影の国のヒカリちゃん.5
「これを使うといいでしょう」
ケロリアが、子供たちともってきたのは、古い鎧だった。
「これは、どうしたのですか?」
「昔のホビットの冒険者が、傷を癒してあげたかわりにいただいたのです」
そのホビットは、酷い怪我で、多額の寄付が必要だったのだが、この教会だけは、無償で治療してくれたので、せめてのお礼に鎧をくれたのだ。
「生活に困ったら、売ろうとしてましたが、つむじ様がお使い下さい」
「いいのですかね、もらって」
遠慮するつむじに、ケロリアが優しく進める。
「あなた様は、子供たちにたくさんのご馳走をしてくれたから、子供たちも大喜びですから」
「いいよ、着てみてー」
「似合うかもよー?」
鎧は動きにくいからなと思いつつも、これなら姿を隠してヒカリちゃんに近寄れるかなと思ったので、子供たちにも手伝ってもらい身につける。なんか不格好と思う。
「サイズは、ぴったりのようだケロ」
「中々、イケてるじゃん!」
「かっこいーよ?」
「そ、そうですかね」
兜を被れば、誰か分からないから、これでヒカリちゃんの遠征メンバーに潜り込むのですと、気合いを入れる。
ヒカリちゃんの旅立ちは、明日の朝と言うことなので、最後は盛大にと行きたいとこだが、路銀に余裕がなくなってきたので、質素に晩御飯をみんなで囲みました。
と言っても、いつもの教会の料理に比べて豪華なので、子供たちはそれで満足です。
みんなで、わいわい楽んだ後の次の日。まだ、薄暗い日の早朝。
子供たちの寝顔を見た後、ケロリアに礼を言ってその教会を後にしました。
「あなたに幸運を」
「ありがとうなのです。またいつか」
見送るケロリアに、ペコリとすると、裏路地から城へ。
すると、城の城壁沿いに沿って、どう潜り込むか考えていると、裏口が開いた。
「ん?あれは?」
扉が半開きになっているので、これ幸いと中を覗いて誰もいないことを確認すると、忍び込む。
どうやら、ヒカリちゃんの旅立ちに慌ただしくしていて、しめわすれたみたいです。
「なんて、無用心なのですか」
見張りはどこへ行ったのか?しかし、つむじが気にするのはご飯のことばかりなので、ヒカリちゃんを探して歩いていると、遠目に見覚えのある人たちが。
服装は違うけれど、あれはヒカリちゃんだ。
無事で良かったと思い、近寄ろうとしてふと気づく。木の上に盗賊風の男が、ヒカリちゃんに向けて、矢を射かけようとしているので、つむじは、素早く近付いて、木を思いっきり蹴ると、その振動で盗賊風の男が落ちて来たとこにねこぱんち!
「ぶべっ!」
変な呻き声をして、気絶したのでしまったと思う。
なぜ、ヒカリちゃんを狙ってたのかを、聞き出せば良かったと思う。
「てか、ヒカリちゃん狙われてるのかー」
さっき、見張りがいなかったのもそう言うことかと理解し、このぐでんとなっている奴を、引きずって一旦外へ出て、街の兵の詰所の前へ置いてから、慌てて中へ戻る。
ヒカリちゃんはどうやら、城の見送りの人たちに挨拶しているようなので、その隙に紛れ込む。
そこには、小柄だが出るとこ出てる女の子と、見習いっぽい騎士がいた。
魔物退治の旅にこれだけで、大丈夫なのだろうかと気にしつつもつむじは、挨拶する。
「つ、ズングリアスです」
つむじたちが、外へ出ると、街の住民たちが見送りに出て来たのを考えると、ヒカリちゃんはかなり慕われてるんだなと考える。
人々の声援にそ応えて手を振るヒカリちゃん。
それを狙うさっきの盗賊風の男が気になるものの、朝食のことが気になった。
早く出て来たものだから、まだまだお腹空いているのだ。
「こら!真面目にやれ!」
コッセオに叱られたのは、屋台があったので、馬から降りて買いに行ったからだ。
「気にしなくていいよ。出来ればこれで、人数分買っておいて」
ヒカリは、くすりと微笑むと金貨一枚を渡してくる。
やっぱりヒカリちゃんは、優しいなと思いつつも、人数分の弁当を買う。
跳ね橋を降ろしてもらい、城門から外へ。
そこはモノクロな世界。白と黒がほとんどで寂しいなと思うヒカリ。
お化けクリスタルで、召喚された時は、世界に色があるから、びっくりしたものだ。
みんな元気でやってるだろうか。感傷的になりつつも、旅立つ。
まずはこの草原を越えないと。一見自然豊かな土地も、ヒカリは自分のせいで、魔物が増えたことに心を痛める。
王族だから特に、魔物の出現率が高くなっているのだ。
つづく




