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絶晩成型  作者: 咫城麻呂
第一章 異世界ラオム
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1-5 終わらない夜1


 やっほー。千曳ちびきだよ。

 時間って楽しい時は早く、つまらない時は遅く感じるよね。

 まあ僕はつまらない時は寝るからどっちにしろあっという間だけどね。


―――――――――――――――――――――――――――――――――


 事件はそれからすぐ起きた。

 それは誰もいなくなって途方に暮れていたので、メニューを眺めていた時だった。

 異変に気がついたのは一向に何も書かれないログを見た後だ。

 何気なく上を向いて僕は固まった。

 あれ。マップの設定変えたっけか。

「ウワートッテモマッカダナー」

 思わず声に出すほど、周りに赤い点が密集している。多分100個以上。

 そういえば、魔王さんが魔物が好むにおいを付けたとか何とか……。

 んーどうしよう。逃げようにも全方向囲まれてるしな。

 戦うしかないか。武器は魔王さんがくれた剣が有るし。拾ってみると…すごく重い。

 おい待て。本当にあの魔王は僕らに強くなってほしいのだろうか。本当にそう思っているなら、もっと軽い剣くれるよね。普通。

 ちょっとこれを振り回すのは無理だな。重過ぎて話にならない。

 どうしよう。そうこうしてる間にも、赤い点はどんどん近付いてくる。最初のエンカウントまで後一分もなさそう。

 そうだ!マジックハンド、君に決めた!

 マジックハンドを呼び出して持たせると軽々と持ってくれた。

 そうこうしてる間に草むらから野生の魔物が現れた。半透明でぷよぷよした形のつかみずらいやつ。そう、スライムだ。

 いけ!マジックハンド。

 白い手が勢いよくスライムに向かっていき、剣で一閃!スライムは真っ二つになりそのまま動かなくなった。

 倒したのかな?どう確認したものか。そう思ってメニューを確認すると、ログに『スライムを倒した』と書いてあった。

 やった。討伐数1。そうしている間にも、どんどんと魔物が集まってきた。

 オオカミやイノシシみたいな動物型の魔物や蜘蛛や蟻みたいな虫型、スライムやオークのようなどこかで見たことあるような定番の魔物まで多くの魔物が僕に迫ってくる。

 が、途中で武器を持ったマジックハンドによって倒される。武器の性能が良いらしく、全ての魔物が一撃で倒されていく。

 これは楽だ。放置でレベルが上がるぞ。やったね魔王さん。強者が増えるよ。

 馬鹿なのか匂いに釣られてなのかは分からないけど、魔物たちはどんなに目の前で仲間が倒されてもひるむことなく突進してきた。

 おかげで倒すのが楽だ。

 マジックハンドがいい仕事してくれて暇になったのでまたメニューいじりを再開した。


 しばらくして。

 なにかあった時用にマップをメニューを閉じても見れるようにしたところでメニューいじりに飽きてすることもなく暇だから、ついうとうとしていたら、突然胸に殴られたような痛みが走った。

 周りに魔物はいない。どうやら魔物の第一波は全滅させられたようだ。

 原因を考えるより前に異変に気がついた。

 マジックハンドがいない。

 あの人眼に着く真っ白な手が…消えた…?

 まさか、SP切れ?こんな時に。

 そうしてる間にも第二波が集まりつつある。

 どうしよう。逃げるしかないけど、あの剣も捨てがたいしな。でも重いから持って逃げれないし。

 しょうがない、剣とは一旦ここでお別れだ。なに、明日にでも拾いに来るさ。だから安心して待ってろ。

 自分で『それ、フラグ』と突っ込みながら近くに落ちている長い枝に火をうつした。

 松明もどきだけど暗いなか走るのは危険だからね。

 マップを見てちょうど魔物がいないところに向かって走り出す。

 運動はそこまで得意じゃないんだけど、今はそんなこと言っていられない。

 生き延びるため今まで出したことないペースで森の中を突っ走る。

 早速息がつらくなった。足が重く、頭がくらくらする。

 だけどその程度じゃ僕は止まらない。止まったら確実に殺される。

 足が動く限り、僕は走り続ける。

 ……つもりだったんだけど、終わりはあっさりやってきた。

 気付いたら、歩いていた。どんなに頑張って足を前に出そうとしても、歩ぐらいのペースがやっとになっていた。

 それに体がだるい。三日徹夜した後のようなけだるさが急に襲ってきた。

 僕こんなに体力少なかったっけか?

 それでも懸命に足を前に出して歩いたが、ついに足が動かなくなりその場に崩れ落ちた。

 松明もどきの火はとうの昔に消えて、いまや明かりは月だけになってしまった。

 やばい。本格定にやばい。体が言うことを聞かない。

 気づくと、眼の前に魔物がいた。オオカミ型だ。

 何か打開策を探さないと。

 オオカミが口を開く。頭からパクッと行く感じだ。

 ひたすらに考え、一縷の望みを託してメニューを開く。

 口が少しづつ近づいてくる。

 あった、これだ。頼む、間に合ってくれ。

 そうしてオオカミの口が僕の頭を飲み込む……


 ギャンッッッ!!!


 その瞬間、オオカミが悲鳴をあげて吹き飛んだ。

 吹き飛んだのと逆の方を見るとそこには真っ白な手が浮かんでいた。

よければ誤字脱字の指摘、感想等お願いします。

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