相合い傘
外を出ると、雨がシトシトと、降っていました。
「ごめんね、私といるとすぐに雨が降る」
困ったように笑うハコちゃんは、極端な雨女だったから、あまり遊ぶ友達がいませんでした。
小さい頃は、無邪気で人を傷つけることがあります。
一緒にいれば、外で遊べないから。
家で、遊ぶことが多かったけど、でも、この街に引っ越して来てから、ミカちゃんや、バケノジョー達に出会ってから、ハコちゃんは、元気になりました。
雨でも、気にせず一緒に遊んでくれるから。
「ブヒー、ブヒー」
横を、鼻息荒いブータくんと、友達がちょっと、冷やかすように見ながら、通りすぎて行きました。
「雨の世界は、雨音が好きだから、僕は、平気だよ。
目を閉じて、雨音を聴くのが好きなのさ」
サトケンは、マントを被って雨の世界を歩き出そうとするのを、ハコちゃんが、慌てて止めます。
「こらこら、風邪引いちゃうよ!」
慌てて、自分の折りたたみ傘を広げて差し出す。
「あ、ありがとう」
いきなりの相合い傘に、どぎまぎするサトケンは、黙って自分で持つ。
「ありがとう」
「うむぅ」
変な返事を返しながらも、二人は、帰路に着く。近い、近い!心臓がバクバク。
落ち着かせるために、マントを触る。
「……?」
小雨ではあったが、雨音がしないなと思ったサトケン。
「すごいでしょ、この傘。魔法鍛冶師の何だよ」
不思議そうなサトケンの目線に気付いたハコちゃんが、クスリと笑い、話してくれた。
「雨女のハコには、一生ものの傘を買って上げるわね」
「何で、嬉しそうなのよ、お母さん」
「だって、傘を見ると思い出すわ、パパのプロポーズ、うふ」
「え?何それ、聞かせてー!」
「ウフフ、パパったら、魔法鍛冶が造った傘を差し出して、僕の傘に、これからずっと入ってくれませんか?だって!」
「えー、微妙だよ」
「そう、ママは、嬉しかったなー」
そんなことを思い出したハコちゃんは、照れてしまいます。
でも、サトケンが雨の好きな人で、良かった。
「サトケンは、どうしていつも、マントを身に着けてるの?」
「何だい、今さら?マントと言えば、僕だろう?」
近くで、かわいいハコちゃんの顔を見ちゃうと、クラクラしちゃいそおなので、前を向いたまま答える。
「何それ?でも、いつもしてるなって、思ってさ」
「これは、憧れの人を真似したのさ」
そして、サトケンは話す。サイアスと言う騎士見習いが、幼い頃助けてくれた時のことを。
「へぇ、サトケンにとっての憧れなんだね」
二人は、それからも、会話は弾むものの、サトケンは、遊びに誘うことが出来ずにいた。ウブね。
二人は、相合い傘で帰るのを、ミカちゃんたちが、こっそり後をつけます。
「ぼくちゃんも、ヒカリちゃんと、相合い傘したい~ん」
「おいらがしてあげるバケ!」
イブキくんと、バケノジョーがすったもんだしてるのを、スルーしながら、ヒカリが、困ったように言う。
「でも、後をつけるのは悪いよ」
「何の漬け物ですか?」
「もう、つむじは何でも食べ物にとらえるんだから…でも、そうだね、二人っきりにしてあげよっか」
「じゃあ、私の家、寄ってく?」
ミカちゃんも、悪いかなって思ってたので、それが良いと思いました。
ミルクちゃん家は、駄菓子屋で、子供達に大人気。
つむじの瞳が、きらきら輝いています。
馬車や、箱型の魔法の乗り物(浮く車)の通りを避けて、裏通りへ行こうとして、悲鳴が聴こえました!
つづく




