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第2章ー1 地上軍の対ソ欧州本土侵攻作戦

 話が前後してすみません。


 第2章になります。

 話が前後するが、1942年5月15日朝、連合国軍の3つの軍集団は、5か所の突破口を開いて、ソ連欧州本土への大侵攻作戦を発動していた。


 北から順に述べれば。

 メーメルからスヴァルスキの間で、日米連合軍からなる集団(通称、北方軍集団)の攻勢が発動された。

 スヴァルスキからグロドノの間、及びブレストを中心とする2か所において、英軍を中核とする各国の集団(通称、中央軍集団)の攻勢が発動された。

 また、リヴォフを中心とする、及びルーマニア国境という2か所において、仏伊軍を中核とする集団(通称、南方軍集団、ラテン軍集団)の攻勢が発動されている。


 それぞれ実際には、地形等の問題から寸断された所もあったが、基本的には幅100キロ余り、縦深が数十キロに及ぶというソ連軍の縦深攻撃のお株を奪う大攻勢が発動されていた。

 この大攻勢は、この攻撃に参加した連合国軍の将兵にも強い印象を遺すものとなった。


「雷電を初めとする稼働可能な軍用機全てを使用すると上官に言われて、どれだけの大攻勢を展開するつもりなのか、と自分自身も思ってはいたが、これほどのものとは」

 鴛淵孝中尉は、自らの愛機、雷電を飛行させつつ、そう呟かざるを得なかった。

 北方軍集団の場合、リガ湾に上陸作戦を別途、実行するという事情もあり、攻勢軸を絞って、一度に大規模な攻撃を行わざるを得なかった。

 そのために、鴛淵中尉も奮闘を強いられる羽目になったのだが。


「こんな大攻勢を展開するとは信じられない」

 鴛淵中尉自身も目を疑う事態だった。

 投入可能と目された全ての軍用機が使用されている。

 戦略爆撃機は後方に対する、いわゆる絨毯爆撃を展開している。

 双発爆撃機群は、それより手前の目標に対する攻撃を展開し、戦闘機部隊が援護している。

 鴛淵中尉等は、戦闘爆撃機乗りとして前線部隊に容赦のない空爆を浴びせていた。

 なお、言うまでもないが、ソ連軍の前線部隊には投入可能な全ての火砲が大砲撃を浴びせている。


 空を飛ぶ鴛淵中尉だからこそ、分かるとも言えるが。

 この砲爆撃の事前計画は充分に練られて、関係各所に伝えられていたようで、圧倒的な火力が叩きつけられていると言える一方で、できるかぎりの効率的な砲爆撃が行われようとしている。

 そのために、ソ連軍全体に動揺が広がるのではないか、と鴛淵中尉の目には見えており、実際、日米連合軍の前進が開始されれば、ソ連軍は耐えられず崩れ立つのではないか。

「ソ連軍が気の毒に思えてくるな」

 こういった状況を把握した鴛淵中尉は、思わず呟かざるを得なかった。


 実際、地上からでは却ってこの状況と言うのは分かりにくかった。

「えらい、広い範囲に渡って攻撃を加えているな」

 西住小次郎大尉は、そんなふうに呟きながら、攻撃開始時刻を待っていた。

 中国内戦介入以来の歴戦の古強者と言える西住大尉にしても、これだけの砲爆撃は初めて見るものと言えたのだが、何しろ地上からの視界には限界がある。

 地平線の彼方にまで砲爆撃を加えているようだ、という程度にしか、西住大尉には認識できなかった。


「それにしても、一式中戦車か」

 つい昨年、制式化された日本陸軍が誇る新鋭戦車の筈だが、実際に搭乗している西住大尉にしてみれば、既に微妙に不満の出るようになった戦車だった。

 勿論、現在の連合国の戦車の標準と言える57ミリ長砲身(英国の6ポンド砲を事実上ライセンス生産したもの)の主砲を、一式中戦車は搭載しており、さすがにKV戦車相手には苦戦を強いられるが、T-34戦車相手には、互角に戦えるのは、頭の中では理解している。

 しかし、相手が76ミリ砲を積んでいる以上、こちらも75ミリ砲を搭載した戦車が欲しいものだった。

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