表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

今宵、新月の誓いを破りし者へ。

例えば、西武新宿線。


井荻駅には、特急や準急といった便利で素敵で新宿に行くには便利な電車は止まることは無いが、それでも各駅電車は遅くとも10分間隔で来る。


例えば、大江戸線。


地下鉄なので、特急や準急といった素敵な電車は無いが、2分も待てば次の電車が来る。

もちろん通過電車など無い。


例えば、東武東上線。


成増駅から、特急や準急に乗れば一発で池袋に着く。



「それに比べて、ここはどうだろう……」

明らかにサイズの合っていない白衣を着た少年の、明らかに不満そうな声が、人気のない駅のホームに響く。

「まぁまぁ、秋。落ち着いて」

此方も、明らかにサイズの合っていない白衣を着た、小学生くらいの少年が、明らかに様子を伺うような声で言った。

秋は腑に落ちないような溜息をつくと、どこからか16×16ルービックキューブを取り出して全ての面を眺め、16手。とつぶやくと病的に白い手でいじり始めた。


空き缶の転がる音。

ゴミ箱に、3ポイントを決めてガッツポーズをする青少年。


「田舎のローカル線なんて、そんなもんだろう……それより」

「黙れゼロ」

何かが崩れ堕ちる音。

秋の手元でルービックキューブが壊れたようだ。

殺気だった、彼は止められない。

とりあえず此処は。

「サーセンシタ!!(訳:すみませんでした)」


「よし」


俺は、犬か……。





その後1時間近く待たされ、ようやく来た電車は一両編成で無論空調など存在しない。

「見てください、秋。ゼロさん」

蒼が、電車の外を眺めて興奮している。

「ゼロ……ヤツをとめろ……」

秋から、黒いオーラが出ている。


う〜ん。白い白衣に良く映える。

……とか、言っている場合ではなく。


ゼロ:「言っておくが、俺はゼロではないぞ」

秋 :「知るか」

蒼 :「それより、見てくださいアレ。お墓!!」

ゼロ:「お前は、何て物を………ってどれだよ墓!!山しか見えないぞ!!」

蒼 :「ほら、あそこですよ、あれあれ」

ゼロ:「え?どれだ?……木しかみえないぞ。お前どんな目してるんだよ」

蒼 :「ほら、あの銀髪で頭がバーコード見たいな、おばあちゃんがいるところです」

ゼロ:「みえねぇよ……って言うか、バーコードっつったら、男だろ。女ならアデランスイヴしろよ!!少しは、見た目気にしろよ!!勝手にフィットして付け心地もさわやか!」

秋 :「あそこまで来ると、ちゃんとした鬘にするか、いっそ剃ってしてしまったほうがいい気がするけど……」


そんなこんなで、何とか目的地に着くことが出来た。



目的地:例の事件が起きた人形館である。





「たかにしさーん。たかにしさーーん」


遠くから、部下の声が自分を呼んでいる気がした。


「寝るなー。寝たら殺すぞー」


それは困った。


「解った解った……どうした?」

「秋君から電話です」

そういうと、目の前に携帯電話を差し出した。

最近の携帯電話は、フレキシブル基盤の誕生により超薄型化していると聞くが、実際そんなものを使っている人間を見たことは無い。

今、目の前に差し出されている携帯電話も二つ折りにすると約1.5cmの厚さだ。

差し出された携帯電話を受け取ると、スピーカーを耳に当てた。


「もしもし」


「……落ちるところまで堕ちたね」


「……あぁ、見えないものは見ることが出来ない。盲点だった」


「頼りすぎないほうがいい。いずれ自分の力で立てなくなりますよ」


「あぁ……解ってる」


「なら、良いです。事件は、事故として既に処置済みですね?」


「あぁ……どっちみち、犯人を攻めることは出来ないだろう」


「出来るなら、僕もしたくないです……でも、ここで終わらせるわけにはいかない」


「……もう1つ気になることがある。公にはされていないが」


「市橋悠斗の変死……ですか?」


「何故それを?」


「……それについては、深く首を突っ込まないでください。僕らも彼も後戻りが出来なくなる」


「解った。念のため死体は保護しておく」


「冷凍したら、君が凍るよ」


「……あぁ」


ツ―――。ツ―――。


電話が切れた。


携帯電話をたたんで、伸ばした手は行き先を失った。

部下など、はじめから居ない。

アレは……おそらく彼の。



暗い部屋。


二人の男。


「もう……おしまいだ」


「警察に捕まるくらいなら……」


暗い部屋。 → 赤い部屋。



「ク……クッ……此レデ…全テガ終ヮル。忌ヮシキ麒麟ノ時代ハ終ヮリ、我々ハ真ノ救ィヲ受ケルノダ!!」    







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