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あいに溢るる  作者: 手石
共愛を求め狭隘な心を持った狂愛な少年
7/103

1.7 少年少女、そして美少年

ショタとロリとイケメンと。

実際の生徒会ってどんな事やってるんだろうね。少なくてもここまで巫山戯てはいないと思うけど。

 僕はある扉の前に立っている。

 扉の上には『生徒会室☆』と書かれた札がかけてある。

 何で星をつけたんだろう……? あれかな? 堅苦しいイメージを少しでも無くす為かな?


 コンッコンッ


 僕は扉を軽くノックし、


「生徒会役員、会計兼副会長のレンです」


 と言った。すると、


 ガララッ


 と音を立てながら扉が横にスライドして開いた。


「おぉ。こんにちは。さ、入って入って」


 中から黒い前髪で自分の顔の半分を覆っている高身長の青年が出てきて僕に手招きをした。


「こんにちは。では、失礼します」


 その青年、ハヤタ会長に一礼をし、僕は部屋へ入った。

 僕の唯一の楽しみ。少し変かもしれないが、生徒会の仕事をすることなのだ。生前、僕は生徒会をやっていた。だから入学した時も生徒会をやりたいと思ったのだ。


「こんにちは、です」


 中にはハヤタ会長ともう一人、小さな少女がいた。

 銀色の髪を後ろで結び、同じく銀色の目を持ち、僕といい勝負をするぐらいの身長を持つ一年生の書記、ミチルちゃんが何かの作業を中断し、僕に挨拶をした。


「こんにちは。ん?」


 僕が返事をすると、ミチルちゃんは無言で頷き、すぐに視線を外して謎の作業を再開した。

 ん……この子は一体何をしてるんだ……?


「ハヤタ会長……ミチルちゃんは何をやってるんですか?」


 僕は今のミチルちゃんの状況を説明できるであろうハヤタ会長の方を見て質問をした。


「ん? 見て分からないのかい? これだから素人は困るんだよねぇ」


 それに対し、ハヤタ会長は僕を見ながらわざとらしくお手上げのポーズをした。

 いや、呆れたようにため息をつかないで。ため息をつきたいのこっちなんだけど。


「すみません、何の素人なんですか?」


「ミチルちゃん検定の、だよ」


「何ですかそれ!?」


 そして真顔でやべぇもんを出しやがった。


「ん? 知らない?」


「知りませんよ! 初耳ですよそんな検定!」


 むしろ何故僕がそんな変な検定を知ってると思っていたのだろうか。そっちの説明を聞きたいや。


「何ぃ!? 君はかの有名な「フルキ殿監修! ミチルちゃん検定ぃぃぃ!」を知らないというのか!?」


「それ以前に、僕はフルキさんと仲は良くないんですよ。あんまり話した事ないですし」


 後無駄にテンションが高いなその検定。興味は湧くけど絶対やりたくない。


「まぁそんなことはどうでもいい」


「どうでもいいって」


「今はミチルちゃんをよく観察してみなさいな。自ずと答えは見えてくるはずだよ」


 素人ですらないのに見えてくるものがあるの?

 とりあえず僕はもう一度ミチルちゃんを見てみる。

 うん。分からない。何をやってるのこれ?

 右手にハンマー、左手にマイナスドライバーを持ち、白い紙の上に何度も叩きつけるミチルちゃん……うん。


「すみません。さっぱり分かりません」


 僕は正直に答えた。皆目検討もつかない行為だ。


「ははは! レン君もまだまだ未熟だな!」


「未熟、と言われましても……」


 別にその道のプロを目指してるわけじゃないんだし、未熟も何も……ミチルちゃんのプロって何?


「いいかいレン君」


 するとハヤタ会長は右手の人差し指を立て、左手を右膝に添えて話し始めた。

 お。やって説明してくれるのかな?


「ハンマーとマイナスドライバーを使ってるんだよ。この二つを両方とも使うものは一体何かな?」


 ヒントだけか……可能なら答えが欲しかった……えっと、ハンマーとドライバーを使う……か……建築関係とかかな?


「……大工、とかですか?」


「違う。全く違う! 違うに決まってるジャナイカ!」


「……」


 普通こんなの分かるわけないでしょうが……あとちょっとうざい。


「レン君が気になるその正解は……ミチルちゃん! 言っておしまいなさい!」


 何その促し方。というか自分が言うわけじゃないの?

 とか思いながらも、僕は少し前のめりになってミチルちゃんから答えを聞こうとしてしまう。


「面倒だからやだです」


「あら残念。じゃあ答えはお預けだね」


「……ん? はえぇ!?」


 そんな僕の気持ちも知らないのか、軽い感じで答えを拒否した。


「ちょっ、待ってください! お預けは酷くないですか!?」


 答えを聞けると思ったのに面倒だからって理由で教えてくれないのはさすがに酷いと思うんだけども!?


「ちょっとうるさいです。黙るか出て行くかどっちかにしてです」


「それも酷くないかな!?」


 ねぇ! 普通に気になるんだけど!? ねぇっ!







 楽しく笑って過ごせる、そんな場所。


 僕は友達が少ない。というよりいない。毎日勉強ばかりしていたからなのか、僕に話しかける人は学習関係以外ではいなくなってしまった。

 だから僕は、いつでも笑顔で迎えてくれる生徒会室が好きだ。


 あの時とは似ているが少し違う。

 でもあの子とは同じような。

 そんな笑顔がある。

 

 同じ……なのかな……? いや、少なくても自分はそう感じたんだからそれでいい。


 ちなみにその後、ミチルちゃんは何をしていたのかは教えてはくれなかった。

 え……本当に何やってたのあれ……?

ハヤタさんみたいなハイテンションな人がシリアスな場面でかっこいいセリフとか言ったらキュンとする。それだけです。

次回、漸くストーリーらしいストーリが進みます。

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