ……ルルに触れないって事ですよね!」


 え……じゃあどんなに頑張ってもルルの居場所しか把握出来ないってこと!? 何それヤダそれ! 寂しすぎるんだけど!


「向こうから触ってくれるまで我慢しろ」


「ルル! 触って! 何処でもいいから! ねぇ! ほら、尻尾! 見て尻尾あるよ!」


「この変態め」


「んひょあぁぁっ!」


「この変態バカップルめ」












「ん……ぁふぇぁ……」


「で、手以外から鏡を出す方法だったな」


「あ……は、はい……」


 一通りルルが僕の体を堪能し終わったのか、僕の体から伝わる見えない感覚が無くなった。そして落ち着いた僕を見て、ルート君は落ち着いた表情で話を始めた。

 ちょ、っと待って……落ち着いたとはいえ、興奮してるから……あと息も少し乱れてる……


「まずは足だな」


「ふぅ……あ……足、ですか……?」


 僕は足を崩すように両脚をお尻の横に置き、ルート君の顔を見上げる。するとルート君は右手を自身の左腕にポンポンと叩いた。


「ほら、四肢とか五体満足とか、腕と脚を同時に呼ぶことってあるだろ?」


「あ、はい」


「腕と脚は胴体から突出していて、尚且つ自分でも自由に動かせると、共通する部分が多いからな」


 僕はゆっくりと立ち上がりながら話を聞く。

 そっか確かに。あんまり意識してなかったけど、そう考えると足っていう選択は最善なんだね。


「だから足先から出す、って所は簡単にいけると思う」


「なるほど……」


「まずは足から出して、掌以外から出すって事を体に教える」


「分かりました」


 僕は再び腰を下ろし、今度は体育座りをする。両手を地面に置き、左膝は曲げ、右膝は伸ばす。


「……」


 静かにし、身体を流れる冷たい血液のような何かを……レイトの微かな感覚を捉える。そしてそれをゆっくりと、足先へと持っていくイメージをする。


 ゾッ


「っ」


「……」


 すると僕の足の裏から青白い光が……レイトが、流れるように出てきた。

 手以外からレイトを出す……ん、慣れないけど、ここまでは順調なはず。ここから、今出てるやつを鏡に変える……

 僕は足の裏から放出されているレイトを眺める。

 この、レイトを……鏡に、粘土みたいに、創り変えて……


「……っ……」


 コトッ


「っと……い、いけた……」


 足先から、小さな鏡が小さな音を立てながら出現した。それを見て僕は少し安堵する。

 ん……今まで足から出す事は考えた事無かったけど……結構簡単に出来るものなんだな……


「まぁ足だからな。まだ簡単だ」


「確かに、イメージはしやすかったですね。手と同じで指という部位もありますし」


「んじゃあ次やるとしたら……毛穴、だな」


「毛穴……?」


 そんな僕を見て、ルート君は次の提案をした。

 良いの? 一回一回足にレイトを溜めておかないと難しいから、もうちょい反復練習しても良いと思うけど……まぁ、ルート君的には先に進んだ方が良いのかな。


「掌以外、って事を身体に刻んだから、今度は全身から出すイメージ」


「で、毛穴……?」


「毛穴からレイトを放出する感じ」


「汗みたいですね……」


 何か毛穴って表現……それにそもそも毛穴をイメージって大変な気がする……というかそんなので大丈夫なのかな……?

 僕はルート君を見つめる。


「そんな怪訝そうな目をしなくても。毛穴を銃口に見立ててやればイケルイケル」


「何か雑な気がするんですが……」


 イケルイケルって言われても、そんなさ……といか毛穴一つ一つを銃口に見立てるって何気に大変じゃない?


「んまぁ、実際はそんなんじゃダメだから……慣れるまでは毛穴、って感じだな」


 ん、まぁ、そうだよね。さっきの足と同じで、身体から出せるっていうのを体に叩き込めれば良いのかな。


「とにかく実践だな。とりあえず……んじゃ、脚見せてみろ」


「あ、はい」


 そう言い、ルート君はしゃがんだ。僕はズボンの裾を捲り、右脚を曝け出した。ルート君はそれを確認した後、僕の右脚を両手で下から添えるように掴もうとして、固まった。僕の右脚を見つめたまま黙り込んだ。


「……」


「……ど、どうしたんですか……?」


「お前……お前、触らなくても分かる程すべすべしてる肌って何だよ……」


「ぇ……?」


 そして僕の足に両手を添え、謎の発言をした。未だ包帯が巻き付けられているその脚から垣間見える肌を、少し妬ましそうに見つめている。

 どういう事それ? 何でそんなに悔しそうに言ってるの?


