結婚してくれ
俺、龍平。高3。
『結婚してくれ』と言っても、俺の事ではない。母親、亜沙子の事である。
俺の両親は七年半位前に離婚した。理由はお決まりの父親のパチンコ狂と多額の借金。
母親は離婚届けをつきつけ、子供三人を引き取り自分名義で作られてしまった借金の返済を『債務整理』の手続きをし、二年強でやってのけた。
「おかげでローンもカードも持てないわ」
と、今は笑って言えるようになったが、その頃は会社に勤めながらも休日は仏壇やの店員をし、夜はコンビニで働く…愚痴も言わず俺達を守りながら『必死』なんだという感じは、子供の俺でさえ感じていた。
そしてこれもお決まりのように借金の返済が終わった途端、体を壊した。その時でさえ
「大丈夫、大丈夫」と笑っていた。
まぁここまではよくある話で、そんな苦労話を語りたいわけじゃない。
さて、俺の母親である亜沙子は、そんな苦労をしていても可愛さと若さは何故か保っていて、23才になる姉とは姉妹と思われるほどで自慢の母なのである。
ところが何故なんだろうか…再婚の話しは一度も聞いた事が無い。それなりに付き合いのある男の話は時々聞いていた。テレビ局のディレクターとか、地元の新聞社の編集長とか、車屋の社長とか…それなりに生活に余裕の有りそうな地位のある人達だった。というのも、亜沙子は通称『FP』といって、資産や収支のバランスのアドバイスをする仕事をしている。だからそういった『それなり』の人と知り合ったりしても不思議ではない。
ところが!である。2年前から亜沙子より10才年下の朔哉が我が家に同居を始めたのだ。朔哉の性格が良いことは姉達も俺も認めている。ただ…困った事に稼ぎが…無い。
小さな劇団に所属していて、売れない役者をしていて、収入が少ない分を派遣で働いている。まぁ、同居人という形で生活費もわずかに入れる程度だろう。朔哉という同居人との生活に慣れた頃は俺達も『亜沙子がいつも幸せな顔をしてるならそれでいい』と思ってたのだが、当の亜沙子が最近様子が違うのだ。
『ネェ、龍平。私も最近疲れてきたよ。更年期かな〜』って具合いに、弱音を吐くようになった。確かに見た目は三十代だが亜沙子は間違いなく四十半ば。離婚から必死で生活してきたから、そんな弱音を吐いても良い頃なのかも知れない。だかどう考えても、同居人の朔哉が亜沙子を養えるようには思えないのだ。このままなら亜沙子はいつになっても楽な生活などありえない…。もちろん亜沙子が再婚もせず、このまま歳を取ったとしたら俺が亜沙子を養えるようになる覚悟はあるが、それは親子の関係でしかない。俺は亜沙子の事を大切にしてくれる人と再婚して欲しいと思った。こんな風に語ると俺達の母、亜沙子は逞しくて男なんか物ともしないバリバリに思うかもしれないが、実は天然もかなりなもので、俺達子供にとっては心配で仕方ない親なのだ。
休みの日といえば家事をした後はゴロゴロ寝てばかりで、夕方近くに放送される各駅停車の旅みたいな番組をボ〜っと見ながら『いいな〜、誰か連れてってくれないかな〜』と毎週呟いている。なんたって同居人の朔哉ときたら毎週のように劇団仲間や趣味仲間と出歩いていて、亜沙子を連れて何処かに行くなんて事はこれまで一度位しかなかったのだ。休日の買い物に付き合う事もなく、亜沙子の相手は時間があれば俺の役目と決まってきてる。亜沙子は同年代の仲良さそうな夫婦連れを見ては羨ましそうに溜め息をつく…そんな亜沙子を見てると『なんで朔哉と同居してるんだろう?』と疑問になる。
