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今宵、新月の泣く頃に。

人形館。


「此れが・・・例の「銀眼の少女」ですか・・・」


今回の人形展のメイン。


九尾の刺繍された黒い着物を着た、文字通り銀の目を持った人形である。


「てことは、これ。螺旋丸とか撃ったりするわけですか?」

長身の少年が言った。

「死にたいですか?少年A・・・ていうか、名前聞いてないんですけど」

「気付かない振りをしなーい」

「・・・・・・気付かれても困るくせに」


そこに、高西が割って入ってくる。


「そんなことより、悠斗君。被害者は、心臓が悪くペースメーカーをしていたらしいよ」

「やっぱり、事故っぽいですね・・・。床も、ウール100パーだし」

「?」

意を解さなかったのか、高西が首をかしげる。

悠斗は、完全に高西がフリーズしたのを確認すると、高西のスーツのすそを引っ張り、人形の前に立たせた。

「触れてください」

「出来ません」

「・・・・・・・」

「わかりました(涙」


高西が、周りに悠斗と少年A以外の人間がいないことを確認してから、恐る恐る人形に指を近づける。


刹那


「痛い」

高西の指に、電流が走った。

「無感情・・・大失格」

悠斗が言う。

「おいおい・・・大失格って・・・」


「でも、外傷がないなら、此れしかないですよね?・・・高西さん」


悠斗の笑顔で、事件は一瞬でピリオドを打たれた。





「ご協力有難うございました」

高西たちに見送られ、人形館を後にする二人。


「全く、やんちゃだね君は」

少年Aが静かに口を開く。

「あなたこそ。なぜ学校に?」

少年の首から、ムカデが頭を出してきた。

ムカデは、そのまま上へ昇っていき、額の辺りでとまった。

「生徒だから」

悠斗は、別段驚く風もなく続けた。

「まぁ、それはい」

「それとさぁ・・・」


「?」


「今日の分は、『貸し』だから」

「今日の分?」

「僕がいなかったら、今頃君はどうなっていただろう」

「なにか、在りましたっけ?」

検討のつかない悠斗は、首をかしげる。



人形館前。


「しょうがないな・・・いこうか」

少年は、悠斗の頭の上に手を載せ、つぶやいた。

「今から10秒、君と僕を不可視にする、其の間に館に入ろう」

悠斗は、1つうなずくと口を開いた。

「有難う、十三逆さん・・・いこう」




「在りましたね、そんなこと。で、話を変えてもよろ」

「というわけで・・・」

少年は、またも悠斗の話をさえぎった。

「僕の名前は、十三逆正とみさか せいよろしく」

「市橋悠斗です。よろしく」

少し、恥ずかしそうにうつむいて答えた。


「で!!」


「?」


「いつまで、手繋いでるつもりですか!!」


恥ずかしいったらありゃしない!!と。


「いいじゃない・・・僕たち。そういう運命だろう?」


笑えなかった。


「もう1つ、君に貸しを作った記憶がある」


「それは・・・言わない約束です」


「あれは、あの事件は殺人だった」



銀眼の少女。

彼女の瞳は、殺生石。


「笑えないね・・・、僕が言うのもアレだけど」


つぶやく少年の瞳は、青と紫。

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