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いつか彼方の親愛なる君に願いを  作者: 佐伯梨奈
序章
3/5

突然の手紙とやるべき使命(過去or現代)

現代視点のメインはヒロイン

過去視点は主人公で交差していく。




あれから家まで帰ってきた。今の時系列だと一人暮らしを始めてない頃。その為か久し振りの実家に立ち寄った気分でもあった。

この時の小鳥遊家は極一般家庭であった。オレが高校卒業を気に父が立ち上げた会社の市場が上がり元の時間帯では有名な財閥へと進化を遂げた。


「ただいま。」


扉を開け一言だけ言う。


うん?


玄関には誰かの靴が脱ぎ揃えられていた。見た感じ女性ものか。

オレも靴を脱いでリビングに向かうことにした。


(それにしても懐かしいな。)


家の素材や床、天井それら全てが懐かしいと言えた。家は比較的綺麗でそこら辺のとは大分違う。


「やっぱりな。姉さん、先に帰ってたのか。」


姉さんと呼ばれた人物はリビングのソファーで寝転がって漫画を読んでいた。しかも大胆な格好で。


「ん?そーくんおかえりなさい~。結構遅かったね。」


「ああ。少し寄り道を...」


この女性が言うそーくんとは勿論オレの事だ。昔からそう呼ばれている。

後、寄り道と言ったが実は久し振り過ぎて道に迷ってた。

ここまで来るだけでざっと一時間半も掛かった。


「そう言えば姉さん、明日って確か七夕まつ───」


「めっ!またそうやって姉さんと言って。他人行儀でしょ?やり直し。」


途中で言葉を遮られしかもオレの口元に人差し指を出してくる仕草が可愛らしかった。


仕方無いな~。


「天姉さん。」


「それも違うでしょ。」


「そらねぇ...」


「うん!宜しい♪」


相変わらずそらねぇはそらねぇだな。

実は最初からそらねぇと呼ばなかったのはこの可愛いやり取りを聞きたかったからである。その悪ふざけはそらねぇに気付かれていない。


「で、そーくん。さっき何言おうとしてたの?」


「ああ。七夕祭りって明日だったよなって話。」


本来しようとしてた話を姉に途中で遮られていたのでようやく話す。


オレがそう言うとそらねぇはニヤリと微笑ましくなった。


「そーくんが七夕祭りの話とはねぇ。どういう風の回し?」


「ん?あっああ.....」


そう言えばあの時はそのような話していなかったな。それと七夕祭りすら行ってはいない。正確には姉を迎いに言った時ぐらい。


「なあそらねぇ?今年も七夕祭りに行くつもりだよな?」


「うん!そうだよ。」


「それで頼みがあるんだがオレも行って良いか?」


些か姉に頼み込み擦るのは久し振りの気分だった。

小意地悪な姉はニヤニヤと笑って。


「そーくんがねぇ~。私とそんなに行きたかったのね。」


「いや、別にそういう訳では───」


「もう~そーくんたら。良いよ♪私もそーくんとデートしたいから......」


(ふ~ん。そらねぇはオレとデートが行きたいのか。)


姉は途中から恥ずかしそうに喋っていたため聞き取りづらかった。ここでアニメや漫画の主人公は「へ?今何て言った?」と言葉を返してしまう。

所謂難聴主人公だ。

しかし、オレは違う。悪いな、主人公補正ではなくて。


「そらねぇ、話を変えるがおや......父さんは?」


この時間帯の親父は何をしていたか?それ事態忘れてしまったので姉に聞いた。


「お父さん?ああ~部屋で漫画描いてるよ。仕事熱心で体調崩さないか心配だけどね。」


漫画?親父が漫画を描いてる?


「どうしたの?」


「ああ。別に何でもない。少し部屋に戻る.....」


頭の整理が出来ていないのか呆然としながら自部屋に向かった。姉は心配そうにオレを見ていたがそれすら気にしては居られなかった。


親父が漫画を描いているなんて可笑しい。確かオレの知る過去では......


「おう!蒼人帰ってたのか。」


「........」


部屋から出てきた父がオレを見てそう言った。しかし、オレは考え事をしていたのか無口で通りすぎていた。


「蒼人......?」


父はオレの後ろ姿を眺めながら悲しそうに名前を呟いた。



部屋に入ってから制服のネクタイをほどき投げ棄てる。ベッドに寝転がり目を伏せる。


(何だろう....こうもオレだけが取り残された空間は。)


平和な世界───その中に突如放り込まれたオレ(未来)

自分だけが何なのかわからない。

この世界はオレの知っている過去ではない?少々自分の過去と辻褄が合わずパニクってた。


元より気になっていたのは───


(誰がオレを......)