「龍平、お母さんは朔哉とはいつか別れると思う。専業主婦になりたいよ…って言うか、意味が違うんだけどね…働くのを辞めたいんじゃなくて、私の稼ぎがメインの生活から引退したいと思うんだよね、この頃…。勿論、あなた達三人がちゃんと自立してからの話だけれどね。朔哉と一緒にいたらそれは望めそうに無いもの…定年過ぎても働いてなきゃいけなそう…それどころか、私の年金を食い潰されそう」確かに、このままの生活が続けばそうなるだろう。
朔哉が亜沙子を特別に大切にしているようにも、俺からは見えない。
もともと亜沙子は体も丈夫な方では無かった。俺が小さい頃は『具合が悪い』と休んでいることが度々あった。離婚後はがむしゃらに生活してきたから、そんな姿は見なかったが、俺の高校生活も後一年となって少し将来の事を考えるようになったのかも知れない。いや、亜沙子自身が幸せになれる将来を考えて欲しいと俺も姉達も思っている。
時々、離婚した親を逆恨みして親を殺したとか、事件を起こしたとかニュースで流れているが、俺も姉達も、一度も離婚したことを責めたことは無いし、亜沙子には苦労した分は絶対に幸せになって欲しいと思っている。子供達が立派になるとか、孫の顔を見るとかの幸せでなく、亜沙子自身が幸せになって欲しいのだ。せっかく、あの最低の男と離婚したのだからこそ…。
「ネェ朔哉、私はあなたを養う気持ちは無いのよ…専業主婦みたいになりたいわ…」
「…俺も養ってもらおうなんて思ってないよ、でも亜沙子を養う自信も無い…」
そんな会話が聞こえてきた。息子の俺としてはかなり気になる会話である。そんな会話から何日かたって、朔哉は派遣の仕事が終わった後からファミレスでバイトを始めた。「『仕事に慣れてきたら正社員に成ることを考えていきませんか?』って言われたよ」
夕食を食べながら、いつもよりハイテンションな感じで朔哉が言った。
「そう…それもいいんじゃない?派遣会社で派遣社員でいるより…いくら社会保険は加入してても、職場を転々としてるんじゃ……」
歯切れの悪い亜沙子の言葉遣いに不安を感じたのは俺だけじゃ無かったと思う。
「それにさ…朔哉もいつか結婚するだろうし、奥さんになる人が不安になる働き方してるよりいいと思うわ…」
何か、意味しんな感じである。
「ネェ、何で急にバイトなの?」
怪しい雲行の会話を遮るように姉の瑞希姉ちゃんが口を挟んだ。少しホッとした。
「…ん?…お金無いからさ、お金になればいいだろ?家に入れるお金、少しは増やせるしさ。」
まずい!亜沙子の顔色が変わった…会話を遮らないと俺達まで気まずくなる…
「体壊さないようにね、家の中で一番体壊し易いのは朔哉君だからさ、気をつけてね!」
瑞希姉ちゃんの言葉に亜沙子は言葉を飲み込んで食事の後片付けを始めた。俺は亜沙子の後ろ姿がとても寂しそうに見えた。朔哉なりに考えた行動と亜沙子の思いが背中合わせになったような気がした。
*********
離婚したばかりの頃、亜沙子は以前から知り合いだったテレビ局に勤めている健嗣さんによく相談にのってもらっていた。健嗣さんはいつも冷静で適切なアドバイスを亜沙子に与えた。それがあったから辛い事も乗り越えてこれたのかも知れない。頼れる人だった。
