図書館にて
シャインの街は、元々静かな村でしたが、十年位前にヤミノオウを、封印した功績により、王国からの援助で発展した街です。
その時に建てられた図書館は、中々の数の本があり、住民からも愛されています。
その図書館の一角に、ヒカリちゃんがいました。
ヒカリちゃんは、熱心にこの世界のことを勉強しているのです。
何せ、今までミカちゃんの影の中で、眠っていたから、分からないことが多いのです。
ミカちゃんと同じ学校で学び、ヒカリちゃんは、正直にみんなをお化けにしたことを謝りました。
黙っていても、いつかはばれるもの。
最初は、敬遠されつつも、明るいお化けの明るさと、クラスの女子たちに人気のユウくんの人徳もあり、ヒカリちゃんは、少しづつ受け入れられたのです。
私は、友達に恵まれてるなと思いました。
紙コップに入った、タピオカミルクティーを一口飲んで、一息。
タピオカは、どうも苦手かなと思うのは、黒い奴が、図鑑で見た、おたまじゃくしにしか見えないから。
でも、何でもかんでも捨てるのは、好きではないので、残さないことにしてるのです。
ふと、学校の噂話を思い出して見る。
ぬいぐるみにさせられてるなんて、おかしな話だ。
「…雨」
外の雨が、強く窓に当たっていて、水の精霊が大はしゃぎ。
ミカちゃんが、光の巫女だからか、ヒカリちゃんも精霊の姿が見えるのだ。
水の雫の形をした精霊のカップルが、手を振って来たので、そっと振り返す。
「ぶっ!」
思わず、タピオカを吹き出しそうになって、慌てて口を押さえる。
周りの人達に、ペコペコ頭を下げる。
変質者かと思ったら、私のことを目をハートにして見てるのは、イブキじゃないか、はは。
あのどストレートな好き好き光線は、苦手ではあるけれど、ヒカリちゃんがミカちゃんの影としって、周りは距離を置いていたけど、イブキくんだけは違った。
そんなの気にしないで、ヒカリちゃんと関わってくれた。
そこは、感謝しないとね。
「あ…ミカとハコだ!おーい!」
図書館なので、小声でそっと手を振ると、何かを警戒しながら、小走りに近寄って来る。どしたの?
「二人共、どしたの?何か、あった?」
「ヒカリ、やっぱりここにいたのね!」
「うん、イブキに追われたの?」
「へ?イブキくんがどうしたの?」
ヒカリちゃんが、窓の外を示すと、イブキがウインクしてる。
「あー、そうじゃなくて、何か変な魔力を感じて」
「そ、そ」
そうして二人は、私が一人でいるかもと思って、心配になって来たのだと言う。
「ありがとう」
えへへと笑い、ヒカリちゃんが、礼を言うとそこへ、イブキくんがやって来ました。
「ご機嫌麗しゅう、ヒカリちゃん」
「はあ、どうもこんにちわ」
「今日も、かわいいですなぁ」
簡単に褒める人って、言ってて恥ずかしくないのかな?
ヒカリちゃんは、そう思いましたが、黙っていました。
影でいる私なんかを、好きでいてくれてる訳だから。
そして、イブキくんは、ミカちゃんたちが、カフェを出た後のことを教えてくれたのです。
「学校でも、噂してたよね?」
ハコちゃんが、紫の魔女のことを話すと、イブキくんの顔色が悪くなりましたが、気づいた者はいません。
ともかく危ないので、みんなで帰宅することにしました。
外は、雨降る世界で、普段とは違う景色で薄暗く、不安が掻き立てられる四人でした。
「ハコって、どうしてそんなに、雨に愛されてるのかな?」
「ふふ」
「あれ?私、なにかおかしなこと言った?」
「ううん。雨に愛されてるだなんて、ふつー、思わないから」
クスクス笑うハコちゃんの言葉に、そうかなーと思うミカちゃんは、元々明るい子でしたが、バケノジョーの影響を受けて、プラス思考になっていたのでした。
「でも、これだけ雨女の私なら、農作物の不作のとこに行ってあげれば、助かるかもね」
「おおう。ならぼくちゃんの女日照りを癒してほしいですなぁ!」
「イブキくん、サイテー!」
冷たくあしらわれ、シュンとするイブキくんでした。
つづく




