村って排他的、フレンドリーじゃない
わぁわぁ、と言葉にならない歓声に包まれてそれはやって来た。
所々焦げたそれは、昔やった頭に植物が生えた生物が集団で物を運ぶように輸送される。
「まるでピ○ミンだね」
「アレってミドリムシみたいだよね、動物だし植物だし……」
「おぉ、帰ったぞ」
返り血を浴びた状態の松田が現れた。
キャー素敵、でも汚いから近づかないで……
「血抜きという奴か?頚動脈を切ったら汚れちまった」
「まぁ、でも美味しく食べれそうならいいよ」
「それは清水がやってくれるから大丈夫だろ」
松田の発言に釣られるように、猪を狩って来た男子達の視線が清水さんに注がれる。
トラックみたいに大きい、これを猪と言っても良いのか分からないけどね。
清水さんはおっとりした感じの顔をしている。
黒髪ロングで着物が似合いそう、喋り方も丁寧で胸も大きい、すごく大きい。
そんな彼女の能力は調理、最適な調理法を行使するという物だ。
「さぁ、清水やってくれ!」
「肉の清水、期待しているぞ!」
「焼きの清水、煮込みの清水!」
「おい、どれか一つに統一しろよ」
たくさんの異名を唱えながら、目線はチラチラと巨乳に向けて集まる男達。
凄い、普通の女子ならドン引きしてウザイとか言っちゃうのに、苦笑いしてるだけだ。
ああいう、近所のお姉さんっていいよね。
「えっと、流石にあのサイズは難しい……」
「頼む、お前だけが頼りなんだ」
「えぇ……」
渋々、承諾した清水さんは俺に視線をチラチラ送りながら近づいてくる。
やめてください、嫉妬で死んでしまいます。
まぁ、案の定手伝って欲しかった為の行動だったようだ。
「困ったわ、物が足りなさ過ぎるから」
「あっ、清水さん。俺、食材の声が聞こえる」
能力をコピーして最初に思ったのは、こっち来いやと呼ばれているような感覚。
実際には呼んでないけど、呼ばれた気がする現象だ。
その呼ばれた方向に行けば木の実がある。食べれるという確信のもと齧ってみる。
「あっ、辛い……木の実なのに、辛い」
「加賀君、無表情で伝わってこないよ」
なんやて、俺の内心はこんなに表情豊かなのに何を言うんだ。
とはいえ、どうやら運よく唐辛子的な物を引き当てたようだ。
「もう難しいな、これはアレだね。ジビエだよ、臭みもまた料理」
「そうね、焼くだけしか出来ない物ね。牛だったら軽くでも美味しいと思うんだけど」
「豚肉はしっかり火を通さないといけないもんね」
異世界初めての料理は原始的な物だった。
金属操作能力を持つ佐々木が地面から鉄を集めてナイフを作り、切り取る。
切り取った肉を手だけ燃やした田中に持ってもらう。
丁度良い具合になったら、熱いといいながら素手で食べる。
男子はそこそこ、女子からはたくさん不満の声が上がった。
しかし、何か食べ物を得られるというだけで少しだけ元気が出てくる。
肉の味は、食べれなくないが食べたくは無い味だった。
みんなで無言の行進、大名行列ってこんな感じかなと思いながら森を進む。
唯一の楽しみは交代でテイムした狼に跨ることだろうか。
絶対、大名行列してるとき武士とか雑談しながら歩いていたと思う。
半日もすれば、森を抜けることが出来た。
そして、俺達は初めて村らしき物を見つけた。
「村だー!」
「やった、これで風呂に入れるわ!」
「ベッドで寝るぞー!」
わぁぁぁぁと何人かが村に向けて走っていく。
しかし、数秒後には慌てて戻ってきた。
何故なら、彼らの声に反応して村人が農具片手に集まってきたからだ。
なんだそれ、B級ホラーみたいな反応だな。
人肉を食べる村人に襲われる映画を思い出した。
「やべぇよ、なんか顔が怖い」
「何言ってるか分からない」
そりゃそうだ、と俺は思う。
みんなはTVの田舎を取り上げた番組を見ているから変な勘違いをしている。
村っていうのは場所にもよるが結構閉鎖的で、余所者に厳しい。
特に昔はヤバイ、村八分って物が日本史にも書いてある、だから正しい。
昔の村人は、やぁここは始まりの村だよなんてフレンドリーに話しかけるはずもなく、どこから来やがった帰れ帰れで石を投げるまでがデフォだと思う。
「とりあえず狼を使った砲艦外交、開国してくださーいとか言ってみる」
「あぁ、言葉が通じない俺達はペリーということか」
異国に来ているという意味ではあっているだろうし、遠目からでも分かる巨大な狼が怖くないといえば嘘となる。
