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バレンタインぶち壊し隊  作者: 竹内緋色
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2月1日 2月2日

 バレンタインぶち壊し隊


2月1日 木


「とうとうこの日がやってきたぜ。」

 ミワコは急に変なテンションになった男子に呆れる。

「フルイ。何言ってるの?」

 ミワコはフルイのことをよく知っていた。この時期になると、一言も話さないフルイが急におかしくなるのだ。

「バレンタインをぶち壊してやる!」

 毎年のことなので、ミワコは特に気にしていなかった。


2月2日 金


「やあ、同志たち。よく集まってくれた!」

 フルイは小さな空き教室のホワイトボードの前に立ち、集まった男女に声をかける。

「まずは自己紹介とどうして協力するつもりになったのか聞こう。」

 フルイ以外の男女は、男二人、女四人であった。

「俺はフルイ。バレンタインにチョコを貰えない、可哀想な男子だ。だから、バレンタインデーなどぶち壊したい。」

「僕はシャイン。理由は、そうだね。チョコレートを貰い過ぎて困るんだ。たった一日であれだけ貰って、どうしろっていうのか。」

 イケメン代表のシャインは鼻にかかったような声で言ってのける。

 フルイは腹が立ったが仕方がない。我慢することにする。

「僕はタミ・・・バレンタインが嫌いだ。なんだかギクシャクするし、お返しに法外なものを吹っ掛けられたりする。死ねばいい、死ねばいい、死ねばいい。」

 貰えるだけいいじゃないか、と童顔のタミにフルイは嫉妬する。

「でも、あげるほうもめんどくさいんですよ?」

 明るく染めた長い髪の女が言う。

「私はエンド。この集まりに参加したのは、毎年義理でチョコをあげるのが大変で。今は女の子に女の子が送ったりするんです。もう、嫌になって。」

 俺は義理でももらえないんだけど。フルイは泣き出しそうだった。

「その被害を受けるのが私だ。」

 短髪でどこか不良臭の漂う女子が言う。

「私はハイド。女子から大量にチョコを貰って困っている。甘いものは好きだが、正直、女の子からもらうとどうすればいいのかわからん。」

「君は?」

 フルイは内気そうな女子に話を振る。

「私は・・・マイ。実は、その、ずっと好きな人がいて。でも、片思いで。毎年バレンタインに告白しなよって友達に言われるんですけど、私は片思いでもよくって。」

「なるほど。以上だな。」

「待ちなさいよ。」

 ミワコが立ち上がる。

「私がいるでしょう?」

「なんでお前がいるんだ。」

 フルイはめんどくさそうに答える。

「暴走する幼なじみを止めるためよ。」

「よし、帰れ。」

「なによ。いっつもは静かなくせに。」

 フルイはミワコを無視する。

「さて、バレンタインという悪魔の日まであと十四日。なにかバレンタインを破壊する作戦はあるか?」

「はいはいはい!」

 元気にエンドが手を挙げる。

「はい、エンド。」

「ここはありきたりに、街中のチョコレートを回収するとかどうでしょう!」

 フルイはホワイトボードに意見を書き込む。

「それは難しいんじゃないかい?」

 シャインが意見する。

「そんなお金、どこにもないだろう?」

「確かにな。だが、考え方は間違ってないように思う。」

 ハイドが意見する。

「でも、チョコレートが無くなったとしても、バレンタインはチョコだけを送るってものじゃないでしょう?飴とか、花とか送ったりする人もいるし。」

 ミワコは思わず意見してしまい、何をやってるんだ、と自分を叱る。

「破壊だ!全て壊すんだ!」

 タミが狂気に満ちた顔で叫ぶ。

「なるほど、破壊、と。」

「いや、それ書き込んじゃダメでしょ。」

 ミワコの意見など、フルイは聞かない。

「他には、何か?」

 意見は出なかった。

「明日、明後日と学校は休みだ。それまでに何らかの計画を考えてくるように。では、解散。」

 第一回バレンタイン破壊工作会議は終了した。


「あんた、本気でバレンタインを壊そうなんて考えてるの?」

 帰り道、ミワコはフルイに言った。

「当たり前だ。俺の肩には今、全世界のチョコをお母さんからしかもらえない男たちの悲願がかかっている。」

「大袈裟な。」

 ミワコは呆れかえっってしまった。


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