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絶晩成型  作者: 咫城麻呂
第四章 和ノ都市プリュス
52/68

4-7 降光神社

 やっほー。千曳だよ。

 神社とか寺とかって、何故か行きたくなる不思議な魅力があるよね。

 やっぱ神様っているのかな?

 ――――――――――――――――――――――――――


 次の日。


 釈放と同時に宿に殴り込もうと思っていたのに、城の前で待っててくれていた。


「あ、待っててくれたんだ」

「一応反省しているみたいよ」

「ごめん」


 珍しく謝ってもらえた。ここまでされて怒ったら、こっちが悪者だ。くっそ、考えたな。


「まあ、食料貰えたし、別にいいよ」


 刑務所暮らしってことは餓死の危険性がないってことなんだよね。その代わりに労働がきついけど。


 おむすび、おいしゅうございました。メイドかな? メイドがいるのかな?


「で、今日はどこ行くんだっけか?」

「降光神社よ」


 神社、いいですね。


 この降光神社。どうやら初代勇者が光の女神を祀るために建てたらしい。


 敷地は2-2と2-3。お城の半分もあるかなり大きな建造物だ。


 ご丁寧に北門から出してくれたので、そのまま東へ。


 相変わらずの賑わいようだ。大通りはどこもこんなもんなのかね。


「いや、端の四本はそこまで人はいないわよ」

「城から遠ざかるほど人気がなくなるみたいだな」


 どうやら僕が捕まっている間に調べていたようだ。独房での時間はガチでつまらなかった。途中からマジックハンド出してジャンケンやら指戦争やらやって暇つぶすレベルだ。


 こういう細々したものにも使えるなんて、さすがスキルなだけあるね。


「もっと褒めてくれてもいいんですよ?」

「……何も言い返せない」


 何か言ってやりたかったが、実際助かっているのだ。下手なことは言えない。


 皆が露天で買い物をしているのを眺めつつ、少し分けてもらいつつ、正午を少し過ぎたあたりで目的地周辺についた。場所的には2-3-8あたり。


 そして、そんな僕らを巨大な鳥居が出迎えてくれた。


 でかい。ただその一言だ。


 大きさ的には8メートルくらい? もう少し小さいかな。


「鳥居の前で一礼してから入るのがマナーよ」


 実際、ほかの観光客も潜る前に一礼している。そして皆右側通行だ。


 まあ、真ん中は神様の通り道だしね。


 この神社、かなり森に飲まれている。


 と言うか、この周辺だけ森になっている。


 地面は玉砂利だ。


 しばらく行くと、右手に手水舎が見えてきた。


 手水のやり方はマスターしているから問題ない。


「アウエラ、間違ってる。こう……」


 なにげに、神社初挑戦はアウエラだけだったりする。


 僕と公仁は日本人だし、ディーネは来たことあるみたいだし、セルは住人だし。


 このパーティー、和要素多いな。


 無事に清め終わり、奥に進んでいく。


 人はいるが、露天なんかは出ていない。まあ、流石に神社だしね。


 あ、お金の話で思い出した。


「この世界って、お賽銭どうするの?」

「ないわよ」


 そもそも硬貨がないのだから、当たり前と言えば当たり前か。


「まあ、それだけではないのだけど」

「なにか理由が?」

「この神社、誰も働いてないのよ」


 へ? 今なんて?


「つまり、巫女は居ないの」

「「そ、そんな……」」


 神社行ったら巫女が見たいじゃないじゃないか。だって巫女だよ? 滅多にお目にかかれないSレアキャラクターだよ? 課金しても悔いはない。


「アヤムで我慢しなさい」

「「うん、そうする」」


 あのパーフェクトなロリにはそれだけの価値がある。リセマラしてやる。


「話が進まないよ~」

「ん。千曳、黙る」


 怒られてしまった。なぜ公仁には注意しない。イケメンだからか? これがイケメン特権ってやつなのか?


「誰も働いてないってどういうこと?」

「そのまま、ここでは生物は働いてはいけない決まりなのよ」

「じゃあ誰が管理してるんだ?」

「魔法生物」


 セル先生。魔法生物とは一体。


「魔法生物も知らないのかしら?」

「ええ~!? あれ初歩の初歩だよ!?」

「ん。流石。期待、裏切らない」

「ハッハッハ。こりゃ傑作だな」


 なんだいなんだいみんなして。教えてもらってないんだから知るはずがないとあれほど。


「魔法生物は……ま、スライムだ」

「そうだね。わかりやすい」

「簡単に言うと脳のない魔物ってところかしら」

「人工、生物」


 つまりスライムみたいに脳がなかったり、人が作り出したものを魔法生物というのか?


