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第2章ー24

 第2次オデッサ攻防戦は、8月に入って終盤を迎えつつあった。

 勿論、流石に連合国軍の再攻撃が始まって、10日程で物資に窮する程、オデッサを守備していたソ連軍に事前準備していた物資が不足していたわけではない。

 まだ、オデッサを守備しているソ連軍の物資が尽きたわけでは無かった。

 だが、様々な援軍が駆けつけた連合国側に対し、援軍が届かないという状況がソ連軍の戦意を徐々に打ち砕きつつあった。


 これは第1次オデッサ攻防戦の勝利によって、英雄都市としてオデッサを、ソ連政府、軍が持ち上げ過ぎた反動と言える側面があった。

 英雄都市として持ち上げた以上、それなりの支援を行わない訳には行かない。

 だからこそ、オデッサを支援するために、戦艦「セヴァストポリ」まで投入された護衛を伴う輸送作戦が決行されたし、また、潜水艦によるモグラ輸送まで試みられたのだ。

 だが、第2次オデッサ攻防戦が始まった後、それらはことごとく上手くいかなかった、と言ってもあながち間違いではない結果を迎えていた。


 確かに、戦艦「セヴァストポリ」を伴う輸送作戦が完全に失敗したとは言えない。

 黒海にあった貴重な大型輸送船10隻を投入した輸送作戦は、オデッサ到着前に6隻が沈んだが、4隻は無事にたどり着いて物資の揚陸には一部成功したと言えるからだ。

 その代り、その帰途に戦艦「セヴァストポリ」は沈み、輸送船は全てが失われた。


 このような状況下において、よりにもよってヴォロシーロフ元帥の名を冠した重巡洋艦を投入した再度のオデッサへの輸送作戦等、ソ連黒海艦隊にできる訳が無かった。

 かと言って、伊空軍の対艦攻撃を得意とする航空隊に加えて、巡洋戦艦「ヤウズ」を含むトルコ、日本連合艦隊が、オデッサ近郊に出没して海空からの封鎖作戦を実行している以上、軽巡洋艦以下の艦艇のみの護衛で、オデッサの封鎖を突破できる訳が無かった。


 そして、陸戦でもソ連軍の戦意を低下させる事態が起こっていた。

 仏軍の重砲部隊に、ソ連軍は一方的に撃たれる事態が多発していたのだ。

 本来から言えば、ソ連軍は対砲兵戦闘を挑んで、仏軍の重砲部隊を潰すべきだった。

 だが、仏軍の重砲部隊は40サンチ砲まであり、どうにもならない火力差があった。

 更に制空権は、ほぼ失われており、下手に対砲兵戦闘をソ連軍が行えば、砲兵陣地に連合国軍による爆撃が浴びせられる有様となっていた。


 下手に第2次オデッサ攻防戦が始まるまでは、十二分にオデッサは守り抜けると考えられていたことが、ソ連軍の士気低下を顕著に招いていた。


 実際問題として、第1次オデッサ攻防戦開始時点で、ソ連軍の守備隊は名目上は約3個師団、但し開戦以来の損耗により、実質2個師団余りだったのが、第2次オデッサ攻防戦開始時までに海路で増援が行われたり、市民から志願した兵を補充兵にしたり、ということを行ったことで、4個師団程度にまで戦力が増強されていたことから考えると、ソ連軍の事前想定は誤っていたとは言い難い。

 だが。


 第2次オデッサ攻防戦開始時点で、連合国軍の地上兵力は、第1次オデッサ攻防戦で投入されたルーマニア軍10個師団に加え、スペイン青師団3個、仏軍砲兵部隊、約1個師団相当(各種独立部隊の寄せ集めのため)が事実上の増援として投入されたことや、連合国軍の海空からのオデッサ封鎖作戦が実効力を発揮しだしたことを考えれば、ソ連軍の事前想定は覆されたといってよかった。


 そして、ルーマニア軍のチュペルカ将軍は、スペイン青師団のグランデス将軍との緊密な協力の下、オデッサへの鉄環を締め付けていった。

 オデッサ守備隊は海路からの撤退を検討はしたが、不可能と判断せざるを得なかった。

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