騎士の苦悩三
「変わったマントだな」
打ち合いながら、必死にマントに意識を集中させるサトケン。
「騎士のあなたに憧れたから……これがある!」
あの時、マントをはためかせ、助けに来てくれたから。
出なければ、モブである自分が、一介の騎士と戦えるはずあるまいと、思いました。
「はっ!」
サイアスの流れるような斬撃に、押されて距離を取る。
「……その憧れの騎士は、もういないよ」
「?」
「もう、騎士じゃないんだ」
何かを堪えるようなサイアスに、絶句してしまうサトケン。
「危ない!」
踏み込んだ斬撃に、無意識にマントが防ぐけど、後ずさりしてしまう重さ!
「くはっ!」
柄での峰打ちでしたが、騎士の一撃に膝はガクガク。
「済まないが、眠っててもらうよ」
他のみんなは、使い魔の相手をしていて、相手が出来ないなんて!
このまま倒れたら、楽だなと思いながらも、サトケンは、倒れない。
まだ、ハコちゃんを助けていないから!
「あ!」
バケノジョーが、何も無いとこを二度見すると、サイアス含め、他のみんなが、釣られて見てしまう。
その隙に、サトケンは、サイアスに体当たり!
お腹の辺りにぶつかって、マントが絡み付いて倒すと、魔力を解放!
「うわあああああ!」
サイアスは、ビリビリして、ダウン?雷の魔力?
みんなも、他の使い魔をこらしめて、こちらに駆け寄る。
「癒やしの光!」
ミカちゃんが、サトケンの肩に手を置くと、唱える。
淡い緑の光が、サトケンを包み、傷が癒される。
「サトケン………強く……なった」
「………サイアス。あなたは騎士なのに!何で、何でこんなことをしたんです!?」
サトケンの悲痛の声は、しかし、外のダンスパーティーに欠き消される。
バケノジョーったら、うるさいのは、近所迷惑よ。てへ、ぺろは止めなさい………て、あんたお化けだから、私のこと見えてんのかい!
「くっ」
何とか、ゆっくりと起き上がり、壁際に寄りかかる。
「……理由は、パープルに……聞いてく……れ」
何で、魔女なんかに?そう言おうとして、サイアスが続きを話す。
「私の家のご先祖様なんだよ」
「!」
「ええ!?」
ミカちゃんも、びっくりして、つむじは、食事休憩。あんぱんを食べている。ちゃんと、ミルクもセットで。
「あい……つの理由は……ともかく、私の戦う理由は、復………讐だ」
サイアスは、傷が痛むのか、顔をしかめながら語りました。
この街の領主ダラケンは、だらだらするのが大好きなナマケモノ。
民のことより自分のためにが、モットー!
コネとゴマすりにだけは、長けていたので、領主にまで成り上がった男でしたが、民の税を好き放題に使っていたので、正義感あるサイアスが、注意したら、いくら功績を挙げても出世は出来ず、自分の都合の良い騎士ばかりが出世して行って、嫌気が指したのです。
そんな時出会ったのが、紫の魔女で、教えてくれた。
サイアスのご先祖だと。確かに、母の面影があり、血の繋がりと言うのか、何なのか、他人とは思えなかったみたい。
だから、人々に絶望したサイアスは、今回の騒ぎに協力したそうですが、重い!鉄アレイより重い!
「…それでも、あなたは人々の騎士であるべきだと……思う」
まだ、経験も浅い自分に、どう言えばいいのか分からず、それだけは伝えたです。
「………」
「行こう」
サトケンは、みんなに頷きかけると、館の奥へと駆け出したのです。
サイアスが、何をしようと、あの時助けてくれたヒーローは、サイアスだったから、憧れの人のように、マントをはためかせ駆けます。
マントを、はためかせていれば、弱気を隠して、強気で立っていられる。
だから、サトケンは、マントをはためかせるのが好きなのです。
駆けろ、サトケン。例え、振られても!
好きな女の子を助けるために!
つづく
少しずつ、投稿します