 じゃあ、キメラは?


「あれは普通の生物よ。突然変異みたいなものかしら」


 なるほど。人工的に作ってるけど、キメラは生物ベースで魔法生物は魔素ベースと。


「相変わらず理解度高いわね……」

「何考えてるかは知らないが、コイツ頭の回転はそこそこだ。特にこういうことに対する予想外の行動は多い。今のうちに慣れておいたほうがいいぞ」


 そんなに早いですかね? あんまり自覚ない。


「流石に今のはボクにも分からなかったよ……」

「千曳。読めない、喋る」

「黙れと言ったのはどこのどいつだ!」


 なんだコイツ。理不尽にも程があるだろ。


 黙れと言われたから体質を逆手にとって顔で話してみたんだが、案外評判が悪い。


 これが俗に言う『顔が五月蝿い』なのかもしれない。


「で、その魔法生物が働いてるから巫女が働く必要がなくて、だからお賽銭がいらないと?」

「まあ、そんなところね」

「維持費とかは?」

「勇者が作ったのよ?」

「ああ、うん」


 千年保つとか、どんだけだよ勇者。


 ってことは、ここにあるもの全部魔素性なのかな。


「着いたわよ」


 おっと。考え事しているうちに目的地か。


 門を抜けると、四足の建造物が出迎えてくれた。


 簡単に言うと、野外相撲の屋根みたいな感じ。なんて呼ぶのか知らないけど。


 で、その奥には入口以外を塀で囲まれた、立派な建物が一つ。


「手前が拝殿で、奥が本殿よ」


 ええ!? この相撲会場が拝殿だって?


 まあ確かに、こういった形の拝殿もあるにはあるけどさ、かなり珍しいよね。


 何で初代勇者はそんなマニアックなところをついてきたんだろう?


「なんだっけな。京都のなんとか神宮にあった気がする」

「そう言われるとなんとなく」


 修学旅行で行ったような行かなかったような、見たような見ていないような。


 まあいいや。拝殿だって場所によりけりだろうし、中には拝殿がない神社だってあるらしいしね。


「ここは神に感謝を伝える場所よ。願掛けは控えることね」


 ディーネの注意を聞きながら、順番待ち。


 その間に、アウエラに拝礼の仕方をレクチャーしておく。


「いい? 二例二拍手一礼、だからね」

「二例二拍手一礼、ね。おっけー、覚えた」


 流石アウエラ、飲み込みが早い。


「ねえダーリン。感謝はいつ伝えればいいの?」

「うーん。最後の一礼の時でいいと思うよ」


 実際に願掛けはそのときなわけだし。


 とはいえ、光の女神さまについて詳しく知らないから、いったい何を言えばいいのか。一応教会都市には行ってるけど、特に関わったりしなかったもんなぁ。


「あら? もうすでに関わってるわよ?」


 いい加減唐突に心を読むのやめてほしい。心臓に悪いよ……。


「どういうこと?」

「こっちにいる以上、必ず恩恵は受けているってことよ」


 その後、スキルのことを思い出して事なきを得た。


 ★★★


 全員の拝礼が終わり、さて帰ろうというところで、アウエラが質問してきた。


「わざわざ言ったってことは、願掛けする場所もあるってこと?」


 何も知らない人は、それゆえに思いもよらない質問をしてくる。


 正しくそんな状態だった。


「よくわかったわね」

「ん。さすが」


 して、その場所とは?


「あっち」


 セルが差す方向――本殿を正面にして左側――を見ると、奥の方に小さな建物があることが分かった。あまり知られていないのか、人は居ない。


「ここは荒祭宮あらまつりのみやと言って、荒御魂、すなわち神が現れた状態を祀る場所よ。従って、住めるような作りになっているわ」


 半分森に埋もれたその一軒家は、確かに人が住めそうだった。


 ちょっとした小屋程度の大きさでしかないが、パッと見でわかるほど綺麗な装飾が施されている。


 で、僕らは玄関に願掛けするわけだ。


「なんか複雑」

「考えたら負けよ」


 一体何に負けるというのか。神かな? ……勝てるわけがない。


 とりあえず、これからも楽しく観光できますようにと祈っておいた。旅行は楽しむのが一番だよ。


「さて、帰りましょうか。近くに美味しいお店知ってるのよ」

「ああ、あそこ」

「知ってるの?」

「ん。師匠、行きつけ。美味しい」


 また気絶させられなきゃいいけど。

誤字脱字の指摘、感想等お願いします。


神社の描写は書き直すかも。

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