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第7章ー4

 1942年10月、米陸軍が制圧した洛陽、襄陽周辺には、大規模な航空基地群が整備されていた。

 また、武漢三鎮周辺でも、同様に大規模な航空基地群が整備されていた。

 平時であったら、また、自国、又は同盟国の領土であったら、ここまで短期間に航空基地群を整備することは不可能だっただろう。

 戦時中であり、事実上は敵国の領土であることから、米軍は強制的に土地を収用し、そこに住んでいたり、その土地を農地等として活用したりしていた住民を、強制的に排除することで、速やかにこのような大規模な航空基地群の整備を行うことができたのだ。


(なお、米軍が単に住民を排除しただけでは、排除された住民が破壊活動を行うだろう、と警戒したこともあり、その排除された住民のほとんどが、蒋介石が当時、統治していた北満州や沿海州に、家族ぐるみでほとんど着の身着のままという状態で、蒋介石政権の協力の下で送られ、過酷な開拓生活を送ることになった。

 更にその多くが、故郷を二度と見ることなく、望郷の思いを抱いたままで、移住先で様々な死因(凍死、餓死等)により、亡くなる運命が待っていた)


 そして、米国の国力は、中国本土の航空基地群に、大規模な戦爆編合の航空隊を、米陸軍航空隊が展開することを可能にしていた。

 1939年に第二次世界大戦に本格参戦した米国は、それから3年余りの間に生産ラインの拡充等を行い、中国本土全体で1000機を超えるB-24重爆撃機を、この時には配置できるだけの生産を行っていた。

 更に長距離援護戦闘(爆撃)機として、P-38戦闘(爆撃)機が、1000機以上送り込まれていた。

 勿論、他にもB-17重爆撃機やP-40戦闘機、B-25中爆撃機、B-26中爆撃機等々といった米国の誇る爆撃機や戦闘機が、多数、中国本土の航空基地群に展開している。


 そして、この米陸軍航空隊を迎え撃つ共産中国空軍であるが、1937年の中国内戦本格再開以来の損耗によって、1942年秋当時、共産中国政府の保有する空軍は、ほぼ消滅と言っても過言ではないレベルに陥っていた、と言ってもそう間違いではなかった。

 実際、この当時の日本空軍の報告書、また、米陸軍航空隊の報告書等を精査する限り、まともな共産中国軍の戦闘機部隊との交戦記録が、この頃になるとほぼ遺っていないのだ。


(例えば、米陸軍航空隊、約1000機に対して、約50機に満たない劣勢なのに、共産中国戦闘機部隊は果敢に戦いを挑んできた、という記録ばかりになるのである。

 幾ら寡をもって衆を制する、量より質で勝つ、という言葉があるとはいえ、1割にも満たない劣勢で戦いを挑んでは、数の暴力の前にすり潰される例が多発して当然ではないだろうか)


 裏返せば、それだけ共産中国空軍の航空隊が損耗していたという証となる話である。

 そこに、それだけの米陸軍航空隊が展開して、中国本土奥地となる四川省や青海省に航空攻撃を展開することになったのである。

 そして、それもあって、日本空軍の重爆撃機部隊は、中国本土から欧州へと主力は向かうことになった。

 何故かというと、日本空軍の重爆撃機部隊が、日本空軍のいうところの99式重爆撃機、米国のB-17重爆撃機によって編制されていたからである。


 B-24重爆撃機を日本空軍も導入しよう、という動きが全く無かった訳では無いが、日本空軍上層部が99式重爆撃機の頑丈さに惚れ込んだために、(相対的に99式重爆撃機より脆弱な)B-24重爆撃機は敬遠されてしまったのだ。

 また、ソ連欧州本土の戦略爆撃も必要だった。

 こうしたことから、日米の軍部は協議した末、中国本土の戦略爆撃をほぼ米陸軍航空隊が行うことになったのだ。

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