1.62 ルルちゃんの成長速度は半端ない。でもサラッと流します
冬に肌を露出させるとはなかなか罪深いことしてるじゃないか。この下着みたいな服には保湿効果がありますとかいう後付け設定でも付けようかしら。
十五時二十五分。
ショッピングモールではかなり寄り道をしてしまった。
「ほいっ」
「あ消えた……嘘、もう虚空使えるの!?」
「……ルル先輩って意外と飲み込み早いのかもしれませんね」
「他にも教えたくなるのです」
再び北東へ歩く事三十分程たった。今僕達は大きな森林内にいる。所々光が差し込まれており、初めてこの世界に来た時のことを彷彿とさせる。いや、初めてこの世界に来た時と同じ森林だけども。
「……何かこういう場所って、敵キャラと出会うとか良くありそう」
「確かにそれっぽい場所ですね。かっこいいBGMとか欲しいですね」
そんな森林を見上げながら、ルルとフルキさんは会話している。
多分ゲームとかの話でもしてるのかな? だとしたら僕には分からない話かも。
ガササッ
「んにょっ!?」
等と考えていたその時、左斜め前に生い茂る少し大きな草が揺れた。突然の事にミチルちゃんは身構えた。
「ぬっ! 風も無いのに揺れる分厚い草! これは野生のモンスターと出会う典型的な場面!」
ガサッ
「やぁ」
「ひょぇ……?」
「え……?」
そしてその揺れた草から、一m程の大きさの真っ白で少し透けている正方形が出現した。
両側面には細長くて短い腕のようなもの、下の面には細長くて短い脚のようなものが生えている。上の面には二本のツノがあり、前の面には大きな目と口が、後ろの面には太長い尻尾がある。そんな白い正方形は、右手を上げ気さくに話しかけてきた。
あ……何だビックリした……
「僕はジョージ。見ての通りスティッキーだよ。よろしく」
「な……何この子、喋ったんだけど……!?」
安心する僕とは対象的に、ルルは酷く動揺しているようだ。僕の後ろに回り込み、背中越しに覗き込んでいる。なんて愛らしい。
「ルル先輩! 今こそかっこいい戦闘BGMを口ずさんでください!」
「え、あ、いや、流石に恥ずかしいんだけど」
「口ずさむルル……」
「そんな目で見てもやらないしそもそもやれない!」
そして何故かフルキさんが興奮している。
戦闘BGMって、そんな即興で出来るわけないじゃんって思ったけどルルなら出来そうだからルルの口を凝視しよう。ひゃあ……ぷるぷる震えてて凄く可愛い……
「正方形でなおかつ両手両足がある、スティッキーだよ」
「いや……え、誰?」
そんな僕らの会話に痺れを切らしたのか、目の前にいる謎の四角い……スティッキーのジョージさんがそう自己紹介した。何故か胸を張っているように見える。ルルのみが困惑している。
「俗に言うスライムです」
「え、スラ……? え、スラ!?」
「僕をあんなのと一緒にするな。僕にはツノとしっぽもあるし、何より可愛いでしょ!」
そんなルルに、フルキさんは端的にスティッキーについて説明した。ジョージさんは腕をぶんぶんと振り回して否定している。
えスライムなの……? 全くスライムっぽくないんだけど……あの、弾力ぐらい? でもルルに伝わってるから良いのか……く……もっとゲームやっとけば良かった……
「違う……想像してたスライムと全然違う」
「勝手に期待して勝手に落胆するな。というかスライムじゃない!」
ジョージさんはルルに抗議するように右腕を伸ばした。怒っているのか、少し声を荒らげている。
「スティッキーといえばやっぱりこの触り心地! このスケスケで弾力のある肌とほんのり感じられる良い匂いが病みつきですよ!」
「ほう、お前人間なのに見込みがあるな」
「人間なのにって」
そんな中、フルキさんがジョージを撫で回してながら熱弁している。今まで何度も触ってきたのだろうか。ジョージさんは顔を綻ばせている。
「……人間って怖いんだよね」
「何か申し訳ないのです」
「特にヘイルは怖いんだよ……あいつら、見境なく僕達を真っ二つにするんだから」
「まぁ……仕事、ですからね……」
「粉々にされるこっちの身にもなれよ」
フルキさんから離れたジョージさんは、腕で自身の体を抱き、身を震わせた。
確かに……ヘイルに魔鬼者を倒してってお願いする時って、大体は魔鬼者の身体から採れる原料が欲しいからっていうのが殆どだったな……
「で……あんたらは何の用? こんな森深くで」
「え?」
するとジョージさんは動きを止め、低い声を出した。僕達をじっと見つめている。
何の用って……そりゃ、魔王の元に行こうと……
「……魔王様の首でも狙ってるのか?」
「っ!」
そして僕達を睨むように凄んだ。そして両腕を伸ばし、僕の頬に添えた。
あ……そっか、そう考えてもおかしくないのか……敵対してるって認識してもおかしくないのか……何で僕の頬触る?