だが、我家の生活が安定してきた頃に健嗣さんは海外勤務を言いわたされ突然イラクに旅立った。
「再婚するなら健嗣さんと思ってたんだけどな…行っちゃった」
姉の瑞希と紗香は、母親の再婚の覚悟はできていたらしい。俺はまだ中学生だったし、母親の再婚など全く思いもしなかった。『亜沙子は俺が守る』くらいの生意気な気持ちも確かにあった。
イラク戦争の渦中に旅立った健嗣さんを思ってか、ニュースを食いいるように見ている亜沙子の姿を何回となく見ていた。俺もごく普通の男の子だから、恋をしている母親の姿を見るのは嫌だったし、父親は腐っても父親だと思っていた。
健嗣さんがイラクに行ってしまった時は正直な話…『良かった』とさえ思っていた。
かと言って、離婚してから亜沙子が俺達を邪険にしたことなど一度も無かったし、どちらかと言えば俺達の為に亜沙子は色々な事を我慢していたのかも知れない。どんなに亜沙子を守ろうと思っても、子供はいくつになっても子供で恋人や夫の役目は果たせ無い。それは姉達から聞かされる話を理解出来るようになるまでに、俺の心の成長と一緒に少しずつ溶かれてきたのだと思う。健嗣さんがイラクへ行ってから、亜沙子は『今日は編集長のお伴』とか『今日は大学の教授とランチ』とか『車屋の社長と飲みに行く』とかと、よく出歩くようになった。
そんな時でも俺達の食事の用意の手は抜かなかったし、夜遅く帰って来ても翌朝はちゃんと主婦の仕事をするし、お弁当も作り、会社を休む事も無かった。そんなある日、朔哉が家にやって来た。亜沙子に本当に三人の子供がいるかを確認したかったらしい。30才を過ぎたばかりの朔哉は俺達にとっては馴染みやすく、すぐに打ち解けた。
突然、兄ができたような気分だった。その後、紗香姉ちゃんの短大進学と俺の高校進学を期に我家は住まいを引越すことになり、朔哉との同居が始まったのだ。朔哉にすっかり馴染んでいた俺達は抵抗もなく受け入れたのだったが、引越しの最中に亜沙子が携帯を握り締めながら呆然と立ちつくしていたのを覚えている。
「健嗣さん…帰って来てるんだ…」確かにそう呟いた気がした。瑞希姉ちゃんが聞き返した。
「え?健嗣さんからのメールなの?」
「うん…帰って来てるらしいわ…」
「で、どうするの?引越し。引越しはいいけど、朔哉君の同居、止めた方がよくない?」
「ん…荷物、持って来てるからそんなこと言えないよ。それに、この先どうなるかも分からない…」
そんな感じで朔哉と俺達家族の生活は二年前から始まった。今になって思うのは、亜沙子の迷いと悩みはあの時から始まっていたのかも知れない。
*********
朔哉との同居を始めて2度目の暮れあたりから亜沙子は『友達と遊んでくる』と一日中出掛ける事があるようになった。『あなた達も大人になったから、少々、遊んできてもいいでしょ?』って言われると、たまには羽目を外すのもいいんじゃないかと思えるように俺もなっていた。「龍ちゃん、あのさ、お母さんが出掛ける時に会ってる友達って、きっと健嗣さんだと思うんだよ…お母さん、迷ってるのかもね…」
「でもさ、お母さんの将来的な事を思うと、健嗣さんを選んで当たり前と思わない?」
瑞希姉ちゃんと紗香姉ちゃんに言われた。俺の本音を言えば亜沙子を幸せにしてくれるなら健嗣さんでも朔哉でもいいけど、とにかく幸せになって欲しい。いつも穏やかでいられる生活を与えてくれる人と結婚してくれたらそれでいい。
