今宵、白くて綺麗な箱の中で。
神様は、まず始めにキリンを世界に産み落としたんだよ。
そーなんだ。
何でだと思う?
え?・・・しらなーい。
考えてごらん。きっと君は、答えを知ってる。
うーん。なんで?
君は、世界の真理を知っている。君は全てを知っているんだ。
そっかぁ。じゃぁ、1ついいことを教えてあげるよ。
なんだい?
君は、ここで死ぬ。
――歪んだ銃声が鳴り響く。
*
「ただい・・・・・・ま?」
玄関に入ると、謎の物体が目に入った。
謎の物体は、白くて、四角い、綺麗で素敵な箱のような形をした物体だった。
「なぜこんな綺麗で素敵な、四角い、白い箱のような形をしたものが玄関においてあるんだ?ってか・・・此れじゃ、家の中に入れないし出れないし・・・もー」
困ってしまった、悠斗は取り敢えず其の箱を叩いて見た。
とんとんとん。
すると如何でしょう。箱の向こうから声が聞こえてきました。
「あら、悠斗君。何してるの?」
義母さんだった。
「あの、何なんですかこの白くて綺麗な四角い箱のようなものは」
「それが、良くわからなくて。外にも出れなくて困っちゃった」
箱の向こうから義母さんの、笑い声が聞こえる。
取り敢えず、どうにかしなければならない。
壊す・・・破壊する。
うん。いい響きだ。
「ちょっと、箱から離れててください」
それだけ言うと、悠斗は学生服を脱ぎ捨て、シャツの袖をまくり。
肩をまわして、首を捻る。
「ドリャーーツ!!」
パッキーーン。
「ありえない、何て硬さだ」
だいじょーぶー悠斗君?。いま、すごい鈍い音が・・・。
箱の向こうから、心配そうな声が聞こえてくる。
ここで・・・こんなところで、諦めるわけにはいかないんだ!!
でも、右手は使えない。ダッテ、痛インダモン。
(見た感じ、周期表に載っているような物質では無さそうだが・・・。だとするなら、此れはいったい。そして誰が、なぜ?そういえば、今日の晩御飯は何だろう。聞いてみようか、ハヤシライスだったらやる気がでるかもしr・・・・いや無い(反語)。っていうか、僕は何を考えているのだろう・・・あぁーもー、如何しようかなぁ、やばいなー)
「悠斗くーん」
「ハイッ!?」
突然、現実世界に引き戻された。
「ちょっとぐらい、燃やしちゃっても大丈夫かな?それともやっぱりタウンページ?」
「無理だと思います。此れは多分・・・ッ」
結界。
いえなかった。言えるはずも無い。
妖怪が見えるとか。自分に妖力が在るとか。
悠斗は、鞄からノートを取り出すと、ノートを1ページ破り、更に半分に、それを更に半分に破く。
悠斗は、4枚になった紙を指に挟んで目を瞑る。
「離れてください」
玄関に、突然の突風が吹く。
悠斗は、其の風に乗せるように紙を放つ。
放たれた紙は、白くて綺麗な四角い素敵な箱のようなものにぶつかると、ぴったりと張り付き、周りの結界を融解していく。
悠斗は、気だるそうに目を開き、口を小さく開く。
結界は、一線の糸のように束ねられ、徐々に悠斗の口から体内に取り込まれていった。
全てを飲み込んだ悠斗は、何事も無かったかのように鞄と学生服を拾い上げると、無事帰宅を果たした。
刹那――。
*
さーてーと。
疲れ気味だな。
そぉ?君のほうこそ。
いや、私は大丈夫だ。
そっかー。次は誰を殺そーかなー。
並べられた名前、写真。
其の中の一枚に引かれるものがあった。
「こいつ・・・っ!?」
静止しした青紫の瞳。
写真に写った、黒髪で長身の青年十三逆と手を繋いで並んで歩く少年。
市橋 悠斗 その人であった。