3.食事。
様々な店を巡っていれば疑問思っただろう店に入った二人は、店の中でやはりというかなんというか、普通の食事処ではありえない状態になっていた。
「ぅぉ、、まさかこんな店、だとは…あっ!」
「ひ、ひぁ…、そ、そこはだめ、ちょ、やめっ、ひぁぁっ!!」
ヌルヌルとした液体塗れになったユーナそして、体中を弄られているミークの姿がそこにはあった。
「くく、嬢ちゃんらよぉ?いささか無防備すぎるんじゃないかい?俺みたいな奴が店番してる時点でおかしいと思わなかったか?」
呼び込みの男が己の棒を出しながら二人にいう。
「んにっ!はぁ、はぁ、知らんっ!お腹空いてたんだよっ、くぁっ!!」
「っっっ!!!」
「あっ、ミーク!」
そして。
「くそっ、なかなか掴めないぞっ、このうなぎどもっ!!」
「服に入ってきてるのとってぇぇ!!」
なかなかうなぎを掴めず、跳ねた液体でヌルヌルしてるユーナと、掴んだ、と思ったらそれが服の中に入ってきてしまったミークである。そしてミークはうなぎの生け簀に落ちた。
呼び込みの男は、出したうなぎを焼く用の木の棒を手にペシペシと叩きつけながら言った。
「クハハッ、うちの売りはうなぎの鮮度よっ!それに自分で獲ったもんが一番うまいのは自明の理じゃねぇか!?えぇ?」
「素人に素手でうなぎはそう簡単に獲れねーよ!?」
「んああーーっっっ!!!」
「ミーク!?」
軽い触手プレイ状態のミークが何かに達した。それを見た呼び込みの男はやっと腰を上げ、網を出した。
ちなみに、生け簀には浅めなので、溺れる心配はない。
「ほれ、これ使いな。」
網をユーナに渡した。
「あるなら渡せよ!最初からっ!」
「それじゃあつまらねぇだろ?あっはっはっはっは!」
「あー…。…」ビクンビクン
「って、ミーク!?大丈夫かっ!?ちょっとオッさんあっち向いてろゴラァ!!」
「グベラバッ!!??」
呼び込みの男…オッさんを殴り飛ばしたユーナは、ミークの服を掴み、生け簀から引っ張り出す。服を脱がし、下着だけにして、うなぎを確保。水とヌルヌル以外にも何か付いている気がするが、気のせいだと思うことにしたユーナは、鞄からタオルを出しミークをさっと拭くと、下着も脱がせ、鞄から服を出そうとして気づく。
「あっ…替えの下着ねぇじゃん」
…仕方がないので、下着はそのままに、服だけをミークに着せたユーナだった。ちなみに、スカートだ。
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「はぁふぅ…。うなぎおいし」
「…確かに美味いけど…二度とこねぇよ…」
うなぎの串焼きを食べながら、二人は道を歩く。
「とりあえず、食べ終わったら下着買いに行かなきゃね…」
「せやな…私のもベタベタだし」
二人の次の目的地は、服屋になったようだ。……が。
「…金、なくね」
「…あっ…」
歩く方向を変え、二人は討伐ギルドへ向かった。下着は割と、高いのである。
「…早くしないと宿も取れないっ」
若干駆け足なのは、気のせいではない。
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討伐ギルドとは、世界中に蔓延る魔物を討伐し、それらの体内にある魔石や、皮や肉などの素材を集めるギルドである。魔石は色々なことに使われるが、主に灯や火の元など、日常雑貨として使われている。電池のようなものだ。また、高位の魔物の魔石ならば、それ単体で魔法が使え、値段も篦棒に高くなっていく。
「たのもー」
「こんちゃー」
屈強な男達がワイワイガヤガヤしている討伐ギルドに、挨拶をしながら二人は入った。多少の注目は浴びたが、最下級の魔物を狩ってお金を稼ぐ子供も少なくないので、周りは特に気にしていない。
「どーする?高額の1つか、普通の3つか4つだよねー」
「時間ないし、高額のにしよーぜ」
「ほいほーい」
「依頼取ってくるから武器出しといてくんね?」
「りょーかい」
ミークは魔術師である。武器を出しといて、というのは、空間魔術で異空間にしまっているものを出しといて、という意味である。空間魔術はかなりの難易度がある上、適性が必要なので使える人はあまりいない。それをミークは人前で堂々とやり始めた。
「えーと、《穴》」
《穴》という言葉だけで、ミークの目の前に黒い穴ができる。その中に両手を突っ込み、2つ、ものを引きづり出した。1つは上端に白く輝く大きな魔石が付いている杖。もう一つは黒い糸と、綺麗な白い光沢を持つ弓。
ミークが空間魔術を使ったあたりから、周りはミークに注目し始めていた。ミークがわざわざ目立つ所で魔術を使ったのも、実力があるというのを見せて牽制するためだったりする。
「取ってきたぞ、エリアルドラゴン討伐」
「うぇっ…エリドラ…?まじかよ、やなんだけど…」
「これしかなかったんだよ、高額依頼」
「うぇー…」