「……いや、それは無いか」
「え……?」
が、直ぐに顔を振り、手を離した。
無いって何……? 何で僕の顔を見て言ったの?
「と、水浴び水浴びっと!」
そしてスキップ……なのか……?……をして、再び草の中へと走り去って行った。何処か楽観的で。
「え……」
「何だったのです……?」
僕達はその入って行き揺れた草を見つめる。
何だったんだ本当に……何か無駄な時間だった気がするんだけど。
謎のモヤモヤを残したまま、僕達は再び歩を進めた。
十五時三十五分。
「何か……」
「……」
ジョージさんと別れ、森の中を少し歩いた時。フルキさんも気がついたのか少し険しい顔をした。
魔鬼者……なのだろうか。先程とは違うスティッキーや毛むくじゃらの狼のような生物、全身真っ黒でちっちゃな子等……草や木に隠れ、此方をちらちら見ている。丸見えだが。多分ルルとミチルちゃんも気がついてる。
「話しかけるです?」
「いや、別にそんな事しなくても」
ミチルちゃんが小さな声でそう提案する。
見てるだけなら別に良いし。殺気というより……何か、興味本位で見てる感じがするし。
「でも気になりますね……」
「後少しで着くと思うから我慢しよ」
前を向きながらもチラチラと周りの様子を伺っているフルキさん。
皆直ぐに飽きてどっか行ってくれると思うし……ちょっかい出して怒られるよりは……ん……皆……?
「何でさ……魔鬼者、って言葉が出てきたんだろう」
「……ん?」
僕は周囲をちらりと見ながら呟く。
そういえば何で教科書だと魔鬼者って名前が一般的なんだろう……? スティッキーとかシャルートとか、一部は教科書で習うけど……でも基本魔鬼者として紹介されるし……
「さっきのスティッキーみたいに、きちんとした人種名があるじゃん」
「……」
「何で人種名じゃなくて、魔鬼者っていう名前で広まっているんだろうって」
「……何でだろう……?」
僕達も「人間」という名前で一括りに出来てしまう。けどそんな事をする人は殆ど居ない。基本的にはアンスロやマー等の人種で区分する。でも何故か、スティッキーのようにちゃんとした人種名があるのに、「魔鬼者」という大きな区分で叫ばれる事が殆どだ。
「まぁ、嫌悪してるんなら有り得なくもなさそうですけどね」
「名すら口にしたくないという可能性なのです」
「まぁ……そうだね……」
フルキさんもミチルちゃんも、少し悲しそうな目をしながら僕の疑問に答えた。
何か……嫌だな、そういうの……
その後は皆無言になり、草木を踏みしめる足音のみが響いた。僕はルルの腕にしがみついたり、少し嘗めたりしながら歩く。
「んぉぁ……」
十五時四十分。
無言になってから数分。殆ど変わらぬ景色を眺めていたが、唐突に視界が開けた。
「でっかいです……」
開けた……と言うより、現れた……かな? 目の前に大きなお城が。恐らく、此処が目的の場所なのだろう。
学校のようなしっかりとした造りの建物ではなく、王城のような豪華な建物とは少し違う。こちらからはよく見えないけど百八十度裏側には断崖絶壁と大きな海がある。良い景色が見えるのな? そして城の周囲に広がっている森林は高さだけならその城に匹敵するほどの大きさがある。故に城は少し見えにくくなっている。外からは見つけにくいだろう。ここまで道は続いてたけど。
