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絶晩成型  作者: 咫城麻呂
第一章 異世界ラオム
2/68

1-2 夢とRPGとステータス画面

 やっほー。千曳ちびきだよ。

 ゲームってメニュー画面が一つの評価ポイントになると思うんだ。

 メニューが綺麗だと、やる気が出るよね。

 ______________________________


 んーよく寝たー

 あれ、青空?ここどこだ?

 さっきまで教室で天王あまおう君に質問しようの会をやってたはずだけど。

 あんまりよく覚えてないけど、途中からレクリエーションをやることになったのかな?

 とりあえず体を起こしてみますか。

 え、木?ここ森なの?本格的に、どこだここ?

 僕らが通う学校の近くに森なんてないよ。

 あ、ほかの二人は?

「やっと起きた」

 案外すぐそばにいた。

夜魅よみ公仁こうじんも来てたんだ。ここどこ?」

「わからん。というか夢だな、これは」

「夢?なんでそう言えるの?」

「あれを見てみろ」

 そう言って公仁は空を指差す。

 その指が差す方向を見上げて僕は固まった。

 それはなぜか。

 背中から翼が生えた人間が空を飛んでいたからだ。

「ね、夢でしょ」

 夜魅が半笑いでそう言ってくる。

「夢にしてはやけにリアルだね」

 風や森独特の空気を感じられる夢なんてあるのかな?

「それはあれだよ、明晰夢めいせきむってやつだよ」

 なんか違う気がする。まあいいか。

 それにしても何でこんな夢を……。

 もう一度鳥人(?)を見てみる。

 遠くてよく見えなかったんだけど最近やったゲームに出てきたものとそっくりだと思う。

 あれは感動作だったな。ラストはホントに泣いた。

 この夢があのゲームをもとにしてる。と、いうことは……。

「メニュー」

「ん?どうしたの?」

 やっぱり、ゲームと同じだ。

 『メニュー』とつぶやくと、目の前にゲームさながらのメニュー画面が出てきた。

「おーい、千曳」

 ん?ちょっと違うところがあるな。何個かタブが増えている。

 一つづつ見ていこう。

 とりあえず左上にステータスって書かれてるタブがあるから、それを押してみるか。

「ねえ公仁。千曳が返事してくれない」

「あれは完全に考え込んでいるな。しばらくほおっておけ」

 お、ステータスのタブが広がった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ステータス

 名前  :夜物平よもつひら 千曳ちびき

 職業  :引きこもり

 レベル :1

 経験値 :0

 次レベルまで:10000

 HP  :50

 MP  :0

 SP  :30

 攻撃力 :10

 防御力 :10

 魔力  :10

 精神力 :10

 素早さ :10

  運  :10

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 ……ひどくない?

 何このステータス。夢とはいえこれはひどい。

 まず引きこもりって職業じゃないよね。そもそも僕引きこもってないし。

 それに次レベルまでの経験値多すぎだし。MPなんて0だし。SPってなんだろう……。

「ねえ公仁、千曳がすごくへこんでいるんだけど、大丈夫かな?」

「問題ないだろ、千曳だしな」

 まあいいや、夢だし。

「ほんとだ、立ち直った」

 次は上側だ。魔法とスキルのタブがあるな。

 あのゲームにはスキルなんてなかったはずだけど、何かと混ざったのかな。

 ゲームなんてたくさんやってきたから、どれが元だかわからないな。

 とりあえず魔法のタブを押してっと。ん?何か出てきた。

『魔法を覚えていません』

 そうだよね。レベル1だもんね。

 次ぎ、スキルいってみよう。ぽちっとな。

 お、何かある。マジックハンド?これもあのゲームにはないな。

 とりあえず、押してみよう。

 今度はテキストが出てきた。えっとなになに。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

『マジックハンド』 熟練度:0 

 SPを消費して魔法の手を召喚する。

 基本的には術者の命令に従うが、ある程度自立思考を持たせることも可能。

 最大召喚数:レベル×1

   範囲 :レベル×10メートル

 消費SP :召喚数×1(毎分)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 うーん。どうなんだろこれ。まあまあ使えるかな。今の状態だと30分しか使えないけど。

 熟練度って確か使った回数に応じてその魔法が強化されるっていうあれだよね。

 最大召喚数が上がったりするのかな。

 というか、SPってスキルポイントのことなのか。

 あれ、メニュー見るのに夢中で気づかなかったけど、さっきからあの二人静かだな。

「二人ともどうしたの?」

「いや、急に目の前に手が出てきたものでね」

 見ると目の前に『手』が浮かんでいた。某大乱闘ゲームに出てくる白い『手』だ。

「触っただけで反応するのか、使いずらいな」

 でも、良くできた夢だな。

「おい千曳。どういうことだ」

「たぶんこれ、僕が召喚したものだと思う」

「全く分からないんだけど」

「説明しなくちゃダメ?」

「あたりまえだ」

「あたりまえでしょ」

 仕方なく僕は一から説明することにした。


「とりあえず、『メニュー』ってつぶやいてみて」

「分かった。メニュー」

「メニュー」

 つぶやいたあと、二人揃って固まった。

「どう。何か出てきた?」

「うん。何これ?」

「それがメニュー画面」

「……いよいよ本物のロールプレイングゲームだな」

 二人にはメニューを確かめるように言って僕も自分のメニューの確認に戻ることにした。

 後は右側だな。右上にはマップがあるな。青い点と赤い点とその他もろもろが映し出されている。

 細かいことは後だ。

 その下はログ。まだ何もないけど。

 一番下に画面設定って書いてあるタブがあるな。押してみよう。

 ……うわぁ。レイアウトから魔法、スキルの発動条件まで。様々な設定がある。

 これは凝りそう。


 その後、画面設定をいじっていたら日が傾き始めた。

 だってあれ、すごい楽しいんだもん。

 ステータスはHP、MP、SPを常に表示するようにして、マップは場合に応じて大きさを変えられるようにした。マジックハンドの召喚は音声式にして、魔法とスキルのタブは表示しないようにした。

 まだ調べられてないことが多いんだけど、ひとまずこれでいいか。

 ほかの二人に話を聞くとメニューの中身にはあまり違いがないようだ。

 ただ、マップの代わりに夜魅のメニューには無限収納インベントリが、公人にはメモ欄があるそうだ。


「これからどうする?」

「たとえ夢でも夜の森は危険だろ。俺は森から出た方がいいと思うがな」

「私もそう思う」

「じゃ、急いで出ますか」

 こうして僕らは森から出るために動き始めた。

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