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絶晩成型  作者: 咫城麻呂
第二章 中立都市ツァオベラー
9/68

2-2 仲間

 やっほー。千曳ちびきだよ。

 パーティー設定をしていると、自分が何もしなくても経験値が入るシステムって謎だよね。

 なにも経験してないのに。


 ――――――――――――――――――――――――――

 情報交換の戦利品。

 その1。ステータスが日本の物とは違う。

 これは、ナミのステータスだ。


 ――――――――――――――――

 名前 :イザンフェール・ナミ

 職業 :折紙職人

 レベル :13

 経験値 :20537

 スタミナ:150

 筋力 :30

 耐性 :50

 魔力 :200

 走力 :20

 魔法 :折紙魔法

 ――――――――――――――――


 だいぶ違う。主に経験値がってそうじゃなくて、この世界にはSPやMPは存在しないらしい。そういえば、最近読んだラノベのステータスもこんな感じだった気がする

 そのままだとすると、スタミナがHP、筋力が攻撃力、耐性が防御力と精神力、魔力は魔力とMP、走力は素早さ、になるはずだ。

 やっぱり、HPはスタミナとかそこらへんだったか。道理で0になっても生きてるわけだよ。

 分かり辛いから、メニューの表記を変更しておこう。


 その2。魔法とスキルについて。

 魔法は本で覚えられるらしい。ただし、適正がないと覚えてもほとんど使えないんだとか。また、いわゆる特異魔法みたいなものも、この世界にはざらにあることらしい。ナミの折紙魔法もそんなところだ。

 でもスキルは別で、持っていることはまれだという。だから、マジックハンドだということは公言しないで、サブアームだと言い張った方がいいと言われた。

 サブアームはマジックハンドに似ていて白く、大きさは自分の手より少し大きいぐらいの手を出す魔法だそうだ。名前の通り、補助が目的らしい。

 これはまだ魔法が自由に扱えなかったころの魔法で、全盛期は魔法を扱える人のほとんどが使っていたらしい。だから、今でこそ使う人はほとんどいなくなったが、みんな知ってる魔法らしい。

 なぜ使わないかと言うと、燃費が悪いからだそうだ。それに、今は魔法も発達してもっと便利なものもたくさんあるんだとか。


 その3。異世界人について。

 この世界では、異世界人や転生者もたくさんいるらしい。道理で異世界人なんて言葉が出てきたり、簡単に信じたわけだ。

 ただ、やはりと言うべきか圧倒的に少ないから、これも隠した方がいいとのこと。

 面倒は避けたいからね。こっちも忠告に乗ることにする。


 大体こんな感じ。もっと知りたかったけど、夜になっちゃったから今日はここまで。

 みんなで野宿の準備……のつもりだったんだけど、やっぱり冒険者は違うね。あっという間に準備を済ませてしまった。

 夕飯はメンバーも多いことだし、久し振りに肉を食べることにした。料理はもちろん僕が担当。これくらいは手伝わせてほしい。久しぶりの野外での料理だったけど特に問題は無く、みんなに好評だった。

 夕飯の後、あベんしゃーは少し離れたところで話し合いを始めた。僕はその間に荷物整理。それも早々に終わったから星を見ながら今後どうするか考えていた。

 こっちが何者か話しちゃった以上、彼女らを野放しにはできない。それに、なにも知識がないよりは彼女たちに案内してもらった方が観光もしやすいだろう。何とかして仲間になっとこうか。

 そんなことを考えていると……


「師匠」

「はい?」


 しまった。就任してしまった。誰しも一度はやったことあるよね。返事したら自覚してる証拠だって。え?やったことない?馬鹿言え。小学生くらいなら誰だってやる。僕だってやる。いったい何度、夜魅よみをいじったことか。


