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絶晩成型  作者: 咫城麻呂
第四章 和ノ都市プリュス
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4-23 乗っ取りの真相

 やっほー。千曳だよ。

 日常のあれこれからヒントは得られるものだね。

 天才ってのは常に受け取ってるんでしょ? 頭の構造どうなってんだか。


 ――――――――――――――――――


「なんのつもりだ」

「いや、そのままの意味で」


 僕はセルを抱っこしたまま、ムクロさんと向き合う。


「世間話でもどうかと」

「オレが言うのもなんだが、逃げなくていいのか」

「うん。問題ない」


 これは、ある程度初期の頃から持っていたとある確信だ。


「だって、殺す気ないでしょ?」

「……」


 無言は肯定でいいのかな?


 ま、いいや。どっちにしろ、考えを話すだけだ。


「そもそも、魔族の乗っ取りなんて起こってない、ってのが僕の考えなんだけど、間違ってたら指摘してくれない?」

「……根拠を聞こう」


 なるほど、否定はしないのね。


「まず最初に疑問に思ったのは、ナミたちがほかの街で活動してるのを見張ってるってところだ」


 普通こういうのって、逃げた人物を見つけたら殺すのがセオリーなんじゃないかと。


「でも、まあこの世界だと違うのかなって、適当に流してたんだ。めんどくさかったし」


 そもそも、それを知った時にはナミ達は出発していたってのもあるけどね。


「で、修行になって、セルから昔のことを聞いてさ、都市から出ることを禁じられたってのを聞いたんだ。それも疑問だった」


 忍者の仕事は諜報、暗殺。時には外に出ることもあるだろう。それなのに、外に出ることを禁じた。何故か。


「ま、これも小骨が引っかかる程度の疑問だったんだけどね。そもそも、僕は日本の忍者しか知らない。こっちだと違う可能性もあるからね」


 反応はなし。攻撃してくるでもないし、否定することもない。取り敢えず最後まで聞いてやるってスタンツかな?


 これ、そこそこ長いよ? ワンクールくらいいっちゃいますよ?


 ま、いっか。


「その先、対して疑問はなかったんだ。だって関わらなかったからね。久しぶりに骨が喉に刺さったのは、盗賊団に会った時さ」


 ま、実際に疑問を感じたのはそのあとだけど。


「成年手前の少女に見張りをつけてたくせに、二年間も盗賊を放置するなんて普通考えられない。しかも、向こうは何回もこの都市に侵入して結界について調べ上げていた。なのに、無視した。明らかに不利になる情報なのにもかかわらず、ね」


 ナミの見張りで刺さった小骨が、ここに来て更に食い込んだ。ここまでわかりやすいと、逆に引っ掛けられてるんじゃないかとも思ったんだけど、そうする必要もないかなって思った。


「それに、あんたらはセルの監視をしてた。殺すタイミングなんて山ほどあったはずだ。なのに動かなかった。だから、殺すってのが嘘なのか、それとも、作戦を開始させたいかのどっちかなんじゃないかって思ったんだ」


 確証があった訳じゃないんだけどね。


「前者は普通として、後者だったらその理由はなんだろう。そう考えたとき、盗賊の本を見つけてさ。なんでもこの都市の城には、伝説の武器が隠されてるんだと。それ読んだときにさ、突然骨が取れたんだ」


 今まで散らばっていたパズルのピースが、大雑把だけどつながった瞬間だった。


「端的に言うと、あんたらの欲しいものはこの都市にある伝説の武器だろ? そのために魔族を使って乗っ取りを偽装し、ナミを放置した。彼女には魔法の才能があるからね」


 そもそも、今のところ都市に変化は無いようだ。セルもナミもそう言っていたし、まず間違いはないと思う。


 乗っ取ったのに何もしないなんて、普通ありえないでしょ。


「彼女はいい感じに役目を果たし、全力で打てば結界を破壊できるほどに強くなった。また、そうなるように結界を調節するために、あの二人は協力者のフリしてナミをツァオベラーにとどまらせた」


 教える立場になれば、怪しまれることなく魔法の強さを見ることができる。後はそれよりも少し強い強度にするだけでおーけー。


「ここまでがナミの話。次はセル。ま、こっちはもっと簡単。この子に全力を出させるためにセッティングしたんだ。だからこの場所を決戦の地にしたし、都市から出てはいけないと言う命令を出した」