でも朔哉が同居しだしてから二年になるという事実は間違いなくあるのだ。今ではもう、当たり前のように生活している。
『お金は無いのかもしれないけど…楽しく暮らしているじゃないか…』これは俺の気持ちであって、亜沙子の気持ちがどこに向いているのかわからなかった。
*********
「朔ちゃん…朔ちゃんは亜沙子と結婚する気はあるの?」
ウルトラマンのゲームをしながら何となく聞いてみた。
「結婚か…自信ないんだよな…無責任に聞こえるかもしれないけど、養う自信が無いんだよ…」
何となく予想通りの応えだった。
「じゃあ、いつまでうちで生活してるの?聞いちゃまずいかな?」
「…出来るならずっとここにいたいけどね…亜沙ちゃんばかりじゃなくて、皆の事が大好きだからね…」
二年も一緒に生活している。もう昔からこの家族だったように生活してきたから、俺もこの言葉は当然だと思った。『なんでまた急に』って顔をして朔哉は首を傾げた。その後は俺も言葉がみつからず、二人でウルトラマンゲームに熱中した。
そんなこんなの亜沙子の変化を朔哉が感じているかは別として、子供の俺達なりに感じていることは亜沙子に伝えておかなければならないだろうと瑞希姉ちゃんが言い出した。
姉ちゃん達は既に社会人で、彼氏もいて、自分達は近い将来的に、家から出て行く。残るのは俺だから『龍ちゃんはどうなればいいと思う?』なんて聞かれても今の生活から瑞希姉ちゃんや紗香姉ちゃんが抜ける事は想像できても、朔哉でなく健嗣さんが一緒に生活する事など今の俺には想像できないと言うのが本音だった。それに『子供が口出すことか?』みたいな気持ちもある。それどころか、朔哉は?朔哉の気持ちはどうなんだろう?あの歯切れの悪い会話を思い出した。
*********
そんな子供達の心配や不安なんか亜沙子は気にしているのだろうか…相変わらず楽天的な行動は変わらず…いや、一層みがきがかかってきているようだ。
「やだなぁ、先週より太ったみたいだわ…この服、先週は苦しくなかったのになんかキツイんだけど…いよいよ中年肥りかな」
いやいや『再婚したいなら肥るなよ、中年肥りなんか言ってんなよ。肥るのは再婚できてからにしてくれよ〜』と思った。
「ねぇ紗香ちゃん、お母さんね、ここんとこ時々健嗣さんと会ってたんだ…」
亜沙子はいつも本音は紗香姉ちゃんに話す。
「うん、何となくわかってたよ。で、健嗣さんとはどうなの?」
ストレートに話を聞けるのも紗香姉ちゃんの特技だった。
「どうもなんないよ。人ってタイミングを外すとダメだね。健嗣さんと私は死ぬまでこれ以上もこれ以下もないと思うわ…」
「でも、ママは待ってたんでしょ?健嗣さんが帰って来るのを…」
引っ越しのあの日、健嗣さんのメールを受け取って呆然ととしていた亜沙子がいた事は間違いない。
「そうね…心のどこかで何時かは健嗣さんと…って思ってたけどね…健嗣さんがそんな気持ちはなくなってたみたいよ。時間って気持ちもタイミングも変えちゃうね。」
遠い目をして亜沙子は呟いてた。亜沙子の思い描く幸せがどんなものか子供の俺達には分からない。生活を共にしているのに結婚には自信がない朔哉の気持ちも理解出来ない。結婚する気もない健嗣さんにふりまわされてる亜沙子…
亜沙子…どうする?