「くっそコイツ! 毛だけじゃ飽き足らず、毛穴まで消してやがるぞ!?」


「飽き足らずって何ですか!?」


 何その言い方!? まるで僕が悪いことしてるみたいじゃん!

 尚も僕の脚を凝視するルート君。僕はルート君の腕を掴み、脚から離す。


「ち……いいや、兎に角まずは毛穴からレイトを出してみろ」


「舌打ち……というか何か想像したら絵面怖いことになりそうですね」


「我慢しろ」


 我慢しろって……まぁいいや。

 僕は右脚にレイトを集めるように集中する。


「毛穴……毛穴……」


 そして毛穴からレイトを出すのを、頑張ってイメージする。

 毛穴……小さな穴から、まずはレイトを出す所からやって……


「……」


「……毛穴……け、毛穴……?」


 が、なかなか脚から青い光が出てくれない。脚を通り過ぎていくのが分かる。

 脚……足の裏と違って、先っぽじゃないから、レイトが良い感じに留まってくれない……


「……無理、そうか……」


「……すみません……」


 毛穴毛穴と呟いてばかりの僕を見て、ルート君は少し残念そうな表情をした。

 この、何だろう、先っぽじゃなくて通り道みたいな部分だとまだ難しいのかな……


「別に仕方ねぇよ。毛穴は手足と違って突出してる部位じゃないからな」


「は、はい」


「なら、別の方法だな」


 そう言い、ルート君は左手を胸の前に出し、虚空から謎の筒状の物体を取り出した。灰色をしており、卒業証書を入れるアレよりも太くて短い形をしている。

 筒を使って別の方法……? 何だろう? というかそれ何? 何に使う用の筒なの?


「ん……」


 そしてその筒を、僕の右脚へと優しく押し付けた。跡が残らないようにするためだろうか。少しこそばゆい。


「じゃあこの筒から放出するイメージで。これならいけるか?」


「筒から……ですか?」


「そ。さっき銃口に見立てるって言ったろ?」


「な、なるほど……」


 今度は視認できる大きさの物を用いてイメージするって事か……確かに見えない毛穴よりはかなりやりやすいかもしれないね。

 僕はじっと待っているルート君が持っている筒を注視する。


「っ……」


 筒から青い光が漏れ出た。

 今度は脚と筒がT字路のようになってるから、毛穴よりはいけそうな感じする。

 僕は青い光、レイトに意識を集中させる。レイトを鏡へと変えるようにイメージを募らせる。


「ん……」


 コツッ


「と……」


 青い光が漏れ出てから十数秒、筒から小さな鏡が音を立てながら出てきた。

 ん……で、出た……けど少し遅かった気がするな……やっぱり不慣れな部分から出すのは大変だ。


「んーと。やっぱそういう、先っぽから放出する、っていう考えの方がやりやすいか」


「ですね。まだやりづらい感じはしますけど……それでも視認しやすいのは大きいですね」


 本当もう、何でさっき毛穴なんて提示したんだよって思ったもん。あれかな、道具出すの面倒だったのかな?


「でもあんまり良くない訓練方法なんだよなこれ……」


「何でですか?」


 ルート君は僕の出した鏡を摘み上げ、見つめながら呟いた。僕はズボンの裾を戻し、ルート君の顔を見つめる。


「道具を使ってるからだ」


「ど、道具だからですか……?」


「これを使って慣れると、逆にこれが無いとスキルが発動出来ないってことも有り得るんだよ」


「あ……そういう……」


 な、なるほど……イメージが「筒から出す」で固定されちゃうのか。確かに今も筒があったからこそ鏡が出せたし。


「だからまぁ……早めに慣れて、さっさと筒無し訓練に移行するぞ」


「わ、分かりました!」

この世界の住人って異性装に抵抗ある人なんていないんですよね。つまりそういうことです。

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