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あいに溢るる  作者: 手石
共愛を求め狭隘な心を持った狂愛な少年
5/103

1.5 ここらへんから察せるよね。オリジナルの設定多ない? って

改めて見返してみるとプロローグ長すぎるなコレ……何なら第一話でリタイアする人沢山いるわ絶対。ここまで読んでくれる人に感謝と同時に尊敬まで出てきてしまう。

タイトルの通り、何故謎にオリジナル要素こんなに沢山加えたんだと言いたくなるような物語になっております。

だって設定考えるの楽しかったんだもん。

 目を覚ました。

 目の前には緑色の空間……いや、葉っぱかな?……が広がっている。僕は眩しい景色に目を細め仲間ら周りを見渡してみた。


 森。それ以外に言いようがない場所だ。

 右を見たら、木、木、木。

 左を見ても、木、木、木。

 上を向いたら、葉っぱの間から青い空を少しだけ見ることができる。そんな場所だ。


 僕は自分の体を確かめてみる。自分の手を見ると、いつも見慣れていた手よりも小さく、少しだけ硬かったあの感触が無くなってる。鏡がないからよくは分からないが、本当に赤ん坊になってるのだろう。

 そして気がついた。


 ……ん、ちょっと待って、何で僕ゆりかごで寝てるの?


 僕は今、ゆりかごの中で毛布にくるまって寝ている状態だ。だから体をあまり大きくは動かせない。

 え何でゆりかご……? あれかな、サービス的なやつなのかなこれ?

 そんなことを考えていると、


 ガササッ


 という音が聞こえた。

 あれ、やばくない? 大丈夫かな? ここは森だから、凶暴な動物とかがでてくる可能性とかあるよね? またすぐに女神さんのもとにお世話になっちゃうかもしれないよね!? いや、なれるの? お世話になれるのかな!?


 ガサッ


「ん? 何でこんなところにゆりかご……っ!? 赤ん坊! 赤ん坊がいる!?」


 よ、良かった。杞憂だったみたい。

 草むらから出てきたのは一人の青年だった。僕に気づいた青年は、そのまま僕に近寄ってきた。


「捨て子……なのか? だとしても、全く泣き声が聞こえなかったな。普通泣いてるんだと思うんだが、泣いた様子も全く無いし」


 独り言をブツブツと呟きながら、不思議そうに僕のほっぺをツンツンする青年。

 ひっ! ちょ、やめっ!


「ひぁっ! く、くすぐったい!」


「ん?……ん!? 喋った!? 今この子、喋ったのか!?」


 そして思わず声が出てしまった。案の定、 青年は驚き、1歩後ずさった。

 ……あ、赤ん坊だから喋るのっておかしいよね。我慢すればよかった……


「なんだ!? なんなんだこの赤ん坊は! どうして赤ん坊なのにオギャらないんだ!? 赤ん坊なのに!」


「いや擬音を動詞みたいに使わないでくださいよ!」


「なっ! また喋った! 何だ、何者なんだこの赤ん坊! 宇宙人か!?」


「ち、違いますよ! 多分説得力無いけど、宇宙人ではないですよ!」




 







「マジか違うのか……世紀の大発見かと思ったのにな……」


 僕の必死の弁解に、目の前の青年は渋々ながらも僕の言葉を受け入れてくれた。


「申し訳ないですが違いますよ。ただの喋れる赤ん坊ですよ」


「オギャらないで普通に喋れる時点でただのはおかしいからな」


「だからオギャらないって何ですか……?」


 使ったこともないし、ましてや聞いたこともないんだけど……まぁ、宇宙人じゃないことを分かってくれて良かったけども。


「というかよく見たら君、頭に耳が付いてるな。アンスロだったな」


 屈んで僕を見つめながら青年は言った。

 ……ん? 耳? アンスロ? 話の流れからして、そのアンスロは宇宙人と違う分類で良いのかな? 


「頭に耳……?」


 僕は小さくなった手で、自分の頭を撫でてみる。


 ゾワァ


「んぁっ!?」


 耳に触れた。人と違って、フワフワでもふもふの、犬とか猫とかみたいな耳があった。

 何で!? 僕は普通の人間だったはずなのに、何でこんな動物みたいな耳があるの!?


