☆裕介視点
父が再婚するって話を聞いたとき、正直どうでもいいと思った。
父の事は認めているし、馬鹿な女に騙される人間でもない。
だから父が認めたなら俺から特にいう事はない。
俺と年が近い姉妹がいるようで、今年から同じ学校に通う事になるとのこと
一人は細身の美人で、もう一人ぽっちゃり美人とのこと。
これは少し面倒だった。
まあ身内に対して好きだの惚れただの言ってくるような愚かな人間じゃない事を願うばかりだ。
レストランで初めて顔合わせをしたとき、美女2人と豚1人が座っていた。
なんだこの豚は?
こいつが例のぽっちゃり系か?父の眼を本気で心配になった。
面食いで知られる父が夢中になる女性は確かに魔性の魅力を持っていた
俺でさえ時折ドキッとする色気がある。これが大人の魅力って奴か。
正面の女もそうだ。美人に見慣れている俺でさえこんな美人は滅多に見ない。
ただ、こんな美人が学園に来たら、学校は荒れるかもな。そんな風にも思った。
そしてもう一人、ある意味一番俺が興味を持ったのがこの豚だ。
俺はこいつを豚Aと名付けることにした。特に理由はない。
既に一人だけ食事に手を付けている。よっぽど腹が減っていたのだろう。
見た目通りの奴だ。
自己紹介の時に、この豚は何を勘違いしたかキモい事をしてきやがった
殺意がわいた。こんな場でなければ殴ってるとこだ。
まあ顔の確認も済んだことだし、後は我関せずで料理を楽しむことにしよう
こいつらと家族ごっこをするつもりはない
父と義母の新婚っぷりは聞いていたが、それに付き合わされる形で強制的に新居への引っ越しが決まった。面倒くせぇ。
彼女達が引っ越してきた日も、出迎えるわけでもなく部屋でくつろいでいた。
すると部屋にやってきたのは、例の豚Aだった。
要件を尋ねると、身の危険を感じたので、慌ててドアを閉める。
冗談だったようだが、本気で食べられるかと思った。
それから俺はこの怪力Aに部屋から拉致られて、そのまま女3人+男1人で百貨店へと行く事になった。
…この年になって、何の虐めだよ。
そこで……俺は、とにかく色んな服を着させられた。睨みを聞かせてみたが全く効果がない。俺はすぐに抵抗を諦めた。
曰く彼女達はずっとこういう事をしたかったらしい。さいですか…。
生まれて初めて、女は怖いと思った。
昼食中に俺がよそよそしいので、呼び方を強制された。
今更、母さんとか姉さんとか恥ずかしいが、何だか少し胸が温かくなった気がした。
家族ごっこをするつもりはなかったが、意外に悪くないかも知れない。
ただ豚Aの事を姉さん呼ばわりするのは癪に障った。こいつは呼び捨てで十分だ。
悠こと豚Aは、その食べっぷりも豪快で、よく食うなーこいつって観察してたら俺の飯も奪われた。
ホント、こんな女は初めてだよ……。
ただ、俺はどうやら甘く見ていたらしい。本当の地獄はここからだったのだ。
この後は、永遠とも続く時間を俺はこの女3人に連れまわされるのであった。
両手に洋服を持ち、どっちがいい?と聞いてくるので、どっちでもいいと言ったら3人からキレられた。
別の時には、右手の方がいいよと言ったら、何も分かってないと3人からキレられた。
どうしたらいいんすか?
彼女達には逆らうのは辞めよう。俺は心に誓ったのだった。
次は5人で出かけたいね。悪魔たちの囁きに俺は心底恐怖した。