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あいに溢るる  作者: 手石
共愛を求め狭隘な心を持った狂愛な少年
56/107

1.50.4 VS超バカ力な爆発をしてくる男子と物覚えが良すぎる男子

一件落着……とは、まぁ、ならないよね。

というか既に大まかな展開はサリム君から聞いてるし。

「……はぁ……」


「っ! ト、トヨさん!」


「っ!?」


 一息ついたからか、立ち上がり二人の元へ歩き出した瞬間、トヨの背後からトヨの名前を呼ぶ声が響いた。トヨは振り向き、その姿を確認した。

 声の主はサリムだ。すぐ後ろにカルソラもいる。


「あ……遅い。もう終わったよ」


「……」


「と、先生方かしらね。ほら、もう二人ともお縄ですよ」


 そしてサリムとカルソラの後ろには二人の男女が。トヨの発言から、教師なのだろう。

 トヨは捕らえた二人の方をちらりと見ながらそう言葉を続けた。が、誰も何も反応をしないのを不思議に思い、首を傾げた。


「……どうしたの?」


 シュッ

 パシッ


「んぉっ!?」


 そして声をかけた……直後、唐突に教師二人組が手を前に出し、弾を放った。トヨは既のところで横に飛び、それを躱した。球はトヨの真横でネットのようなものに変化し、そのまま地面へと拡がった。


「……ち……」


「あれ避けられるのかマジか……」


 二人はそのトヨを見て悔しがる。女は舌打ちをし、男はショックを受けている。


「……生徒会のお二人さんよ」


「っ……」


 トヨは体勢を直してから前に立つサリムとカルソラを睨む。


「これはつまり、そういう事か?」


「そ……れは……」


「そうよ!」


 そして全てを察したのか、そう聞いた。言い淀むサリムとは違い、カルソラは勢い良く肯定した。驚いたからか、サリムがピクリと跳ねる。


「真意はどうでもいい……でも、貴方の口からそう言ったのだから。捕らえるのは当然よ」


「……だから血気盛んがすぎるんだってば」


 そう言いつつ、トヨは釣竿を真後ろ……高校の敷地外に向けて放り投げた。釣り糸の先は足元に置いている。


「っ!」


「あっ!?」


「な、何をっ!?」


 その光景を見て、動揺する面々。謎の男女二人は腕を前に出している。またネット弾を発射しようとしているだろうか。


「イルタリズクっ!」


「んぉっ!?」


「んぐっ!?」


 そして叫び、トヨは両腕で男二人を抱えた。


 ズォッ


 瞬間、トヨの足元……正確には釣り糸の先から、大きなクジラが現れ、3人を飲み込んだ。


「待っ!」


「……」


「っ!?」


 そしてトヨは四人の方を向き、クジラに飲み込まれたまま、無言で遠くへと飛んで行った。









 ドサッ


「ふぉっ!?」


「おあっ!?」


「っ!……はぁ……はぁ……」


 住宅街。まだ午後四時にもなっていないという時間帯故か、人通りは少ない。そんな所に、三人は着地した。トヨは無言で着地したが、残る二人は小さな声を上げる。


「っ! お前、どうすんだよ……」


「どうすんだろうなこれ……」


「ガチで考えろよ……下手すりゃ、俺らを通報するのも無理になるぞ」


 そしてトケジロクがトヨの方を見てそう言う。トヨ自身も相当焦っているのか、下を向き、口数も減っているように感じる。


「……ん……すぅ……」


「っ! ちょ、ちょ待って!?」


「俺らほっぽって寝んなよおいっ!?」


 違ったようだ。トケジロクも背筋ピン男もトヨに叫ぶように抗議をしている。

 凄い神経をしている。いやまぁ、さっきまであんなに激しい戦いを繰り広げていたんだもんね。仕方がないよね。


「……」


「こいつ……本気で寝たな……!?」


「手錠つけてるとはいえ、敵の目の前だぞ……?」


「……あ……あのっ!」


「っ!?」


「っ!?」


 が唐突に、あらぬ方向から声が聞こえてきた。近くに人がいないことから自分達だと悟った二人は、無言で声のした方に目を向ける。


「ト……トヨ、君に……何を、したんですか……!」


 そこには、声を……いや、体も震わせ、二人にそう問う少女が立っていた。

 輪郭は丸みを帯びており、目は小さく、ボサボサな黒い髪を後ろに伸ばしている。そして縦に小さく横に大きい鼻が少し目立ち、うっすらと隈もある。お世辞にも美しいとは呼べない容姿をしている、そんな少女が。

 自分で言っておいて何だけどコメント酷いな。

容姿の描写。さては貴様、トヨ兄の恋人だなっ!

兎にも角にも、第一章はここで一段落です。第二章の投稿は一年以内に出せたら良いなと思ってます。マジでごめんなさい。

ここまでご愛読ありがとうございました。m(_ _)m

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