王城とは違い門や中庭は無く、大きな扉が直ぐに見える。窓は所々にあるが、中の様子は全く分からず、蔦がお城に絡まっている、
「ん……?」
「誰?」
そして僕達の行方を阻むように、扉の前方に立っていた二つの影が僕たちに近づいてきた。
一人は黒い蟻のような見た目をしている。頭と腹と下半身が太く、細長い足は六本ある。が、二本足で立っている。
もう一人は僕よりも小さな体をしており、全身が真っ黒の子。身体の形は分かるけど、どんな顔なのかが全く分からない。
「あ、どうもこんにちは」
「……」
「……」
僕は二人にお辞儀をしながら挨拶をする。僕達をじっと見つめていた二人は、僕の行動に少し身構えた。
「一応ここは魔王城。何かしら用事があってここに来たはずよね?」
「理由だけでも聞いてやる」
「聞くだけで受理はしてくれなさそうなのです」
「当たり前だ」
蟻さんは一歩前に出て凄んだ。少年の方は蟻さんに隠れるように顔を出している。
まぁ、目的は必要だよね。でも……魔王に会いに来たって言って通してもらえるとは思えないからな……どうしよう……
「……合言葉は……?」
「……ん?」
「……え?」
「レン?」
僕は少し考えた後、そう答えた。僕の行動に、皆ハテナを浮かべているが、気にせず目の前にいる二人を見つめる。
「……は?」
「……は?」
「ですよねー」
が、僕の言葉に、二人共一文字だけで返してきた。少し顔を顰めている。
流石にそうだよね。むしろ同じ合言葉を別の場所で使うなんて不用心な気がするし。でもそれならどうしよう……やっぱりちゃんと説明した方が?ん
「だったら無難に魔王サイコーとかどう?」
「最高」
ルルが僕の服の裾を掴みながらそう言葉にした。
咄嗟にそんな言葉が出るとは、流石……え……もしかして魔王の事そんな目で見てるの……?……え……ルル?……何で!?
「ちょ、どうし、そんな強く手を握らなくても……」
「童女に甘いのです。いくらなんでもそ――
「合言葉一致」
「……は?」
が、何故か少年がそんな言葉を呟いた。
「で、どんな御用で」
「……」
「……」
そして警戒を解き、少年は蟻さんの横に出てきてそう聞いてきた。
嘘でしょ……? え、魔王サイコーが合言葉なの? 何それ簡単すぎない?
「……どうかなさいましたか?」
「あ……」
いいや、合ってるなら合ってるで。今なら魔王に会いに来たって言っても大丈夫かもしれない。
「いえ……何でも――
「っ!?」
「んぇっ!」
そして素直に話そうとしたその時、少年が横にいる蟻さんを片手で突き飛ばした。蟻さんは小さく吹き飛ぶ。直後、
シジュッ
「んきゃぅっ!?」
「ひゃぇっ!?」
「え……!?」
トサッ
僕のすぐ横を何かが通過し、蟻さんがいた場所に……少年の腰に焼けるような音と共に何かが当たった。
「っぁ……はぁ……ぐ……」
「え……?……え!?」
「っ! だ、大丈夫、ですか……!?」
ルルが少年に近づく。少年は片膝を着き、息が荒くなっている。腰からは血が溢れ、服が赤く染まっている。
……え……今何が起こったの……?