「君、自分の名前は分かる?」


「え……あ、レン、です」


「レン、か……性別どっちだ……?」


「あ、性別――


「まぁいいや。レンはさ、自分がどこから来たとか、どんな親に捨てられたとかって覚えてる?」


 性別を「まぁいいや」で流さないでほしいんだけど。えっと、どこから来た……これは……どう答えよう……? あ、でも、自分が別世界の人だってことは秘密にしなきゃいけないから、


「すみません。分からないです……」


「そっか……それは残念だね……」


 沈黙。

 まぁ、何話せばいいかわからないよね……喋る赤ん坊との接し方なんて誰も知らないだろうし。


「あー……家が分からないなら、うちに来るか?」


 青年が提案する。素敵な提案だ。今の僕じゃ、一人でまともに生きていけるか分からないので、僕はもちろん、


「はい! 是非、お願いします!」


 と言った。








 そうして僕は、その青年、モクリサさんに、育ててもらうことになった。


 本当にどうにかなったよ……女神さんのあれ、ただの無責任な言葉だと思ってたのに。

 それより頭についてるふさふさの耳の触り心地がよかったな……後でもう一回触ろう。うん。そうしよ。










 キューブは、僕がいた世界と少し……いや、だいぶ違う世界だった。例えば人種。僕がいた世界じゃ考えられないような姿をした人たちがいた。


 モクリサさん曰く、今の僕は「アンスロ」という人種らしい。


「簡単に説明すると、ふさふさの耳としっぽを持つ人種だな」


「簡単すぎませんか!?」











 モクリサさんは仕事の合間に色々なことを教えてくれた。


「この世界には魔鬼者っていう生物がいる」


「マキジャ……?」


「そ。俺たちが、殺すべき生物」


 魔鬼者と呼ばれる、僕たち人を襲ってくる生物、とモクリサさんは言う。


「困っている人を助けつつ、魔鬼者という名の害を潰す。それが俺の仕事だ」


 ……言ってることがちょっと怖い……

 モクリサさん曰く、魔族という種族と関係があると言う。正直、魔族がどういう種族なのかがピンと来ないけども……魔法とどんな関係があるんだろ?










 僕は、十七年生きていたのだ。喋り方だけでなく、歩き方、字の書き方、食事の仕方など、そのくらいは問題なくこなせた。だから僕はその分、知らないことに時間を費やした。


 もちろん、それは魔法だ。


 キューブでは誰もが当たり前のように使っている。手から火を出したり、何も無い空間から包丁を取り出したり。僕のいた世界では考えられないことばかりだ。


 僕は一歳の誕生日……つまりモクリサさんと出会った日……の時、魔法のイロハを教わりたい、とモクリサさんにお願いした。


「僕に、魔法を教えてください!」


「その心は?」


 もちろん、YESかNOのどっちかで返されると思っていた僕は、


「へっ? こころ……? えっと、こ、こういうのは早めに覚えておいたほうがいいかなって思ったので」


「つまらん」


 モクリサさんのお気に召さない答えを出してしまった。

 いや、違う。そうじゃなくて。


「基準が面白さという時点でおかしいと思うんですけども」


「こういうのはもっとハラハラする理由にしろ。例えば、親父の仇をとりたいとか」


 一応僕は一歳なんだけども。その答えは僕にはちょっと重いと思う。


「あの、僕の父親は……し、知らない……んですよ。というか、僕にとってはモクリサさんが父親なんですけども」


「っ! くぅ! 泣かせるじゃねぇか!」


 右腕で顔を覆っている。

 なにこれ。え、本当に泣いてるの!?


「よし。今夜は赤飯だ!」


 泣いてた。ちょっと目が赤くなってる。というか、


「一応まだ誕生日会の途中ですよ?」


「知らん。頑張って食え」


「ええぇ……」


 ケーキを食べた後に赤飯って辛くない? 


「よし、それじゃあまず、米を血で染色するところから――


「赤飯は血に染まってるお米ではないですよね!? というか僕は魔法を学びたいんです! 話を逸らさないでくださいよ!」


 などというやり取りをし、なんとかモクリサさんに教えてもらうができた。


「というか魔法……ね……使えるかどうかは職業次第なんだけどな」


「職業次第?」


「そ。職業は知ってる? 個人個人が持つ、神様から借りている力のようなもの」


「ほへぇ……初めて知りました」


 まさかこの世界にそんなルールがあったとは……あの女神、何故教えてくれなかった……


「魔法……なのか……? を使いたいなら、それ相応の職業じゃないと意味がないんだよなぁ」


「そうだったんですか……」


「でもスキルなら、魔法とは少し違うが教えられるな」


「スキル……?」


「職業とは違って、スキルは努力によって身につくものだ」


「な、なんかややこしいですね……」


 でも良かった……頑張れば、僕でも扱えるんだな。

 そう思った時、僕は安堵とワクワクの両方で少し息が荒くなった。

獣耳美少年は希少種です。もっと増えろ。ゴリゴリに尻尾を振る美少年増えろ。

因みにルルちゃんが出てくるのはまだ先です。リアルに一ヶ月ぐらいかかりそうです。

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一家に一人獣耳美少年がいる時代に生まれたかったですわわたくし(?) 赤飯物騒すぎてツボりました
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