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あいに溢るる  作者: 手石
共愛を求め狭隘な心を持った狂愛な少年
33/107

1.33 レン君はビビり

レン君はビビり。

地味に今までもちょっとした事で声出して驚いてましたからね。

(大事な話があるんだ)


(大事……? 何かな?)


(俺……その、ルルとお付き合いさせてもらってる)


(……ん……?)


(だから、その……ルルに不用意に近づかないでくれ)


(え……? えま……つき……ぇ……)


(……すまん、言うタイミングが無かったから……)


(えっと……ほん……とう、なの……?)


(……ほん……本当だ)


(……そ……っか……)


(……ぁ……ちょ、レン、待っ――











 翌朝。僕はいつも通り、ベッドの上で目を覚ました。


「ん……」


 小さな声を出しながら意識を少しずつ覚醒させる。

 ぁ……夢……ツッチーとまた会ったから……いや、もしかしたら後ろめたさかも……そうだよ……何変な事考えてたんだよ僕は……


「んん……んぅ……」


 目の前にはミチルちゃんの寝顔。

 窓から差し込んでくる小さな光に反射するように、艶やかに輝く銀髪。小さく、そして少し丸みを帯びている顔で、幸せそうに口角を上げている。

 ミチルちゃんの顔、こんな風にじっくり見たのは初めてかも……


「……」


 僕は静かに、しがみついていたミチルちゃんの腕から離れ、起こさないようにベッドから降りた。

 ……嫌な事の後に思い出したくない思い出……気持ちが沈むんだけど……


「……ふぅ……」


 でもミチルちゃんのおかげで……昨日の今日で、気持ちを完全に切り替えることはできないけれど、それでも少しは軽くなった気がする。


「……よし」


 僕は小さく、奮起するように声を出す。

 ルルちゃんとツッチーの事は一旦後回しにして……まずは絶対にハヤタさんを連れ戻す。ハヤタさんの……


「……」


 いや……誰のためでもないや。自分自身の、ある意味自己満足のためかもしれない。


「……はぁ……」


 ……まぁ、今ここでそんなことを考える意味はないか。顔洗って着替えよっかな。

 僕は顔を上げ、隣の部屋にある洗面所へ向かった。


 キュッ

 ジャー


 洗面所の蛇口を軽くひねり、水を少し出す。まずは顔を、


「おはよです!」


「のひゃっ!?」


 洗おうとした時、急に背後から声が聞こえてきた。


「の……のぉ……絶対わざとでしょ……!」


 キュッ


「ムッフフフ」


 僕は蛇口から出てくる水を止め、鏡越しに映るミチルちゃんを睨みながら言う。

 こんのぉ……ムフフじゃないよ……何でそんなに面白がるのさ……


「レンはまだまだ幼き、なのです。ビビりビビりです」


「今のミチルちゃんに言われたくないよ!」


 鏡越しに無邪気な笑顔をするミチルちゃん。

 くっ……昨日はあんなに包容力があって頭が上がらないとか思ってたけど、結局はまだまだ子供だったよ。


「……」


 するとミチルちゃんは突然真顔になり、無言で、まだボサボサな僕の頭に手を伸ばしてきた。


「え……? ちょ、え?」


 何の前触れも無く、僕の頭を撫でてきた。昨日と同じように、優しく、ゆっくりと。


「……まさか撫でれば許して貰えるとか思ってないよね?」


「な訳あるかいなのです」


「ん……」


 な訳あるかい……か……じゃあこの撫で撫では多分……安堵なのかな? いつも通りの僕になったことに対する。


「……」


「……」


 自然と顔が緩んでしまう……でも……年下にされてるって考えると、シンプルに恥ずかしい。気まずくなる。


「……えと……そういえば、レンの方は昨日、どんな訓練をしたのです?」


 下手くそかな? 確かに無言で気まずい空気になってたけど、流石に話題の転換の仕方が下手すぎる。急。露骨。


「優しいんだか抜けてるんだか……」


「ム……?」


 まぁ……ミチルちゃんのことだから、多分両方なのかもね。前までだったら絶対に後者一択だと思ってたけども。


「……昨日は職業の方を中心に教えてたよ。そっちにも慣れてた方がいいかなって」


「おぉ。意外とちゃんと考えて行動してたのです」


 心外の二文字が即座に浮かんだ。

 驚いた表情してるよこの子。


「意外って……今まで僕をどういう目で――


「とか言うと思ったのです?」


「……え?」


 納得してくれた、と思った。ミチルちゃんは声を低くし、僕を下から覗き込むようにみつめてきた。


「一昨日はあんなに「痛みに慣れていないから」とか言ってたのに、一日で考えが変わるのは流石に違和感なのです」


「ぁ……」


 あぁ……確かにそうだ。普通に考えて、おかしい事だってすぐに気づくことだ。


「何か知られるとまずいことなのです?」


「……えっと……あ、そっか……ううん、違うよ」


「……?」


 そうだよ。よくよく考えれば、僕は昨日、ミチルちゃんに正体を打ち明けたんだ。なら、無理に隠さなくても大丈夫なはずだ。


「実はさ、あの中にレイトを扱えない人がいたんだ」


「……フヌ……」


「その人に合わせるため……って言い方は何か違うけど、それで職業の訓練に変えたんだ」


「……ホム……」


 僕は隠さずに、正直に、理由を述べた。ミチルちゃんは相槌を打ち、謎の声を出しながら鏡越しに僕の顔を見ている。


「……その人は、友達です?」


「ぇ……ぁ……ん……うん……」


 そしてそんな質問。昨日、正体を話していたので、躊躇わずにそう言う。

 突拍子も無いことを聞くよねこの子……


「……訓練、大変です?」


「え? いや、まぁ、ちょっとだけね」


 僕から目を逸らさずに、そう聞いてきた。

 えっと……それはどういう意味なのかな……?


「……ま、大丈夫そうなのです」


「え?」


「じゃあ、ミチルは先に着替えてくるです。呼びに来るまではここで待っててです」


「えと、あ、うん。分かった」


 短い沈黙の末、ミチルちゃんがそう言い、僕の頭から手を離した。そして寝室の方へ向かっていった。


「……」


 振り返らずに、スタスタと歩く姿を無言で見つめる僕。

 本当に何の時間だったんだ今のは……ミチルちゃんなりの心配の仕方、だよね多分。


「……そう考えると……本当、凄いな……」


 慣れてないんだろうか。少しぎこちなくて、少し無理やりな感じもして。だけど、それでも何故か安心感を与えてくれる。


「……よし。僕も頑張るかな」


 僕は小さな声を出して自分自身に活を入れ、顔を洗うために、再度蛇口を……


「……あれ……? 何で着替える場所、別々にしたんだろ?」

何で別々にしたんでしょうかね。

この部分作筆ミスだろ絶対。

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