「流石門番ねぇ」
そんな困惑している空間の中、気の抜ける声が背後から響いた。
「その子の心臓狙ったつもりなのに」
その聞き覚えのある声……つい数時間前に聞いたその声に、ルルも僕もフルキさんもミチルちゃんも、目を見開きながらゆっくりと声のする方へと振り返った。
「ぇ……」
「で……貴女達は何でここにいるのかしら?」
「……何っ……」
何で……ここにいるの……? 何でそんな笑顔で近づいてくるの……?
「あ、もしかして私と同じ目的かしらぁ?」
そして僕達は、目の前まで歩いてきて、笑顔で人差し指を真上に指し、身を少し屈め、僕達を見つめるシメフムさんの顔を見た。
「あら? 貴女……ルルちゃんだっけ? 何で魔鬼者の心配なんてしてるのぉ?」
「っ……」
少年の方へと目を向けたシメフムさんは、少年の近くにいるルルを見て聞いた。本当に驚いているのか、それとも呆れているのか、読み取りにくい声色だ。
「あ分かった。貴女魔族なのね」
「……はい……?」
「だってそうじゃないと、ねぇ?」
が、考えている素振りすらも見せずにそう結論づけた。
そっか……ルルが別世界から来たって事を知らないから……そう考えてもおかしくない……のか……?
「まぁ魔族なら魔族で」
そして全く躊躇せず、蟻さんの近くにいるルルへと掌を向けた。少しだけ手を丸め、そしてオレンジ色に染まっている弾を出現させた。
「っ!?」
まさかルル撃つのかよ!?
それが分かった瞬間……否、そう頭に思い浮かべるより前に、
シュッ
「っ!」
「あら?」
僕はルルとシメフムさんの間に入った。首から腰ぐらいの大きさの鏡を目の前に出し、ルルを全身で守るように。が、
ジュッ
「っが! ぁああっ!?」
「レンっ!?」
鏡という壁があったというのに、シメフムさんの放った弾はそれをものともせず、僕の左腹部を貫いた。初めて感じる激痛に、僕は右手で腹部を押え、膝を着く。
っ……!……いっ……が……!
「っ! かがっ……」
「私のこれで溶かしたのよ。よく見てよぉ、穴空いてるじゃん」
「っ!」
僕の疑問に、シメフムさんは鏡を指し示した。言葉の通り、鏡には大きな穴が空いていた。穴の外周が赤黒く染まっている。
「で、レン君もさぁ。何で庇うのよっ?」
シュイッ
「あがっ!」
そしてシメフムさんが球を放ち、再び鏡ごと僕の体を貫いた。今度は鼠径部を、衣服ごと。
「貴方はアンスロでしょぉ!?」
シュフッ
「ぎぁっ!」
そして次は右の大胸筋鎖骨部を。躊躇せず、撃ち抜いた。
「ねぇってば!」
「んぐっ…!」
「レン!? レンっ!」
全身がど太い注射で打たれたかのような痛みと少しだけ朦朧としている意識の中、ルルの心配の声がはっきりと聞こえてくる。
「……何で退かないの? 死ぬよ?」
「んっ……」
「やだよぉ殺すの。レン君が死んだらモクリサに何て言えばいいか……ねぇ?」
そんな傷口に砂糖を塗ってくれるような声とは違い、シメフムさんは柔らかいのに冷たい声を出す。僕の心配をしているようで全くしていない声。
何で……退かない……?……そん……そんなの、考えなくても、分かるでしょ……
「痛いとか辛いとか苦しいとか……」
「ん?」
「そんなもん感じてる暇なんてありませんよ……!」
「……どういう意味かしら?」
僕は顔を上げ、シメフムさんを見つめる。そして軋む全身にむち打ち、両手を広げる。
「大切な、大好きな人を……例えその身が滅んだとしても守り抜く……!」
「っ!?」
「んぎゃぅ……」
そして大きな声で、シメフムさんに言い放った。その衝撃で、僕は再び膝を着いてしまう。
「ん……それこそが……愛ってもん、でしょうが……!」
「っ……何それ……カッコイイこと言ったつもりっ!?」