『貴方なら出来ます!』


「ん?今、さっき何かが。」


目を開けて辺りを見渡す。誰も居なかった。ただその風景は実家の懐かしい風景だけ。

立ち上がると同時に紙の音がした。ズボンのポケットからそれは聴こえた。


何か入ってるのか?

ポケットの中に手を入れてあさる。取り出すとそれは......


「手紙......?」


入ってたのは一つの可愛らしいピンク色の丁寧に包まれた手紙であった。


「小鳥遊蒼人さんへ.....」


俺宛の手紙のようだ。いつの間にかこんな物が......

一応何なのか確認すべく中を開ける。


『小鳥遊蒼人さんへ───この手紙を開封して読んでいることは今、貴方が過去に居る事になっています。突然の事で驚いているかも知れません!ですがご安心ください。今から話せることは少ししかありませんのでお伝えします。

貴方も知ってるとおり過去を本来あるべき姿に変えてください。タイムリミットは一年半年になっています。貴方の才能を使って未来を──健闘を祈っています───雫より』


「そう言うことか.....」


オレが過去に飛ばされた理由、最初から奴はこれを想定していたという事になる。しかし、どうやって過去に飛ばした?

それにしてもオレにとっては都合が良い。何せ過去に戻ることが出来たんだからな。

叶うはずの無い未練をもう一度。



ーーーー(現代)


「いらっしゃいませ♪」


今日も元気の良い生き生きとした笑顔でお客様の接客をしていた。私はここのFB(別名フローラル・ブラッド)の店主を務めている。と言ってもつい三年前は違ったのだけどね。

ここに来るお客様は皆好い人で情報も手に入るし裏事情なども知ることができる。

私もあの人と同じ裏社会で生きる人間。あの人よりは劣ってしまうけど私なりにサポートは出来ている自信はあるの!


「嬢ちゃん!カクテルもう一杯頼むよ。」


「カクテルですね。少々お待ちくださいね♪」


手慣れた手付きでカクテルを作っていく。グラスに氷を入れてテキーラを入れていく。その次にオレンジジュースを入れ攪拌する。

その次はグレナディンシロップをグラスに注ぎ掬い上げてといでいく。


「お待たせ致しました。テキーラサンライズでごさいます♪」


「おう!ありがとう。嬢ちゃん若いのに手付き良いねぇ~。」


初めて来たお客さんの叔父さんに褒められる。この光景は良くあることで珍しくない。見た目が若々しい私は良く若いねと言われる。


「そうだろう、そうだろう!俺たち常連組の自慢だぜ~!」


「何でお前がそんなに勝ち誇った顔をしてるんだよ。」


良く来る常連たちの会話。この人たちはお父さんの知り合いの方で私にも良くしてくれる好い人。

私は少し笑いながら。


「高浜さんも葉山さんもいつもありがとうございます。それよりお客様。お味の方はどうでしょうか?」


「美味しいよ。こんなに美味しいカクテルは久しぶりだ。手付きも良いし可愛いし男とか直ぐに出来るんじゃないかぁ?」


「可愛いって言われても私、モテたことも彼氏が出来たこともないですよ。」


またこの質問か.....正直これらの類いの話は嫌いだ。昔の事を思い出して不機嫌さと後悔と悲しみが溢れてしまう。


「沙良ちゃん!私、少し休憩するから後は頼むね。」


沙良ちゃんとはこのバーで働くバイトである。ここに来てからもう早く一年も経て立派な一人前と成長した。


「はーい!わかりました。」


奥で待機していた彼女は私と入れ替わるように交代した。

その後、私はこのバーの屋上へと向かった。


「月が綺麗だね~。」


一人言を呟く。黄昏て居ると言えば良いのかな。爽やかな風に当たりながら月の明かりを見ていた。

服装は少々着崩しサイドに結ばれた髪はほどいていた。


今日は来てくれなかったなぁ~。毎日通うって言った癖にバカっ......


「はぁ~~。」


元気がなく溜め息を吐いた。今日、私はあの人のお父さんの所にお見舞いに言った。その時に言われた言葉が───


『──もうアイツにこれ以上苦しい思いをさせたくない。......君とアイツの仲を割いたのは俺の責任だ。君は悪くない!!』


私があの人の話を聞いていた時、思わずあの事について口を滑ってしまった。実は謝りたかった一身があったのかどうかわからないけど私は多分.....そうなんだと思う。


私はズルい.....一人だけ逃げようとしている。あの事は全てが私の責任なのに。


私はある一人の男を、昔好きだった人の人生を───






読んでくれてありがとうございます。そろそろ『最強姫様の無双冒険譚』の方を復活させたいんですけど中々難しいです。

もう少し待っててください♪

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