 すぐに逃げることはできるし、追手が来ることもない。まあ、殺す気は最初からなかったみたいだけど。


「流石のあんたでも、自分の娘を殺すことはできないみたいだね」


 そう言って、説明を締めくくる。次は質疑応答だ。


「では、今まで聞いてきた中での疑問点を聞いていくとするか」

「何なりと」

「ではまず、なぜあの二人が内通者だと考えた」


 いきなりそこですか。これ、そこまで自信ないんだけどなぁ。


「ああそれね。まずさ、何も知らない僕に魔族が悪だとそれとなく匂わせたのは師匠なんだ。それに、カルネさんはセルが都市を出ていくことに真っ先に反対した。更に二人共、セルのことに詳しかった。この時点でだいぶ怪しい」


 ここまでは最初に思ったこと。そしてここからは、この都市に来てから思ったこと。


「とある新聞記者から教えてもらったんだけどさ、どうやら僕が気絶させた魔族がこの都市に来てるらしいんだ。多分城でふんぞり返ってるんじゃないかな? でさ、ソイツ、ツァオベラーの牢のぶち込まれたはずなんだよね。それなのに脱獄した。あの二人がいるにもかかわらず」


 カルネさんはいまいちわからないけど、師匠の強さは身にしみている。何回か戦っているところを見たし、実際に殴られた。早すぎるんだよ、あいつ。


「だから、あの二人がわざと見逃したんじゃないかなって思ったんだ。で、さっきの話と合わせて、内通してるんじゃないかと考えたわけ」


 どう? と尋ねたところ、なんの返事も、得られませんでした! まるで一人語りしてるみたいで恥ずかしい。


「次だ。そもそも、なぜオレがセルを殺せないと」

「勘、ってのは半分冗談なんだけど、まあ、三歳で拾って育てたのにここで殺すのはもったいないな、とか、鬼の目にも涙って諺があったりとか、セルがやたら四字熟語を知ってたりとか、そこらへんから適当に推理した」

「その程度か」

「十分でしょ」


 しばらくしたあと、突然、ムクロさんは話始めた。


「だいぶ適当だが、一応正解だ。おめでとう、とだけ言っておこう」


 さっきまでと同じ感情を感じさせない声だったが、ほんの少しだけ雰囲気が明るい気がした。


 ヤッター! ここまで来て間違ってたとか埋まりたいレベルで恥ずかしいしね!


「随分あっさり認めるのね」

「隠すことでもないからな」

「あんたは、やっぱり魔王の仲間なのか?」


 取り敢えず、直球で聞いてみることにした。隠すことないって言ってたし。


「少し違うな。オレが手を貸しているのは、魔王は魔王でも偽物の魔王だ」

「偽物?」

「オレが話せるのはここまでだ。チーガルも行っていただろう。世界を知るまで明かせない、と」


 うん。なんか似たようなこと言ってた。なんだよ世界って。覚悟なんてないよ。


「大体は坊主が言っていた通りだが、いくつか訂正しておこう。まず、乗っ取りがないわけではない」

「どゆこと?」

「貴様も言っていただろう。今頃城でふんぞり返っている魔族の事だ」


 なんでも、魔族も玉石混交で、魔王に付き従っている人もいれば、全く無視して勝手な行動をする輩もいるらしい。でも、そんな奴らは作戦の邪魔になる。だから、これを機に無能を排除してしまおう、というわけだ。


「やつを殺すことで乗っ取りに信憑性を持たせることができる上、邪魔者を消すこともできる。一石二鳥だ」


 また、伝説の武器なるものを欲しているのはムクロさん達ではなく本家魔王の様だ。


「それに、元々はセルを殺すつもりだった。変化が見られなかったらな」


 だが、セルは強くなった上に、新たな忍術を作り出すことにも成功した。文句はないだろう。


 話が終わったかに思われた瞬間、突然視界が明るくなった。どうやら後ろで明るい何かが出現したらしい。


 さて、作戦も大詰めみたいだし、そろそろ合流しますか。角付きの最後も見届けときたいしね。


「じゃ、僕はこの辺で。また今度、ゆっくりしに来ますね」

「待て」


 歩きだそうとしたら、呼び止められた。


「一つだけ忠告しておこう。セルの前で死ぬことだけは、死んでも避けろ」


 いつにも増して、声に力が入ってる気がした。


「貴様は親しくなりすぎた。今のセルが暴走すれば、オレでは止められない」


 まさか、あんな余裕そうにしていたあんたが、負ける? 冗談だろ。


 そう思っていたが、彼女は本気だった。


「分かった。肝に銘じておく」

「では行け。都市が戻るぞ」


 いまいち疑問は多いが、その言葉を受けて屋敷から飛び出した。

誤字脱字の指摘、感想等お願いします。

急いで書いたので、だいぶわかりづらいかと思います。

きっとそのうち書き直します。

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