「良し、成功じゃな」

「お兄さんがお師匠様なのです」

「ししょう、よろしく~?」

「そういうことっすね。よろしくっす」


 作戦が成功して喜ぶあべんしゃーの面々。

 おい、ちょっと待て。


「一人聞いたことのない話し方のやつがいるんだが。いや分かるけど、分かるけどさ。……お前、普通にしゃべれたのか?」


 僕はセルに問いかける。


「いちおう~?」

「むしろ四字熟語の方が少ないっすけどね。意味的に」

「まあ普通だと話し方だと幼いんじゃが……」

「もんだいなし~?」


 確かに四字熟語だけだと私生活が大変そうだしな。


「でも、なんで師匠なんだ?僕はこの世界のこと何も知らないし、魔法も使えないし、戦闘もできないぞ」


 一応確認を取っておく。まあ、ゲームと同じならある程度の知識はあるんだけど。


「うむ、問題ない。承知しておる。別に作戦に使えれば何でもよかったしの」

「一度師匠って言ってみたかったんすよね」

「珍しかったものでして、つい」

「たのしそ~?」


 ただ珍しいからって理由で知らない人について行ってもいいのか。まあこいつらはそこそこ強いから何かあっても大丈夫か。


「じゃあ、これからよろしくな」


 こうして、形だけあべんしゃーに入ることになった。仲間ってのはいいよ。自分が闘わなくて済むからね。あ、マジックハンドさん、狩り残してる。もっと働いて。

 にしても、森から大分離れたら魔物もだいぶ落ち着いたな。あ!そうだ。


「なあ。魔物が好む匂いとかってあるのか?」

「ん~。聞いたことないのう」

「知らないっすね」

「聞いたことないのです」

「なにもない~?」


 セルだけ考えてることが違う気がする。

 なぜそんなことを聞いたのか聞かれたから、召喚された時のことを話してやった。


「なかなかハードな人生じゃな」

「お兄さんは仲間を探すのですか?」

「いや、さがさないよ。どうせあいつらもこの世界を観光するんだし、そのうち会えるって」

「信じてるのですね」

「まあそんなとこかな」

「なに、かんがえてる~?」

「いや、魔物の湧きスピードが増えるものがあったような気がしてっすね。なんだっけな」

「出ないならしょうがないな。今日はもう寝よう」

「そうじゃな。監視は……」

「マジックハンドがあるし大丈夫だよ」

「そういったものはなれると後が怖いのじゃ、だからいつも道理にするのじゃ」

「「「あいあいさー」」」


 なかなかにしっかりした娘だ。まあ、熟練度のために透明にして出しておくんだけど。


 翌日。

 毎度のように日の出とともに目覚めて、軽く体を動かしたり、周辺の確認をしたり、色々していたらあベんしゃーも起きてきたので、朝ごはんを食べて、荷物の確認をして出発。

 目的地のツァオベラーにはここから徒歩で一日ぐらいだそうだ。話し相手がいると暇しなくていいね。


 昼過ぎになると、遠くに、壁が見えてきた。こっちの世界にコンクリートがあると思えないから多分石か煉瓦だろう。

 歩いてる間にも、魔物と戦ったりしながら話をしてたから、あれがツァオベラーだということは分かった。


 そして夕方。

 ついに、ツァオベラーに着いた。ゲームでよくある、飾りの一切ないありきたりな壁だ。高さは二十メートル位。巨人が来たらどうしよう。


「あっちじゃ。わらわ達はここで待っておるからの」


 ナミに言われて、近くの小屋に向かう。見た目は、テーマパークのチケット売り場だ。


「すいませ~ん。入都希望です」


 そう言うと、中からはお姉さんじゃなくて見るからに冒険者風のおっちゃんが出てきた。


「おう、ちょっと待ってな。えっと確かこの辺に……おう、あったあった」


 受付のおっちゃんが取り出したのはチェックシートだ。


「最近入都希望者が少なくてな。で、なにしにこの都市へ?」

「観光で」

「観光っと。基本魔法以外に使える魔法は?」

「サブアームを」


 そう言って、マジックハンドを見せる。


「今時珍しいな、まあいいか。冒険者カードは?」

「なくしちゃったみたいで……」

「そうか。金かかるからあんまりなくすんじゃねーぞ。ちょっと待ってな」


 そう言うと、受付のおっちゃんは奥に引っ込んでしまった。

 しばらくして戻ってくると、小さな木片を持っていた。


「これは応急処置だからな。ギルドで新しいの作ってもらったら、また来いよ」

「ありがとうございます」

「あ、そうそう。あいつらと一緒にいても苦労するだけだぜ」

「はい?」

「じゃあな」


 それだけ言うと、おっちゃんは奥に戻ってしまった。

 なんだったんだろう?あいつらって、ナミ達のことかな?

 まあいいや。向こうも待ってるし、早く戻ろう。


「問題なかったすか?」

「うん。助かったよ」


 実はここに来るまでの間に、何を聞かれるか、ある程度聞いておいたのだ。

 おかげで、多分ぼろを出してない。


「良し。じゃあ行くのじゃ」


 僕たちは、門をくぐった……。

良ければ、誤字脱字の指摘お願いします。

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