だから、あながち間違いではないだろう。
恐れる村人達に俺達は近づいていく。
当然、言葉が通じないので俺が翻訳する。
こんなこと言ってはいけないが、村人達は馬鹿だった。
国王の名前も地方の名前もバラバラで情報が入り乱れている。
年代や情報の伝達が未発達なのもあるのだろう。
それでも一重に情報収集が出来たのは村長がそれなりの教養を持っていたからだ。
村長から聞いた話を纏めるならば、ここはエステリア王国でも端の方、歩いて二ヶ月は掛かる村らしい。
俺達が来た森にはモンスターが蔓延っていて、最初は人の見た目に擬態したモンスターかと思っていたそうだ。
俺達は森の向こうから来た異国の人なんだと思われていて、村長は祖父から聞いていたが森の向こうにも国はあるんだなと一人で納得していた。
物凄い勘違いだが、王都の方向が分かっただけ収穫があった。
しかし、それほどの旅程だと食料も資金も足りない。
村は助力する余力もないので早く出て行って欲しいと言われるくらい。
端的に言って、俺達は存在が邪魔者だった。
「あっちから呼んでおいて邪魔者とはな」
「仕方ないよ。総理大臣に呼ばれた、無銭飲食させろって外国人が言ってきたら信じられないもん」
「あぁ、確かにそうだな」
松田と江戸川の会話に、盗み聞いていたみんなが納得してしまった。
嘘、俺達の存在って怪しすぎ?みたいな驚きを覚えずにはいられない。
まぁ、交渉の末に何日か滞在させて貰うことに出来た。
ここで一度、安心して休息を取っておきたいからだ。
行商人が来ればいいが、彼らは現代で言うところのベンチャー企業。
博打みたいな商売で、安定して利益が出せそうな村ぐらいじゃないと来ないらしい。
村と行商人は小説のせいでセットで考えていたけど、定期的に来ることはないんだって。
今は使ってない馬小屋を貸して貰い、みんなで掃除して落ち葉を敷き詰めた。
佐々木が金属で補強したので、時々しか虫は入ってこないし床も鉄板だけど快適である。
虫がとか最初は騒いでいた女子も、最終的には涙目で我慢するくらいできるようになっていた。
人間の適応能力ってのはすごい。助かる見込みが少しでもあればこうは違っただろう。
明日死ぬかもしれない恐怖が無意識に休むことを推奨して適応したのかもしれない。
「馬小屋って定番だけど臭いね」
「馬がいないだけマシさ、いたらもっと臭い」
「井戸水で洗って田中で除菌したんだけどな」
異世界に来ての田中の活躍っぷりが凄い。
炎って便利、火が文明の原点と言ってもあながち間違いじゃないだろ。
まぁ、そんなこんなで俺達の一日が終わる。
明日からエステリア王国を目指しての旅が再開されるのだ。
高山先生 能力???
生徒一覧
1相沢達也 能力???
2安部裕也 能力 生命感知 生物を認識する能力。
3伊藤香織 能力???
4飯塚綾子 能力???
5一之瀬菜緒 能力???
6江戸川啓 能力 探偵 探偵になる。
7加賀満 能力 吸収 吸収した物の性質を得る。
8菊池順子 能力???
9倉橋香奈 能力???
10佐々木次郎 能力 金属操作 周囲の金属を操作する。
11佐藤玲央 能力???
12佐野桃子 能力???
13清水葵 能力 調理 料理に関する事柄を理解し行使する。
14鈴木亮太 能力???
15鈴木玲子 能力???
16田中龍之介 能力 炎操作 炎を操る、色や温度は自由自在。
17長島秀雄 能力 記憶操作 記憶を植えつけたり読み取ったりすることが出来る。
18長野真 能力???
19葉山幸彦 能力???
20樋口秋帆 能力???
21藤俊介 能力???
22保坂真由 能力???
23細内京子 能力 思念伝達 思念を送る。
24松下芽衣 能力???
25松田英雄 能力 無効化 対象を無効化する。
26松永清 能力???
27三浦和子 能力???
28水谷凜 能力???
29皆本和馬 能力???
30宮野茜 能力???
31毛利友則 能力???
32最上可憐 能力???
33森蘭子 能力 念力 思念による物理干渉。
34薬師幸太郎 能力???
35矢口美緒 能力???
36八雲響 能力???
37安田正弘 能力???
38和田翔 能力???
39若林隼人 能力 空中浮遊 空気抵抗や重力を無視して浮遊できる。
40渡辺咲 能力???