俺とスズメ 5
2xxx年 7月25日
仕事の成果をスズメに渡した。
仮想世界で立体化した俺の渾身のメガネを、スズメは恭しく掲げた。
「本当に、お疲れ様でした」
「これで、神様が満足してくれるといいんだけど」
「……きっと。私が保証します。後ほど、報告に上がります。そろそろ、症状を抑えるのも限界です……横になって、お待ちください」
意識が戻ると、ベッドのまわりに息子と妻がいた。
「お父さん、凄いね。ほんとに凄いね」
「あなた。お疲れ様でした。本当に」
右の手を妻が、左の手を息子が、しっかり包むように握ってくれる。
「管理局のスズメさんが……しっかり手を繋いで、と」
妻が目に涙を湛えている。
「あなたと過ごせて、幸せでした」
視界の中に、スズメが入ってきた。いつもは仮想空間で会うのだが、今日だけは特別か。
「伝言です……最高の仕事だと。神は、仕事の素晴らしさを教わりました、と言ってくれました。自分の仕事に励む、とのことです」
――そうか。ああ、良かった。
「スズメさん、満足です…このまま、眠ろうと思います」
「終わりにして、よろしいのですね」
「はい……たぶん、今が一番いいときだと思うので」
「わかりました。奥様と息子さんに、ずっと手を握っていてもらいましょう」
――システムオフ
パーソナリティ デリート
記憶領域 解放完了