「私ね、歳とって一人になっても、皆に心配かけないように生活出来るように、定年まで頑張って働くよ!それからね、お葬式も心配しなくていいよ。互助会の会員に入ってきたからね、契約の範囲で全て納めてね。互助会の積立期間が終るまで死ねないわ(笑)」
強がりとも、決心とも思える言葉を妙に明るく亜沙子が言ったのは一ヶ月ほど過ぎた頃だった。梅雨に入りそうな季節になっていた。
「あのさ…何だけど…俺、実はこの前オーディション受けてきたんだけどさ…」朔哉の突然の言葉に皆が注目した。
「いつ?何のオーディション?結果はいつわかるの?」
亜沙子が早口で聞き返した。
「うん、チョイ役…悪役なんだけどやってみたくてね…ヒーロー物の悪役なんだ。」朔哉に亜沙子は『まだ遅くないよ、やりたい役があるならオーディション受けておいでよ』とよく言ってた。
「そっかぁ…で結果はいつ分かるの?」
何故か俺もドキドキしながら聞いていた。
「今日、さっき帰って来る途中で電話あってね、行って来るよ。」
「行って来るよってことは…使ってもらえるってこと?」
亜沙子が興奮気味に聞き返した。
「そうらしい。詳しくはとりあえず事務所で説明するからってさ。明日東京の事務所に行って来るよ。」
朔哉はそう言うと、黙々と食事を始めた。
「詳しいことわかったら連絡すぐしてね。」
何となく皆がソワソワしながら、朔哉を見つめていた。
翌朝、朔哉は意気揚々と家を出て行った。
亜沙子は見送りながら
「また…一人になるかな…」
と呟いた。
その日は夜になっても朔哉からの連絡はなく、俺達もその事には触れないようにしていた。翌日の夕方、家に帰ると朔哉が荷造りをしていた。
「朔ちゃん、もう行くの?亜沙子に連絡したの?」
このまま行ってしまうのかと心配になった。
「いや、今夜はいかないよ。明日行くから支度だけしておくのさ。亜沙ちゃんに送ってもらいたい荷物もあるからね。」
そう言うと、まだ手を付けてないガンダムのプラモデルを俺にさしだした。
「作るかい?」
朔哉から貰うガンダムのプラモデルはこれで何体になるだろう…俺は縦に首をふりながら聞いた。
「でさ、帰って来るの?その撮影が終わったらさ、家に…」朔哉は間発を入れずに応えた。
「そうだね、仕事がなきゃ帰って来るかな?でも、もう一度頑張ってみようかとも思ってるのも事実なんだ。」
亜沙子がここにいれば『やれるだけやってみなよ』と言うのは間違いないだろう。『寂しくなるね…』と言いかけて止めた。
その日の夜は朔哉が絶賛する亜沙子の特製カレーを朔哉は美味そうに食べていた。
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あれから2年…
俺は料理関係の専門学校を出て憧れのイタリア料理専門店に就職をした。亜沙子は相変わらず仕事に没頭し、休日はゴロゴロしながら旅番組を眺め『誰か連れてってくれないかなぁ』とぼやいてる。
時々、健嗣さんと会ってるのも相変わらずみたいで、ただ進展はなさそうだという事はわかる。
朔哉は…チョイ役で時々デレビドラマで見かけるが、亜沙子は朔哉の姿を観ると『こんないい男だったかな〜』と毎回のように眩しそうに見つめている。朔哉が亜沙子に連絡をくれているかは全くわからないが、朔哉を旅立たせた事に後悔はしていないようだ。
そんな風に亜沙子は自分の感情を剥き出しにする事なく毎日を送っている。淡々と…
朔哉が帰って来たのはそれから半年ほど過ぎた暮れも近い頃で、久々に見る朔哉は堂々としていて以前の家に同居していた頃の朔哉とは、かなり雰囲気が違っていた。
「胸を張って背筋伸ばして堂々としててね。せっかく背が高いんだから凛とね!」
そう亜沙子は言って、眩しそうに目を細めて朔哉を見つめた。
「ああ、亜沙ちゃんにいつもそう言われてたから…意識してそうしてる。」
そう言って笑った顔は昔と変わらなかった。
朔哉が出て行った後もそのままにしていた荷物を整理しながら
「また来てもまいいかい?ここが実家のような気がするんだ…」
と朔哉は言った。
「私は貴方のお母さんじゃないのよ…結婚願望の強い女なの。それがわかっててそう言うのかしら?」
亜沙子が珍しく弱々しく言った。朔哉はただ微笑んで頷いた。
二人の間だけで理解できるサインだったのだろうか…
朔哉は最終の新幹線で帰って行った。
それ以来亜沙子は朔哉の名前を口に出していない。
俺の母親亜沙子はいい女だとつくづく思う。誰か、亜沙子と結婚してやってくれないか!
両親が離婚して不幸だと思っている子供たちへ…
両親の離婚は不幸な事ではないと気づいて下さい。
親だって感情があるから苦悩もある。
離婚で一番苦しんでいるのは本人達だと…