ドギャギャギャギャッ
「いぐぁっ!?」
僕の言葉に、シメフムさんは何故かイラついた様子で右手を横に振り、弾を沢山放った。僕のお腹や腕のみならず、地面をも貫く。僕は十数発程を受け止めながら、後方へと少しよろめく。
ひがっ……ぁ……やばい……何か、シメフムさんの顔がぼやける……
「ん……ルルの為に落命するなら本望……あ、いや、やっぱり最期は一緒が良いけど……」
「……魔族に恋するアンスロってことぉ?」
トサッ
「はぁ……はぁ……ん……」
「倒れた……いや、寧ろよく立ち上がれたわね……」
伝えたい事を全て伝えた僕は、柔らかい土に身を投げ出した。仰向けになったので、ルルの泣きそうになっている顔と空と木が見える。良い眺め。
全身痛いはずなのに感覚が全然無い……それに力が入らないから本格的にやばい……立ち上がるのは難しいなコレ……
「……滑稽ねぇ……禁断の恋ってやつ?」
「っ……僕達の純粋な恋に……変な意味を付け足して……口出ししないでください……!」
「貴方、本当に体に穴空いてるの?」
「凄いべらべら喋るわね」
仮に魔族とアンスロの恋だったとしても……そんな風にまとめるのはやめて欲しいよ……ぁ……どうしよ、仰向けだからシメフムさんが何をするのか全く分からない……いいや……今はルルの涙を堪能しよ……美味しそう……
「レン」
「……な、に……?」
「立てるです?」
「……」
舌を動かそうと無くなってる感覚を駆使しようとしたその時、不意にミチルちゃんがそう聞いてきた。姿は見えないけど、恐らくシメフムさんの方を見ているのだろうか。
でも……立てる……か……多分無理だよね……
「はぁ……童女」
「……は、はい!」
「レンと門番二人を連れて離れてです」
「え……」
何も返さない僕を見て、ミチルちゃんはルルにそう指示を出した。ルル赤くなった目をミチルちゃんの方へと向けている。狡い。ずっと僕を見てよ。
「母さんは……シメフムは、ミチル達が止めるです」
「はぁ……んぐっ……」
「っ……!」
そしてフルキさんの声も聞こえてきた。その声を聞き、ルルは僕の上半身を抱え、足を引きずるように動かす。
「あ、待――
「ふっ!」
「っ!」
シメフムさんがルルを追いかけようと右手を伸ばした瞬間、フルキさんがその右手を払い落とした。
「私が二人を連れて行く!」
「っ……すみ、ません……!」
「んぐぇっ……」
ドゴッ
引きずる僕を見かねたのか、蟻さんはルルにそう叫び、僕と少年を抱え、そのまま扉を蹴破って城の中へ入った。
余計なことしないでよ。
「それが育ての親にすること?」
「間違いを正す行為の前じゃ、親子なんて些細な関係だよ」
「……どういう意味かしらぁ?」
蟻さんの細い腕に抱えられて揺れる視界の中、フルキさんとミチルちゃん、そしてシメフムさんがチラリと見える。
「早く! 来なさい!」
「え?」
そして蟻さんは少し離れているルルに向けて叫び、エレベーターへと駆け抜けて行った。扉から真っ直ぐの位置にあるからか、未だフルキさんとミチルちゃんは見える位置にいる。そして何故かルルは素っ頓狂な顔をした。
「え、エレベーター!?」
「……え、エレベーター!?」
そしてエレベーターに驚いた。何故かフルキさんも一緒に驚いている。
「エレ、え、何っ、え!?」
「今はそんなのどうでもいいでしょう!」
「え……ええぇ……」
そして困惑しながらエレベーターへと乗り込んだ。僕は奥にいる三人を、扉が閉まるまでぼやけた視界の中に収めた。
唐突なシリアス。
スティッキーは正方形。この世界の名前はキューブ。因みに、魔鬼者は言葉を喋るのは苦手です。
スティッキー……貴様、怪しいな?




