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今宵、新月の迷路に惑う君へ。

日曜日。蛍光灯を買いに行った。

月曜日。友達が出来た。

火曜日。友達が増えた。

水曜日。土手で転んだ。

木曜日。昔の夢を見た。

金曜日。始まった。


学校の帰り道。

月曜日に、突然「俺とお前は、友達だから」と言われて、尚且つ「行くから」と言われ、

人形館の展覧会のチケットを渡された。

どこか、冷めた感情を隠すために、小さく笑った。

「何がおかしいというか?」

「いや・・・男が人形って、あんまり聞かないから」

「どひゃー、お前わかってないな・・・(略)・・・それに、この人形を作った人は、日本の人間国宝にも指定されている、偉大な人間なんだぞ!!」

人間国宝・・・?

「へぇ・・・すごい人なんだね・・・」

すごいも何も・・・(略)・・・なんだ!!



「これは・・・」


人形館入り口。



入り口で、二人を待っていたのは二人の警官と、張り巡らされた黄色い帯。

「なんで・・・なんで、こんなことに・・・」

悲痛な少年の言葉にも警官は、ピクリともしない。

悠斗は、いたたまれなく成って彼の制服の袖を軽く引っ張った。

彼は、動かない。

悠斗は、彼の横に立つと首1つ分高い彼の顔を覗き込む。

彼は、心配そうな悠斗の顔を見ると何を思ったか、優しく笑って悠斗の頭に手を乗せた。

「しょうがないな・・・いこうか」

うつむいたままの悠斗は、突然何かをつぶやくと彼の手をとり、

「いこう・・・」

閉鎖された、人形館へ侵入した。



「君は!?」

「久しぶりですね、飛ばされたんですか?」

悠斗は、微笑する。

「高西さん・・・」

高西と呼ばれた刑事は頭をかくと微笑んだ。

「君のおかげでね」

「そりゃ、どうも」

弱った・・・ぜんぜん話についていけない。

「あのー」

忘れられた少年は、

「俺・・・帰ってもいいですか?」

「駄目です。ここまで僕を巻き込んでおいてそれはないでしょう」

・・・・・。



「殺されたのは、火闇隆一ひやみりゅういち。小闇金会社の社長で、先日亡くなられたこの家の人形師の富坂由紀子とみさかゆきこは、彼の会社に多大な借金をしていたらしい。

被害者、火闇に外傷はなく死亡原因不明」

それって、殺されたって言うのと、とても矛盾している気が・・・。

「それって、殺人事件っていうのと違いますよね」

高西の説明にけちをつけた。


(なに、これ)


悠斗に無理やり連れて来させられた少年は、全く状況が読めなった。

「あのー・・・」

「そこなんだ」

え?無視ですか。

「事件が起こった当時、この家には火闇をのぞいて3人しかいなかった、そしてその3人全員の証言が・・・」

全く異なっていると。

しばらく、二人とも無言の状態が続いた。


「なら・・・」


悠斗が突然、沈黙を破った。

「証言は如何でもいい・・・現場を見せてください」



答えなんて欲しくない。


でも、知る必要がある気がする。


過去の記憶とカルマの軌跡を。













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